晴読雨読

 四連休は久々だったけど、今回は旅行せず、家にこもると決めていた。 録画したまま見てない番組や積ん読の本などを「滞貨一掃」するつもりなのだ。


 手始めはテーヌの『英国文学史 古典主義時代』(白水社)。何かにつけ自国フランスを持ち上げるフランス中華思想は鼻につくものの、林達夫のいう「grand style」の錚々と鳴り響く行文による叙述はやはり快い。なにより今こちらが血道を上げている十八世紀を扱っているので、興趣が尽きない。淫蕩と優雅、理性と放縦が手を取り合って踊っていたこの時代に生まれたかった。


 と嘆息一つ。これで勢いをつけてさらに十八世紀関係の書物を読み続ける。ミシュレフランス史? 18世紀ヴェルサイユの時代』(藤原書店)を読み、「十八世紀叢書」(国書刊行会)の?『自伝・回想録』を読み、F.L.Lucas(吉田健一の師匠)のThe serch for good senseという十八世紀論を読み、Peter QuennellのFour portraitsを読み、G.P.グーチ『ルイ十五世』(中央公論社)を読む。


 いい加減疲れて録画していたヴィデオ(HDD)を見る。ワーグナーの『さまよえるオランダ人』。指揮は小澤征爾小澤征爾はサイトウ記念オーケストラのベルリオーズ(『幻想交響曲』)でも気を吐いていた。マエストロ、もう体調は大丈夫なのかしらん。


 夕食も外には出ず。何せ「宿題」が山積みなので、簡単に作れるもので済ます。この日は中華風冷や奴(白葱をきざんだのを載せ、塩と胡麻油をかけてぐちゃぐちゃにする)と鳥レバーのマリネだけ。缶ビールをごきゅごきゅ呑む。


 片付けて風呂からあがると読書再開。グレアム・グリーンの『叔母との旅』(早川書房※世俗の道徳観を平気で踏みにじる叔母オーガスタの肖像が秀逸。淫蕩万歳)、五来重『宗教歳時記』(角川ソフィア文庫※稲荷と狐の関係や「花より団子」の解釈など、興味津々の知見に満ちた本)、安藤礼二『場所と産霊』(講談社※筆が立つなあ)、日本料理研究会編『日本料理献立宝鑑』(第一出版※湯木貞一さんの料理が出る必然性が分かってきたような気がする)。


 ここらへんで目がちかちかしてきたが、気がついていないふりをして読み続ける。どうせ明日も明後日もその次の日も休みなんだし。