連休連闘

 師匠のお宅は、阪急芦屋川を下辺、奥池あたりを上辺とした矩形の大体真ん中あたりの高さに位置している。先日連句の会へのお招きを受けたので、初めて歩いて上ることにした。これまではずっとタクシーを使用していた。

 グーグルマップの案内では7分とあったけれど、そしてふだん歩くのはかなり速いほうなのだが、芦屋独特のくねくねした坂道が多くて(しかも勾配が大きい)とても7分では無理だった。うっすら汗をかきながら、それでも閑雅瀟洒な住宅が多くて見ていると気分がよい。

 さて連句。大師匠(連句宗匠としてはこうお呼びしている)とその一門の中ではオレが群を抜いて巧いと(ふふ)自覚していたにもかかわらず、この日は我ながらあまり冴えず。次の人も付けにくかったんちゃうかしら。四月はなにせ半ばゾンビー状態だったからなあ。ゾンビが出たついでで、俳諧『バイオ・ハザード』を戯れに。

  むらむらと寄せ来る死人(しびと)蹴倒して  アリス
   血潮を払ふアンブレラかな  ウェスカー

 季語は当然ながら、無い。

 来週は連衆を換えての(こちらは居残り)第二回興行だから、なるべくはやく竪琴の弦を強く張りなおしておかねばならぬ。

 奥様お手製のタンドリーチキン、ほうれん草のカレー、先輩お手製のナン(どれも絶品)を白ワインとビールをじゃんじゃん呑みながら平らげる。師匠の発語・身ごなしに大きな回復ぶりは見られなかったが、なにせ(「あとがき」にもあるとおり)髄膜炎脳梗塞脳出血のあとでこれだけの本出したんだし(前項ご参照ください)、さらに、既にもう一冊書き上げて、その校正中だとも聞いた。うーむやはり化け物の親玉だけある(これも当ブログ「連句百鬼夜行」ご参照のほどを)。


 奥様に阪急の駅まで送って頂くと一一時半になっていた。三宮で途中下車し、一軒だけ呑んで帰る。随分風が冷たく、このまま歩いていると(三宮からゆっくりめに歩いて二〇分ほど)風邪をひきそうなので、滅多にないことに、途中で深夜営業のうどん屋に入って山菜うどんを食べる。

 翌朝は早くから水槽掃除。熱帯魚たちもゾンビ頭のとばっちりを食って、四月はほったらかしになっていた。細かいコケをすっかり落として換水すると、文字通り輝くような水になる。だいぶ気温も高くなってきたし、新しい魚種を導入しよう、ノゾブランキウスにしようか、それともランプアイの大量飼育か、と一人でコーフンする。

 余勢を駆って家中を磨き上げたあと、コーヒーで一服。フォークナー『兵士の報酬』や川成洋他『スペイン王権史』などの翻しているうちに心地よい睡魔に引きずり込まれてしまう。

 午睡のあと、バルコニーに出て、プランターにハーブや三つ葉などの植え付けも終わらせてしまう。昨年買って、すっかり枯らしてしまったと思い込んでいた鉢植えの山椒が、暖かくなるにつれて青々と葉を茂らせている。香りはもちろんあのとおり。定番だけどやっぱり烏賊と筍で木の芽和えか、それとも中華風に豚肉と揚げ豆腐の山椒味噌炒めといきますか。

 と買い出しの計画を練っているところに呑み友達のDちゃんからメイルあり。「ながいことごはんいってへんからどうかなおもて」。そない言われたらほんまそうですな。というわけで、急遽外食と相成った。

 この日行ったのは北野坂『朱ZAKU』。一年くらいのご無沙汰のはず。料理は以下の如し。お酒はもっぱら『龍力』。

○先付(海胆と胡麻豆腐)
○アスパラと鱧の子のジュレ仕立て
岩牡蠣
○クエの皮と筍と新若布の茶碗蒸し
○クエ造り
メバル煮付け
○カマス(焼き物と押し寿司)

 闊達な女将も相変わらず。この人が、こちらの贔屓の店の妹分と知ったのは最近のことだ。「悪いことできへん」と二人で笑う。


 さて飯の後は当然のように呑み直し(「呑み友達」ですから)。こちらもDちゃんも共通に知っている別の呑み友達の誕生日とかで、グループが揃いのTシャツ・バッジで嵐のように呑んでおる。こうなりゃ朝まで付き合うゼ。

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