野菜その日その日

 朝食を摂ったあとに梨を剥いて食べた。一つ百円にしては汁気も甘さもまずまずだったが、丸一個食べ終えた直後から喉や歯茎といった、果肉にふれた部分の粘膜が一斉に腫れてくる。かゆみはない。

 桃やメロンではちょくちょくこうなっていたけれど、梨は初めてである。命に別状はないと知ってはいるものの、なにせ喉がはれているので呼吸するのもしんどいくらい。一服のあと、昼に水槽の掃除をするつもりだったのに、やむなく予定変更。ソファに寝転がってひたすら腫れがひくのを待つ。

 貧乏性ゆえ、ここでただ寝転がっていることが出来ない。アタマの調子に影響が出ている訳ではないから、「事故」を幸いに、積んでいた本を、ただしやっぱり普段よりは集中力に欠けるので、あちらこちらとつまみ読みした。

 こういう時、詩や小説は具合が悪い。感受性を刺戟して、よけいに鬱血しそうな気がする。というわけで、かえって比較的固い内容のものが多くなった。書いたとおり、文字通りの拾い読みにすぎないが。

*ティム・バークヘッド『鳥たちの驚異的な感覚世界』・・・こういうのは何にも考えず「へえー」と言っていればいいので実に楽。
というわけで特段の感想なし。

饗庭孝男編『パリ 歴史の風景』・・・これも「へえー」本。共著なので時折文章の下手なヤツにぶつかっていらいらする。あれ、アタマも鬱血してるのかしらん。

栗本慎一郎栗本慎一郎の全世界史 経済人類学が導いた生命論としての歴史』・・・これも「へえー」本、といいたいけれど、やはり正確には「トンデモ本」だろう(著者はそう見られるであろうことも予想した上でこれをトンデモ本と見るやつはバカだ、と言っているのであるが)。わはははは、と筒井康隆笑いを何度もし、そのたびにむせて咳き込んでしまった。はた迷惑なる本である。

有岡利幸『柳』(法政大学出版局ものと人間の文化史)・・・別にこの日のアレルギーを予想して本屋や図書館に行ってるわけでもないんだがね。これも「へえー」本。ただ著者の書き方は、失礼ながらだいぶん型にはまってきたようである(このシリーズの植物に関するものはだいたい担当しておられる)。他の切り口を持った研究者を採用してはいかがか。

高橋源一郎『大人にはわからない日本文学史』・・・まっとうに文学史、というより文芸批評そのもの。

*横溝亮一『クラシックの愉しみ』・・・今時めずらしくコルトーやらシゲティやらに肩入れしてる音楽随筆ということで手に取ったが、これ見よがしの老人ぶりは置くとしても、あまりに文章が雑なので、途中で投げ出す。そういえば著者の父親横溝正史)も下手だったからなあ。と妙なところで感心する。

デイヴィッド・ヒューム『道徳・政治・文学論集』・・・前著の毒消しのつもり。哲学が優雅な文体で語られるということがあり得た十八世紀は、やはりいい!

*シルヴィア・ナサー『大いなる探求』・・・経済学者列伝。学者の大半は無用の存在と思うが、それにしても経済学者って何のためにあるのだろうか。

 ここまでで夕刻。なんとか腫れはおさまってきたよう。昼飯を抜いたぶん、矢鱈と空腹である。急いで買い出しに行き、晩飯をつくる。

◎ずいきの胡麻味噌和え・・・触感が喉に優しそうでずいきを買った。今思えばアレルギーの後で灰汁の強いものは避けるべきだったかもしれない。胡麻は炒ってよく擂る。少し酢の酸味を響かせて軽さを出します。

◎冷やしのっぺ汁・・・夏野菜ならなんでもよし。今回はオクラと枝豆、南瓜を使用。オクラと南瓜は焦げないように綺麗に揚げたあと湯通しして油気を落とす。枝豆は色よく湯がいておく。昆布をきつめにとった出汁に軽くとろみをつけて冷やす。食べしなに擂り生姜を天盛りにする。

◎茗荷と鶏皮の和え物・・・梅肉主体に味付け。鶏皮は酒で煮て風味をつけておきます。

◎縞鯵のつくり・・・山葵をたっぷりまぜた大根おろしで食べます。

◎胡麻豆腐・・・これは出来合いのもの。

 ふだんならこれらの肴で晩酌して終わり、なのだが、何せ昼間は食べてないので、空腹がおさまらない。干し蕎麦を湯がいてから、白ネギの細打ちと鶏肉とで炒めて焼きそばにして食べた。

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