燈台の下

 で翌日は(おお珍しくふつうの日記のようだ)日曜日ながら臨時出勤。誰も来ない(当たり前だ)職場で夕方までしこしこ働いたあとは、三宮にも出ず、スーパーへ。独り身(で、かつなるべく外で買いたくない)の人間は、日曜日に弁当用の常備菜を作りためとかないといけない。ま、時分柄、二日くらいで食べきらないといかんのですがね。

 家に帰ってしこしことおかず作り。そのあいだに熱帯魚にエサをやらねばならんし、ハーブには水を注いでやらんといかんし、「黒猫のウィズ」の「錬鉄の魔道杯」にも参加せねばならんし、なにかとたいへんなのである。

 「今週のお弁当」は以下の如し。

◎豆苗ともやしのナムル・・・シンプルに胡麻油・塩胡椒のみで味付け。
◎なすび胡麻味噌和え・・・なすびは焼いてから皮をむく。胡麻を粗摺りした中に、煮切味醂・煮切酒・赤味噌・生姜少々を入れて混ぜておく。それになすびをつけこむ。
◎ツナとワカメと新玉葱の酢の物・・・これ以上説明のしようがない料理であるな。
◎ひじきと大豆の煮物・・・上に同じ。
◎塩鮭・・・たかがシャケというなかれ。ちゃんと一本まるごと買ってきて、切り分けては冷凍している。頭やアラはもちろん汁の身に。
◎浅漬け・・・この季節だとむしろ主菜ともいうべきかもしれません。最近はすぐにぽりぽり食べきっちゃうからなかなか古漬けになってくれない。

 こうかくといかにも平凡な品揃えながら、毎日の弁当はこれくらいが飽きなくて丁度よい。

 と台所で汗をかきかきフントウしておりますと、『いたぎ家』アニからメイルあり。「完熟梅が実家から届くので、また取りにいらしてください」とのこと。こちらが以前ちらっと口にしたことを覚えていてくれたらしい。

 この厚情が嬉しく、嬉しいあまりに呑みに行きたくなってしまう。「今からビールなぞいかがでしょうか」。

 いっつもこうして思いつきで誘っては断られ(当たり前なのだが)、淋しい思いをかみしめていたので、アニが「呑みましょう!」と返事してくれたのは嬉しかったです。

 順ちゃん(アニ嫁)のリクエストにて、王子公園の水道筋商店街で呑むことになった。ここは学生・院生の十年あまりを過ごしたところだから馴染みの店はいくつかはあるので安心して案内できる。

 ・・・のはいいが、二人ともクサい。酒の匂いがぷんぷんしておる。ま、昼間っから『大七』の試飲会でしこたまきこしめして来たらしいから、仕方ないか。それに水道筋商店街というところはまた、こーゆー人がぶらぶらそこらを歩いている土地柄なんですし(アブナイ地域、というわけではない)。

 一軒目。商店街を東に外れたところの『高田屋一色旭店』。それこそ老舗中の老舗。とくに高くも無い酒を、とくに旨くも無いアテで呑む。こう書くとワルクチを言ってるみたいだがさにあらず。つねなりでいつも行ける店があったのは、王子公園に住まいしている人たちにとって慶賀すべきことだった、と言いたいのである。事実この晩も、いかにも近所からつっかけで来たという夫婦や家族連れで賑わっておりました。

 二軒目。これは当方も知らなかった、畑原市場の外れにある、シャッターを下ろした中に無理矢理こしらえたようなスタンドバー(たしか店名は「モンク」)。じつにあやしい雰囲気の看板が紅く光っている。中は予想通り、アニの巨体がぎりぎり通れるほどの狭さ。でも品揃えはしっかりしている。とくにラムの種類が多いのが嬉しい。ここではバーボンとラムとを一杯ずつ。アニ、順ちゃんもそれぞれ二杯ずつ何か呑んでいた。ここもいかにも「普段づかい」の客が多い。寺に神社に猫・坊主ばっかりの我が家からすれば、極楽のような環境である。ま、ウチもある意味極楽には近いのだけど。

 三軒目・・・・うーん適当な店が無い。今更食事しながらという腹ではないし、ということでとりあえず三宮に出ることにした。さすがに人通りの少なくなったアーケードを歩く順ちゃんの足取りが怪しい。おまけにしゃべってる内容がちっとも分からん・・・。いざとなればダンナがなんとかしてくれるだろうから安心はしてるのだが。

 で、三軒目ですが、阪急西口から少し西に歩いたところにある立ち飲み屋。ここは日本酒の銘柄が多いので、アニもわしも注目しておった店である。アニはさっそく注文した酒の細かいことを「店長」の若い女に訊いている。素人をいじめちゃいけませんな。こちらも「自家製フライドポテト」(自家製でないとしたら何だというのだ)の揚げ方についておたずねしたかったところであるが。

 店のスペックをアニと品定めしつつ呑んでいると、順ちゃんがますますアヤシイ。というのは、もともと小柄なところに、酔ってくにゃくにゃしだしたから、高めのスタンドテーブルに小動物がしがみついてるみたいになってきたのだ。見かねた店員さんが椅子がわりの生ビールの樽を持ってきてくれる。

 結局この店で順ちゃんはアウト。ということはつまり、アニと二人、もう一軒回ったわけである。次は阪急の東口をあがったところにある二四時間営業の中華屋。このあたりになると、さすがにお腹が減ってるんだか減ってないんだか分からない状態になって、羊の串焼きやら酸っぱいスープやらを頼む(いちばん太るパターン)。酒はもちろんビールと紹興酒

 注文するたびに店員がげらげら笑うのが不愉快、というより不気味であったが、味はまずまず。すっかりいい気分になったのだから、明日の仕事のことは考えないようにしなければならぬ。
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