玄妙なる米

  ある日の献立(この日は休日)。

  朝 玄米飯一膳。塩辛納豆。味噌汁(オクラ、里芋)。ぬか漬け(人参、胡瓜)。無花果
  昼 ペペロンチーノ風パスタ(「風」というのは、オリーブ油・大蒜・鷹の爪の定番に、鮎の魚醤一滴とレモン汁、粉チーズを加えているから。ちなみにこの、鮎の魚醤は調味料として万能。オムレツや野菜のグリエなどに味付けすると、実に大人の風味。)、コーヒー
  夜 即製柴漬(茄子と茗荷を塩もみして、梅酢に味醂をたらしたもので和える。それにしても今年は茗荷の子が高い!)。家常豆腐風(高野豆腐を油で揚げて、鶏スープで煮込み、小松菜・シメジを加えてとろみをつける。味付けは塩中心に)。土佐の丸干し。豚ばらの赤ワイン煮込み(ドライトマトでコクを出すのだが、この時は思いついて、朝の無花果の残りも入れてみた。成功。)。酒は前半はビール、後半は焼酎。

  玄米を炊くのは十何年ぶり。売っている米の味気なさに愛想をつかして、最近精米機を(といっても五合しか精米できない)購入し、それに併せて玄米を買い入れた。コメは新潟のフエキ農園というところから。

  さすがに精米したてを、六甲の湧き水で炊くと格段にウマい。香りが違う。それこそぬか漬けと味噌汁で十分。いつのまにか目を閉じて、メシののどごしを味わっている自分に気づき、あわてる。このままではメタボ一直線ではないか。もう少しよくかんで食べて、量を減らさねば。

  というわけでこの朝は玄米のまま炊いてみたのである。香ばしさは白米以上だが、やはり食感は良くない。いや、胚芽のぷちぷちする食感はそれとしては悪くないのだが、おかずとの調和を著しく欠く。食に関しても驚異的に博識だった幸田露伴が、しきりに玄米食の非を唱えていたという記事を読んで、なんとなく妙な気がしていたのだが、あれは日本料理の体系の中での不調和を言っていたものか。

  意外と、おかずぬきで、バター醤油味で焼きおにぎりにしてみるのが一番うまいかもしれない。もしくは粥か。

  と焼酎のカボス割をなめつつしきりに考察にふけったことでありました。