本当にメモ

梅雨入り前の風は本当に気持ちがいい。昼酒呑んで川ばたを歩いて帰る時などは特に。 最近読んだ本。このところ色々弱り気味なので、いつも以上に無愛想なメモとなる。 ○柄谷行人『世界史の実験』(岩波新書) ○山泰幸『江戸の思想闘争』(角川選書) ○村上春…

市中の大人(たいじん)~追悼 田辺聖子

たとえば『道頓堀の雨に別れて以来なり』でもいい。ひとまずは川柳作家・岸本水府の評伝である。「ひとまず」というのは、水府個人の人生の足跡を辿るにとどまらず、大阪そして日本全体の同時代の川柳界の動きをあやまたずとらえ、そこから近代川柳史のみあ…

緑陰読書

即位改元のめでたさはそれとして、なんだあの上皇后という称号は。「言うに事欠いて」という表現はあるけれど、皇太后なり大后なり由緒正しいことばがある以上、「事欠いて」ですらない。鰻丼や鮨食ってんじゃああるまいし、全く何たる呼びざまか。「(「皇…

酒と桜

二日連続の花見。どちらも当たり前ながら昼ひなかで、恰度気温が高く、うらうら照る日の下でぼけーっと花を見るような見ないような顔つきで酒を呑むのは格別の味わいでした。 職場からの帰りに通る宇治川沿いは神戸でも割合有名な花どころで、この二日とも人…

ハイジン同盟

酒の席でのふとした一言から拙宅で連句を興行することになった。さるにても酒席から始まる物事の多い人生であることよ。 連衆は当然ながら呑み友だちばかり。芭蕉翁の戒め(「俳諧では酒三盃を過ぐすべからず」)に背いて、酒宴の設けも怠らない。というか、…

女中的視点

大阪市立美術館のフェルメール展、早めに御覧になるほうがいいですよ。これからどんどん混んでくること間違いなし。それくらい充実した出品でした。ま、フェルメールの名前が付いてるならどのみち人気が出るんだろうけど。 お目当ては『手紙を書く女と侍女』…

金沢

白山比咩神社の境内にもほとんど雪は無かった。義理堅く立春に春一番が吹いて気温が異様に上がったせいらしい。一年前は三十数年ぶりとかの大雪で営業を休んで雪かきに追われたのを思うとまるで嘘のよう。 とは『料理旅館和田屋』の仲居さんの話。今回当方が…

鳥獣大会

一月はよう食べに出た。勤務先の事情で、連休が少ない月だったから、溜まったストレスを外食で発散する形となった。と言っても炭水化物に興味はないので、カツ丼大盛り!とか新規ラーメン店発見!なんてことにはならない。熱燗大盛り!とか新規漬け物開発!…

雪の城~弘前初見参(2)~

『たむら』の御主人には岩木山へバスが出ているとも聞いていた。雪の岩木神社も魅力的だったけど、まあいっぺんに見尽くすことはないわな。また来ることは間違いないし。と考えて二日目は朝から市内の散策。 最初はやっぱりお城かな。せっかくだから観光客の…

雪明かり~弘前初見参(1)~

遅くなりましたが、新年のご挨拶を申し上げます。 己亥(つちのとゐ) ぼたん雪ふるあめつちのおともせでふすゐの床にむすぶはつ夢 まつすぐに駆けくる気負いの武者武者といさましく喰うぼたん鍋かな 蝶は舞ひもみぢかつ散る花の宴小萩も咲いて福よコイコイ …

器の方円

梅田阪急「暮らしのギャラリー」での飯茶碗・湯呑み展に行ってきた。時間をかけて選んだ結果が、つくも窯・十場天伸さんの飯椀と小代焼ふもと窯・井上尚之さんの湯呑みというので、我ながら可笑しい。いつも『いたぎ家』で手に取るものばかりなのだ。アニー…

煤払ひ

年内は連休が無いので、本年の読書メモは多分これが最後。 ○カール・シュミット『陸と海 世界史的な考察』(中山元訳、日経BPクラシックス)・・・版元の名前で言うのではないが、ビジネス人が読んでもあれこれヒントを得られるのではないか(ただしこのシ…

双魚書房通信(20)~少年は歴史を動かした 『エドガルド・モルターラ誘拐事件』

山本夏彦曰く、「人生は些事から成る」。とすれば歴史もまた些事により動く、と言ってよいかどうか。 そうかも知れない、と本書を読み終えた人の多くは思うだろう。舞台は一九世紀のイタリアはボローニャ。ある夜、ある一家のアパートに、複数名の警察官が突…

オヤジ殺しエッシャー地獄

あべのハルカス美術館のエッシャー展。初日はそう混んでいなかったが、前の北斎展のように段々評判が広がって最後はとんでもない行列となるかもしれない。それくらい充実した展覧だった。ご興味のある方はお早めにどうぞ。 無限階段の塔にしても手を描く手に…

片月見

「災害並みの猛暑」だって冷房の効いた部屋でソファに寝っ転がってりゃ本は読めるし、厳冬といえども床暖房に寝っ転がって(どのみち寝転ぶ)読書するのはむしろならではの愉悦。 だから灯火親しむなんて他人行儀な口実を作らなくてもいつだって本は読めるの…

磯の小石のように~青森再々々訪(3)~

二日目の晩だけは予約していたのだった。ほけーっと歩きながら感じの良さそうな店に入るのこそ無論醍醐味なのだが、限られた日数の旅行者としては、どうしても保険をかけたくなる。 「あそこも混むよ」と言われていたとおり、本町の『磯じま』は変哲もない住…

青い森の紅い森~青森再々々訪(2)~

翌朝は惚れ惚れするような宿酔。ホテルの朝飯も、炒り卵と味噌汁とコーヒーというアヴァンギャルドな組合せですませる。それどころではないのだが、なんか腹に入れとかないと途中でぶっ倒れるだろうから。 ゾンビの如きカラダを引きずって、駅前のバス乗り場…

ミュゼめぐり~青森再々々訪(1)~

四度目の青森。訪れた回数なら金沢の方が断然上だが、半年の間にこれだけ行った地方は他にない。 前とその前は八戸だった。今回は青森市。二回目となる。いつものことながら、何もしない為に何もない時期を選んで行った。 機内のアナウンスでは神戸より四、…

素人包丁~ひとり月見の巻

親譲りといふのでもない偏窟で小供の時から損ばかりしてゐる。わざわざ前夜に観月料理をつくって見ようと思いついたのもそのせい。 別に損はしてないか。日本の料理はなんといっても季感が要なのだから、そして月と花とは風物のなかの両横綱といってもいいも…

ヌリカベの日

左官屋稼業、始めました。一日限定だったけど。 『いたぎ家』の改装を手伝ったのだった。アニは「大規模じゃないっすよ」とか言っておったが、壁を塗り替え、床板を貼り替え、カウンター席の棚を撤去し、テーブル席の荷物置きをつくり、トイレの入れ替えまで…

灼熱BBQ

メリケンパークでのBBQイベント。出店は《神戸オールスターズ》といっても大袈裟ではない顔ぶれだったから、店の名前を記録のために掲げておく。 モゴット、柏木、梵讃、マメナカネ惣菜店、clap、寿志城助、嘉集製菓店、la luna、クチヅケ イル…

御位争い

盆の時期は出勤にしてもらって、業者も来客もないしづかな職場で溜まった仕事を片付ける。その分は秋頃に旅行の為に使うことが多い。先週末の三連休はだから、当分は無い連休だったのだけれど、旅行はおろか一歩も家を出ずじまいだった。『ゲーム・オブ・ス…

魚菜記

八戸から戻ってこの方、神戸にいる自分がどこか「虚仮なる人」のように思えてならない。向こうの最高気温が二七、八度なんどという情報を見るにつけ、余計にそう思う。あまりの暑さで、近所の平野祇園神社の祭礼にもお詣りしなかったくらいだものな。御許し…

ウミネコの島~南部再訪(2)

宿酔なんぞは気の持ちようである。と気を持ち直して朝から温泉に浸かり、朝食のせんべい汁を啜ると、重苦しい酔いの残りはどこかにすっと消えてしまった、という気がする。 それこそ前回は二日酔い、というか寝不足で種差海岸に行けなかった。今日こそ行くべ…

北の語り部~南部再訪(1)

何せあのおっそろしいような大雨でしたからね。十分遅れた程度で飛行機が飛んでくれただけでも有り難いと思わなければならぬ。雨も二泊三日の旅の最終日にやや強めに降ったくらい。総じていい条件だったと言えるでしょう。 青森は比較的短い期間で三度目とな…

水無月獺祭

ひと月ぶりの更新。いい店何軒かを見つけたが、それは別の機会に書きます。とりあえず溜まってた読書メモから。年数積もると、コレステロールと同じように、「生きてることの塵(垢?)」と言うべきものが嵩を増してきて、暢気ブログを更新する閑暇さえなく…

鶏の叫ぶ夜

『いたぎ家』アニーにお誘い頂いて、アニーヨメー、タク、そして木下ご夫妻(当方同様『いたぎ家』の客)の六名で一日滋賀に遊ぶ。前回の滋賀遊びから二年経っている(拙ブログ「KG制覇計畫・其ノ壱」)。天気・気温・湿度申し分なし。 手始めに浜大津駅の…

上等な五月の夕餉

油目の新子が出ていた。油目がそもそも好きな魚だが(造りはもちろん、椀種にするとすごい実力)、成魚の方は最近あんまり見かけない。東京湾ではすでに「幻の魚」になっている、とテレビ番組で言ってたような気もする。 獲れなくなってるところに、新子を流…

危機の思想と思想の危機~双魚書房通信(19) 牧野雅彦『危機の政治学 カール・シュミット入門』(講談社選書メチエ)~

有名だが、多数の読者に支持されているというよりも、いくつかのエピソードの霧が当人をもやもやと包み込んで、それがいつの間にかこれまたいくつかの評語をまぼろしのように吐き出して、それらをあまり意味も無く呟くことがすなわち論じるということにされ…

姫と白狐と満開の桜と

四月文楽公演は昼の部に。夜の演目は『彦山権現誓助劒』で、仇討ちモノは好かないからである。つまり消極的な選択だったのだが、これが幸いして、「道行初音旅」も『本朝廿四孝』も楽しめました。ついでに言えば、仇討ちモノでも『仮名手本忠臣蔵』は別。大…