ひとりしづかにのむべかりけり

 宣伝で見たジェフリー・ラッシュの顔に実に味があって、『鑑定士と顔のない依頼人』を観にいった。なので今回は映画を観てないとおそらく何がなにやら分からぬ体の文章になっているかと。あしからず。

 朝日ビルのシネ・リーブルはいい映画館で、それは良いのだが、今はルミナリエの真っ最中だったのですね。朝日ビルはご承知のようにルミナリエ会場のすぐ脇、しかも週末とあって、なんだかビルの周りはデモの群衆で十重二十重に取り囲まれているような印象。のんびり映画でも見物しようかという気分を殺ぐことおびただしいものがある。

 という悪条件にも関わらず愉しめたのだから、やはりいい映画だったんでしょうな。と書いてここから先どう続けていいのか困る。公開したばっかりだしなあ、いわゆる「ネタバレ」するのも気が引ける。

 こう言うだけで実は、肝腎な部分を少し勘のいい人なら察することが出来るような仕組みになっているのでまことにめんどくさい。

 だから細かい映画の筋を紹介する労は省きます。そんなもの、観れば分かることだし。

 ともかくヴォーカンソンのオートマタ(機械人形)が出て来るとあっては、当ブログであれだけトマス・ピンチョンの『メイスン&ディクスン』を褒めあげた以上(「梅村さんと軸村さん」をご参照ください)、ま、ジェフリー・ラッシュの顔が立派であろうがなかろうが(立派だったが)、観にいかないわけにはいかなかったのである。

 プロットそのものの感想は言ったようにここでは述べないけど、しかし身につまされる作品ではあった。それにしても、冒頭近くに出て来る高級レストランで一人美食を楽しむ人間嫌いの主人公(人間の中にただひとつ放り込まれた機械)と、ラストの、歯車だらけのカフェに大勢の人間がわあわあとしゃべっているシーン(機械に囲まれた人間)との対照はいささかあざとかった。孤独と絆(とやら)の弁証法、とこう評してしまったのではこちらもあざとくなってしまうのだが。

 てなことを(おそらく傍目にはブゼンたる表情で)考えつつ、ここも週末とて大賑わいの『播州地酒ひの』さんにすべりこんで、一人酒をおいしく頂いたことではありました。

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