桃の花ザムライ

 昼酒が効き過ぎるのも年のせいか・・・などとも思いつつ、今日も自転車こいで湊川の市場まで行く。午まえに注文していた酒が届いたので、それに合うサカナをみつくろいたい。酒は『萬歳楽』の「極寒しぼりたて二種類(特別純米と純米)、『加賀鳶』「山廃純米」、『菊姫』「吟醸あらばしり」の四種。やっぱり酒は北陸が旨い。

 しかし、市場の品揃えはもうひとつ、というところ。贔屓の魚屋のにいちゃんにきくと「これだけ寒いと漁にでてくれない」とのこと。こちらの祝い気分をどうしてくれる、と憤っても仕方ない、大体昨日は十年に一度という雪だったし、と肩をすくめて見て回れば、やはりそれでも寒いうちとてイケそうな品は見つかる。

 この日は昨日に引き続いてめでたく呑みたいので、ちょっときばって仕入れた。献立は以下のごとし。

○真魚鰹幽庵焼き・・・料理法はいたって平凡ながら、うんと身の厚いやつをおごる。残りはもちろん味噌漬けにする。

○金目鯛・・・上方の魚ではないのだろう、こちらもしばしば見るようになったのはかなり最近のこと。ただし煮付けにしたのでは真魚鰹と味付けが重なってしまうし、なによりニザカナではなんだか病人食風である(いや、鰈や鮎並の煮たのは酒にも合いますが)ので、豆腐と一緒にちり蒸しにした。柚子をたっぷりしぼって食べる。柚子もそろそろ終わりだなあ。

○うどの胡麻酢和え・・・そのままの料理なり。

○茶碗蒸し・・・これも純然たる酒の肴であるからして、具には焼き目をつけた百合根と三ツ葉のみ。


 気分がいいので、如上の肴酒をすっかり片付けたあと、三宮に出かけたとさ。めでたしめでたし。


 タイトルは何の意味かというと、市場の花屋で桃の枝を買って帰ったから。最近お気に入りの布製のバッグはタテに深いので、これを入れても充分。枝を何本も挿したバッグを背に自転車を漕いでいると、なんとはなしに時代劇気分。カオがもともとこわづくりのせいもある。