正月準備着々

 十代二十代のころは雨が気ぶっせいで仕方ないように感じていたけれど、最近はだいぶん雨音も空気の湿った感じも愉しめるようになってきた。ひとつには、ふだん通勤で使用している原付が雨の時は乗れないので、歩いて職場に向かう(徒歩十五分)ことになり、それが結構新鮮な眺めを与えてくれるということがある。

 今日も雨(雨の多い師走ですな)。いつも通る住宅街の中に、楠谷川という小流れがあるのだが、そこにかかる橋(というかちょっとしたコンクリートの渡し)の、いまにも落っこちてしまいそうな端っこに茶まだらの猫が香箱を作っていた。猫はたいがい不自然な場所にいたがるものだが(道の真ん中で寝そべってみたり)、おまえもまあ偏屈だねえと笑って側を過ぎようとすると、これまた不自然なタイミング、つまりこちらがまさに過ぎ終わって向こうには危害が及ばないようなころになって、慌てたようにぱっと飛びすさった。

 この猫、ぼけてたのかな。

 この朝はまた、坂道の途中に初めて見る新築の家があった。しっとり落ち着いた構えがなんとなく好ましい。


 さて、タイトルどおりネットなどで購入した正月用の食材がどんどん家に届き始めております。まずは日本酒。そしてふんだんに引く出汁のための昆布。これは『次郎長屋』という店のサイトで求めた。天然昆布の専門らしい。以前住んでいた灘区王子公園には水道筋商店街という、まあまあ規模の大きい商店街があって、その中のアシタニさんというダシ屋、つまり削り節や煮干しや昆布の専門店を重宝していた。ここのご主人曰く、「天然と養殖では、まあダシののびが全然違う」。ナルホド。

 今行っている湊川は東山商店街、これは皆様ごぞんじ神戸ではおそらくいちばん活気ある商店街ながら、このダシ屋がない(乾物屋ならある)。大阪生まれとして、昆布は常から使うものと思っていたのでしばらく不便をかこっていたけど、『次郎長屋』の昆布が質のよいものであれば、この不便も解消されることになる。

 あとはシュトレン。今時はどこでも売っているものになったが、当方は元同僚のお兄様夫妻が北区でやっている『コナルク』という、天然酵母専門のパン屋のものが断然ひいき。ここはお菓子も美味しいですよ。店はたいへん辺鄙な場所にありますが、発送もしております。そーゆー宣伝をするブログではないけれど。

 シュトレンはクリスマス向けの菓子ではないのか。しかしこちらは切支丹ではない。彼女の父君は牧師をしている・・・という書き方はヘンだな、「召命」である以上は牧師「である」とすべきか、牧師であるが、彼女は洗礼を受けていない。したがって耶蘇の生誕で騒ぐ義理はない、と考えて、でもよく熟成したシュトレンはやはり食べたい(どう考えても寒い時期向きの菓子)ので、買うことにしたのである。酒に飲み飽きたときは、濃く淹れた紅茶でこれをやる(と書くと、ちょい池波正太郎風)。

 他は鴨ですな。以前丸鶏を捌いて鍋にしたことは書いた(「鳥一羽を食す」)。ま、鴨も同じようなもんでしょと軽く考えている(結果は年明けに報告)。フランス産で、肉汁がたっぷり残るようにエトフェ(窒息死)させたもの。「ジビエに近い旨味」です。と謳っている。たいへん期待しておるのですが、実はまだどう料理するか、決めてないのである。ローストして、カシスの風味を効かせたソースで食べるか。大量の芹と三つ葉で鍋にするか。

 あとはこれも以前書いた『播州地酒 ひの』お手製の唐墨、それに鱧だけで作った『三笠屋』の焼きとおし蒲鉾(これが無いと正月気分が出ない)。

 さすがにきずしや西京焼き用の魚はこれからの買い物となる。明日から休暇なので、東山で一暴れしてくるつもりであります。

 その前に今晩は、今年最後、から二番目の忘年会があるけれど。

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