日記

栄枯盛衰

土曜日は友人の誕生日祝いで食事をしたあと、人と待ち合わせがあったのでそれまでの時間つぶしにバーを二軒。一軒目は盛り場から少しそれた所にひっそりある。おんぼろビルの中になかなか趣のあるしつらえで、ちょっぴり贅沢な時間を過ごすために数年前まで…

ご挨拶。

これまで当ブログをご高読いただいていた皆様へ。 「鯨飲馬読記」は六月末をもって閉鎖し、『はてな』中の「双魚書房通信」(http://d.hatena.ne.jp/pisces0307/)に移転します。過去のブログ記事はこちらにすべて移す予定です(結構愛着がありますので・・…

ご挨拶。

これまで当ブログをご高読いただいていた皆様へ。 「鯨飲馬読記」は六月末をもって閉鎖し、『はてな』中の「双魚書房通信」(http://d.hatena.ne.jp/pisces0307/)に移転します。過去のブログ記事はこちらにすべて移す予定です(結構愛着がありますので・・…

栄枯盛衰

土曜日は友人の誕生日祝いで食事をしたあと、人と待ち合わせがあったのでそれまでの時間つぶしにバーを二軒。一軒目は盛り場から少しそれた所にひっそりある。おんぼろビルの中になかなか趣のあるしつらえで、ちょっぴり贅沢な時間を過ごすために数年前まで…

雉も鳴かずば

久々に東三国の『とりや 圓』で呑む。今日は独り。五時開店と思っていったら、看板には六時からとある。仕方がないのであたりをぶらぶら。街並みは正直なところ、典型的な場末という感じで趣を求めるべくもないが、周囲とは不調和な木の茂みに目がとまってそ…

雉も鳴かずば

久々に東三国の『とりや 圓』で呑む。今日は独り。五時開店と思っていったら、看板には六時からとある。仕方がないのであたりをぶらぶら。街並みは正直なところ、典型的な場末という感じで趣を求めるべくもないが、周囲とは不調和な木の茂みに目がとまってそ…

晩年の仕事

今日は三つ葉のオムレツとオニオングラタン。卵は出張途中、但馬の農園で求めたもの。三つ葉は自宅のプランター産。オニオングラタンのタマネギは職場の菜園からの収穫。缶ビールを呑みながらのんびりと小一時間タマネギを炒め続けた。料理の合間に読んでい…

晩年の仕事

今日は三つ葉のオムレツとオニオングラタン。卵は出張途中、但馬の農園で求めたもの。三つ葉は自宅のプランター産。オニオングラタンのタマネギは職場の菜園からの収穫。缶ビールを呑みながらのんびりと小一時間タマネギを炒め続けた。料理の合間に読んでい…

もの・イデー・ことば

以前ちらっと書いたことがあったが、ぼくの長年の野望は「石原版」日本思想史をものすること。勢い、日本思想史・日本文化論と銘打った著作に眼を通す機会が多くなる。多いのだけれども、感服することはおろか、啓発ないし(戦闘意欲をかき立てられるという…

もの・イデー・ことば

以前ちらっと書いたことがあったが、ぼくの長年の野望は「石原版」日本思想史をものすること。勢い、日本思想史・日本文化論と銘打った著作に眼を通す機会が多くなる。多いのだけれども、感服することはおろか、啓発ないし(戦闘意欲をかき立てられるという…

女王の島

『クイーン』のヘレン・ミレンが主役の『テンペスト』、公開初日に観に行く。デレク・ジャーマンの『テンペスト』(たしかプロスペロはギールグッド)の印象が強いこちらとしては中途半端で白ける場面も多い。演出のせいなのか。映画は「ど」の付く素人なれ…

女王の島

『クイーン』のヘレン・ミレンが主役の『テンペスト』、公開初日に観に行く。デレク・ジャーマンの『テンペスト』(たしかプロスペロはギールグッド)の印象が強いこちらとしては中途半端で白ける場面も多い。演出のせいなのか。映画は「ど」の付く素人なれ…

天空の芙蓉

週末は生まれて初めての静岡。ただし出張でいったので、特に観光はせず。 印象に残ったもの。桜海老の掻き揚げ。静岡おでんの黒はんぺん。上方育ちの人間として、ちくわぶだのはんぺんだのといった食品には漠然たる軽蔑?悪意?を持っていたが、この黒はんぺ…

天空の芙蓉

週末は生まれて初めての静岡。ただし出張でいったので、特に観光はせず。 印象に残ったもの。桜海老の掻き揚げ。静岡おでんの黒はんぺん。上方育ちの人間として、ちくわぶだのはんぺんだのといった食品には漠然たる軽蔑?悪意?を持っていたが、この黒はんぺ…

玉にはきず

三連休の前日、同僚と阪急京都線・淡路駅の『千成寿司』に向かう。お目当ての蝦蛄が無かったのを微瑕として楽しく呑み、かつ食らいたり。アテは以下の如し。 胡瓜醤油漬け、鱸、丹後鳥貝造り(生)、蒸し鮑(徳島産と長崎産を一切れづつ)・鮑肝、このわた、…

幸福の探求

筒井康隆さんの『漂流 本から本へ』(朝日新聞)は、かなり反響をよんだ連載だった。こちらも本好きとして毎回楽しみにしていた。自分が知らない名作を教えてもらうという実利的な側面もむろんあるけれど、一冊一冊の本の内容が過去、とりわけ少年時代の記憶…

神は細部に宿り給う

用事を済ませて三宮から家に帰るさ、入ってみた料理屋がちょっといける所だった。 目板鰈の造り、雲丹とろろ、チーズの味噌漬、アスパラの天ぷらで呑んだあと、骨蒸しを頼んだところ、出てきたのは大鉢からなおはみ出そうな鰆の頭。顔つきは獰悪である。身は…

文庫の本分

老舗をほめるのは藝がないともいえるけれど、今月の岩波文庫のラインナップは見事というしかない。早速三宮のジュンク堂におもむいて、『柳宗元詩選』『幸福の探求』『失われた時を求めて2』を買う。(ボルヘス『七つの夜』は単行本で持っている。) 柳宗元…

そして鯨飲馬読。

《マラソン》三日目。朝から無性にポーの小説が読みたくなり、創元推理文庫の『ポオ小説全集』に淫する。くたびれると、アンドラーシュ・シフのバッハ(ライプツィヒバッハ音楽祭)を聴く。「アルンハイムの地所」を読んで、そういえばあの本にポーについて…

昼読夜読

《マラソン》二日目。極上の晴天なので散歩がてら買い物に行く。職場へ向かう道の途中に桐の木があり、この日見ると花を付けていた。綺麗だが、こんな青空の下で見るとなんだか間が抜けている。次の雨までは保たないかな。 この日読んだ本。エドウィン・コー…

晴読雨読

四連休は久々だったけど、今回は旅行せず、家にこもると決めていた。 録画したまま見てない番組や積ん読の本などを「滞貨一掃」するつもりなのだ。 手始めはテーヌの『英国文学史 古典主義時代』(白水社)。何かにつけ自国フランスを持ち上げるフランス中華…

人はなぜ大樹の陰によるのか

日曜日、元教え子のまる。夫妻と三宮で昼食。しばらくぶりにタイ料理『バーンタイ』に入った。汗をかきながら烏賊の炒めたのや海老の春巻などを食べる。そのあとは『マリアージュ・フレール』でお茶。お互いの仕事のことなどを話す。奥様は今度『アタック2…

パスタから漢詩へ

職場がえりにのぞいたスーパーで「生タリアテッレ」なるものを発見。旨そうなので買って帰る。一日目はオリーヴ油に大量のパセリ、パルミジャーノ。二回目は(四食入り)槍烏賊と浅蜊を軽く煮たトマトソースで和える。 旨い。旨いけど、も一つ「決まった!」…

うすむらさきの思ひ出ばかりは・・・

我が家から南に下っていった道沿いに流れる宇治川は、川辺の桜並木も有名だけれど、実は知る人ぞ知る藤の名所でもある。 といっても住宅地の中のこと、藤棚があるわけではない。道のフェンスに藤を這わせており(自然になったのではない、と思う)、だから目…

一年たちました。

掘り出しの古本をめっけただの、市場で魚が安かっただのという記事ばかりでどこまで保つんかいな・・・とは書いてる本人が一番懸念していたところである。 とまれこうして「鯨飲馬読記」が無事一年を迎えられるのも、読んでくだすっているみなさんのおかげ。…

ゆるい、春。

寒い時期は好物である魚が旨く、肴がよければこれまた好物の清酒もすすむ。今年はいつまでも冷える日が続くのをかえって幸いにしこたま呑み続けていたせいか、ここにきて「春」バテ。胃腸の調子がよくない。新年度にむけて、そうそう不養生ばかりもしていら…

駅中の楽園〜金沢?〜

以前呑んだことのあるスナックの感じが良かったので、まずはそちらに向かう。地図を見ても迷う男がこういうときは足に任せると、ぴたりとその店についてしまうのだから不思議なものである。 当然ながらボトルは流れてしまっているが、すぐに「神戸から来た、…

川沿いの壺中天〜金沢?〜

花粉症なのだが、これまで飲み薬は用いたことがなかった。そのせいだろう、家を出るときに飲んでみると、なるほどくしゃみも鼻水も目のかゆみを嘘のようにぴたりと止まり、おかげで上上吉の旅のすべり出しといいたいところだが、効果覿面なのは副作用もおな…

この気まぐれな暴君

先日テレビで、海洋冒険家の白石康次郎氏が語っていた。ドビュッシーの交響詩『海』が好きだという氏がその理由としてあげていたのは、「海は冷たくきまぐれで残酷な存在だと示している」ということだった。 明治から昭和にかけての作家・幸田露伴に、「水の…

シフのベートーヴェン

アンドラーシュ・シフのリサイタルを聞いた。プログラムはベートーヴェンのピアノソナタ3曲(op109ホ長調、110変イ長調、111ハ短調)。 この3曲にop101イ長調、op106変ロ長調「ハンマークラヴィーア」を加えたベートーヴェンの後期ソナタ群は、数あるピア…