妹の力

 鯉川筋で買い物をしたついでに、久々(二年ぶり!)で『杏杏』で夕食をとった。零細ブログで喧伝するまでもなく、神戸中華の名店の一つ。料理が旨くないといけないのは当然として、名店と呼ばれるにはやはり雰囲気も重要なのだな、と実感した。

 ここで調理を担当しているのはおばさん。その補助は娘(かな?)。娘のダンナ(?きいたことがないから分からぬ)とおばさんの連れ合いらしきおじさんの男衆ふたりはもっぱらお運びの方に徹している。

 この構図がなんだか気分いいのですね。いかにも華僑がやってる中華料理屋で飯を食ってるという雰囲気にひたれる。我ながらよくわからん理屈だが。

 食べたのは豚胃袋の前菜(香菜がふんだんに刻み込まれてるのがよろしい)、焼豚(ここは普通のとそうでないのとがあり、後者は皮付きで皮をぱりぱりと焼き上げているのが特徴。この日は普通のを頼みました)、海老の巻揚げ、牡蠣と豆腐の土鍋煮込み。この煮込みがことによろしい。豆腐も一度揚げてあるので、餡がよくからむ。牡蠣も豪勢に入ってます。ひっそりとコロの松茸が入ってるのも愛嬌がある。白葱がもう少し瑞々しかったらなおさらよかったの。

 甕出しの紹興酒がくいくい進んだ勢いで、酔歩蹣跚として『IZARRA』に向かう。ここはシェフも接客も全員女性。やはり『杏杏』の雰囲気が尾を引いていたのか。

 お腹はだいぶくちくなっていたから、ここでは各種茸のフリット(株取りなめこがよかった)と洋梨をつまむ。シェフとは相も変わらず食材の話でアツくなる。といっても今回は当方の鮒鮓自慢で終始した。『徳山鮓』の鮒鮓が旨いのは何も私の手柄ではないが。従業員のフクチャンは彼氏に振られましたーと屈託無く笑っている。忘年会で呑みまくり食べまくって忘れようぜ!と甚だ色気のない慰め方をして店を出る。

 で、『IZARRA』の後は『いたぎ家』に寄ったのですが、時間が遅かったせいで看板娘の奥さんの姿が無い。

 色気の無いことおびただしい・・・(いたぎ兄弟、スンマセン)。一月で奥さんは店から引退されるとのこと。今からこちらも心の準備をととのえていかなければならぬ(重ねて、スンマセン)。無愛想なのではなくて、物静かな男連中がてきぱきと取りさばいているという雰囲気はそれとして好ましいんだけど。

 いちばん最後に(はよ家に帰れ、と自分でも書いてて思うが)ゲイの友人がいる店(ゲイバーにはあらず)で一杯呑んでようやく御帰館遊ばされた。もっとも最後の店は「妹(いも)の力」でなく「ホモの力」と評すべきか(柳田國男も怒るだろうなあ)。

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