白うさぎと赤ワイン

 王子公園に出る用事があったので、ついでに王子プールで泳いできた。多分、学生時分以来だから十数年ぶりになる。売店などの設備がほとんどなく、ひたすら「プールです。泳ぎなさい」といわんばかりの無愛想さがいっそすがすがしい。

 こちらが通っているジムのプールも、結構大きいほうだと思うが、五十メーターにはかなわない。しかも平日ということもあってか、五十メーターのほうには人は数えるほど。

 喜び勇んで泳ぎまくりましたが、いやあやっぱりふだんの倍の長さだからどうも勝手が違ってやけに疲れる。それでも八月の太陽をいっぱいにうけたぶあつい水の層の透かしみながらじゃぽじゃぽするのは非常に気分がよい。

 気分がよいのに調子に乗って、かたわらのベンチで一時間ほど昼寝をすると、背中が真っ赤になってしまった。あれ、表裏同じだけの時間焼いたはずなのにとも思ったけど、よく考えれば、クロールと平泳ぎをしているときはずっと背中を陽光にさらしているわけである。背泳ぎはそれほどしなかったし。

 家に帰っても、少々痛いのは仕方がないが火照ってしかたがない。なんどシャワーを浴びても風邪を引いたように体がすぐに熱を発しだす。

 これは中から冷やすしかありませんな。と着替えて元町に出、友人が教えてくれた焼き鳥屋さんに入る。めちゃくちゃにウマい、というほどではないが、ちょっといける店だった。仕事帰りとかにふらっと寄りたいね。鳥もモツの類が好きなので、ここでも「心のこり」や「背ぎも」、玉ひもなどを堪能する。

 ビールとそば焼酎でもなかなか体の火照りはおさまりそうにない。これは感覚神経を麻痺させるに如かず、つまり酔いどれて訳が分からなくなるのがいちばん。

 というわけでおつぎは元町のワインバー「リシュリュー」。「今日は赤三杯で構成してください」と注文する。ふだんはボルドーのよくこなれたやつが好みなのですが、やっぱりちょっと疲れてるかして、そういう系統ですと出してくれた二杯目がやや重たく感じる。こちらの感想をきいて、すかさずマスターは三杯目をローヌの華やかなワインに切り替えてくれた。この日はこれが一等旨かった。じつに香りがあでやかである。

 ぐっと照明を落とした店で、ワインをすすってはグラスに目を落とすと、ちょうど向うからあたった光がグラスを通して、ガラスの内を伝わり落ちるワインの残りをまるで陽炎のように燃え立たせてくれる。ぼんやりとここで二時間弱。

 その後?充分に燃料を入れたせいか、予定通り火照りはすっかり忘れてしまいました。翌日の頭痛はそれをしのぐひどさだったけど。

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