和・洋・和・洋

クリスマス前の木曜日、しかも時間は遅めというタイミングで三宮『小猿』に見参。

 もともとカウンター中心の小体な店で、すぐにいっぱいになってしまうのは、この場所で以前営業していた『哲粋』(『小猿』のご主人が修行していた店でもある)時代から何度も経験して知っていたし、その上、例のミシュランが載せてしまった(と言いたくなる)せいで、余計に混んでいるのでは・・と間合いをはかっていたのである。

 お通しは三種。手まり寿司のご飯の具合がよろしかった。こちらで注文したのは造り(鮪、鰤、平目、剣先烏賊)、炊き合わせ(海老芋、蕪、生湯葉)、酒蒸し(赤甘鯛)、このこ。魚もよろし。

 あとは率直に言います。炊き合わせと酒蒸しの出しの濃さがおなじでは、口がねばって酒が続きません。酒蒸しは微妙な塩味のみで良いのでは。また生このこの出し方(バーナーで表面を焙る)にもやや疑問あり。

 なかなか男前のご主人、おそらく年格好はこちらとそう変わらないとお見受けします、応援しますので、どうぞ長く通えるお店を作っていって下さい。

 期待してます。

 『小猿』を出たあと、少し呑み足りないわいと、すぐ上にある『イザラ』で渡り蟹のビスクのパスタで赤ワインを一本空ける。

 調子が出てきたので、その後は飲み屋を二軒回る。

 かなり調子が出てきたのでもう一軒だけ行って、帰りは歩いて帰る。コートやマフラーは無し。クリスマス寒波が来る前で良かった。途中で凍死してるところだった。

 翌日は、二日酔いというよりは、酔いに半分浸かったような面持ちのまま、髪を切りに行く。店を出る頃にはほどよくアルコールが抜けてきたので、余勢を駆って、かねて目をつけていた『むらおか』(阪急王子公園、水道筋商店街)でお昼。今はやりのミニ懐石というやつである。

 前菜(「旬菜」とここでは呼ぶ)は白子豆腐、堀川牛蒡と海老芋の炊き合わせ、揚げ銀杏など。
 小吸物(椀盛のかわり)は蟹真蒸と菜の花。
 このあと造り、強肴、煮物(はげ一尾を小鍋立てに)、飯、汁、水菓子と続く。

 正直、王子公園という、良い町ながら辺鄙な所(これは十年住んでいたからよく知っている)で、和食のお店は大変でしょうが、これもまだまだ若いご主人(というよりかこちらがそこそこ「ご主人」クラスとおなじ年齢層になってきたのか・・・)、楽しみにしています。


 さてその翌日は、思いっきり肉を食べましょう、ということで、うんと赤ワインをおごった(ボトル半分以上は使う)スペアリブの煮込み。鶏ガラの出汁が下味となります。蜂蜜とバルサミコを隠し味にいれてコクを出します。これに元町『ランス』のチーズ、大根のサラダでブルゴーニュを空ける。われながらこの煮込み、うまいなあと感嘆しつつ、次はどの和食屋をせめてみようかと妄想しきりの晩餐となりました。