玉にはきず

  三連休の前日、同僚と阪急京都線淡路駅の『千成寿司』に向かう。お目当ての蝦蛄が無かったのを微瑕として楽しく呑み、かつ食らいたり。アテは以下の如し。

  胡瓜醤油漬け、鱸、丹後鳥貝造り(生)、蒸し鮑(徳島産と長崎産を一切れづつ)・鮑肝、このわた、生鮑肝醤油和え、鳥貝ひも、小柱、鰯辛煮、鯣(自家製。障泥烏賊のゲソで)、鯖きずしをあぶったものをホースラディッシュで、帆立ひも、完熟トマト、ヤングコーン(ひげも皮も食べられる)、琵琶湖鰻の白焼き、海素麺の吸物。酒はビールのあと、新潟・奴奈姫、奈良・大倉、岐阜・三千盛。

  寿司は以下の如し。

  障泥烏賊、鱚、鰺、鱒の燻製、しらさ海老、中とろ、対馬穴子を焙ったもの、鳥貝(愛知)、赤貝、ひもきゅう、五島雲丹。

  よくもこんなに食った・・・のではなく、覚えていられたのは、同僚の仮名・湘泉子がまめにメモをとっていてくれたおかげである。実は前回ここに来たときにはかなり呑んでしまい、ブログに書こうとしても後半のアテをいくつか失念して口惜しく思っていたのを、湘泉子が覚えていたのだ。


  ご主人がかわらずよい意味で職人らしくないのも佳。めでたしめでたし。

  とはいかぬ。微瑕とは参らぬ。はじめカウンターのはしっこで騒いでいたばあさんとおばはんとおっさんの三人組の大声と話題の低劣なこと、座禅できたえあげたこちらの神の如き集中力が無ければ(嘘である)、瑕どころか美玉をコナゴナに打ち砕かれていたようなものだ。生の鳥貝(甘味が強く、すばらしい)と中トロでシャンパンを呑むという、目を背けたくなる情景は、これからも決して忘れないであろう。

  この日は湘泉子の家に泊めていただく。帰れなくはない時間ながら、翌日の昼に東三国の蕎麦屋『あたり屋』(この時代色あふるる店名が泣かせる)に行く心づもりがあった。

  翌朝は曇天。長袖のカットソー一枚では肌寒いくらい。『あたり屋』までは散歩がてら二駅ほどの距離をぶらぶらと行く。

  『あたり屋』では蕎麦の前に一杯、これが愉しみで蕎麦屋に入るようなものである。アテは以下の如し。

  鯛の子、もずく、ゆで卵いくらのせ、あわびと肝、北寄貝酢味噌、寄せ豆腐・焼き味噌をちょっぴりづつ。これにもり一枚と苺、餡(虎豆)の甘味がつくのが『あたりや点心』と称するもの。別に頼んだ一品は、じゃこ天、自家製こんにゃく刺身、天ぷら(山芋・さつま芋・椎茸・大葉・なす・ごぼう・ズッキーニ・きぬさや・レンコン・海老)。この品も湘泉子の記録による。で、昼酒をだらだら呑む。


  結論。BIGくじが当たれば、東淀川区に別宅を構えよう。