秋のおとづれ

  一ヶ月ぶりのお客。通称 まる およびその令室。

  まるは元教え子。こちらが若かったころの生徒であり、その他諸々の思い入れも含め、まあ最愛の教え子といっていい。そのまるが大学を卒業し、結婚し、就職して、初めて拙宅に来ることになった。

  ご夫人は、脂っこいものが苦手とうかがったので、得たりとばかりに、久々に東山市場に買い出しに出かけた。むろん魚を仕入れに。

  で、献立は以下の通り。

  蒸しあわびと芝えびのサラダ(芝えびを剥いた殻は、別にとって煮出してある。明日ビスクにして楽しむつもり。うっしっし。)
  鯖きずし(山葵、茗荷)
  太刀魚つくり(山葵)
  黒枝豆
  ぬか漬(胡瓜、茄子、茗荷)
  はも落とし(梅肉)
  子持ち鮎煮浸し(山椒)
  子芋煮物(青柚)
  松茸ご飯
  吸物(牡丹鱧、松茸)


  最愛の教え子の、その妻をともなってのご来駕である。当方にとっては、一言もいうこともない愉悦の時間であったことなど、いうまでもない。

  年をとるのは、もっと一般的にいって、時間の過ぎゆくことはゆたかなことだ、と実感した。