職場菜園のバジルが子どもほどの背丈に生い茂ってしまった。花が咲いて枯らしてしまうのは勿体ないので、急遽刈り取り。本日はバジルの料理を一皿増やすことにする。
○秋刀魚と万願寺唐辛子のオリーヴオイルパスタ…のパスタ抜き。この万願寺も菜園からの収穫。うんとニンニクを効かせて炒める。焦げた秋刀魚の内臓とニンニクの風味がよく合う。
○蛸とジャガイモのバジルソース和え…のジャガイモを新蓮根に変えたやつ。蛸と蓮根て、ほんと絶妙の食感のコンビネーションだな。バジルはもちろんオリーヴオイルとともにプロセッサーですりつぶす。蛸・蓮根は塩茹で。
○ずいきの胡麻酢和え…なんだかけったいな取り合わせの献立となったが、よく冷えた白ワインでやるとなんとなく収まりがつく。
○枝豆…丹波の農家から、黒豆の枝豆を十日ずつ、三回に分けて送ってもらう。最後の方は枯れ枯れであまり見た目はよろしくないが、二十分から三十分かけて茹で上げると、もちもちして甘味も強く、じつに旨い。占地や金時人参などと一緒に白和えにしてもいいんちゃうかな。
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最近読んだ本。
◎マーク・プロトキン『メディシン・クエスト 新薬発見のあくなき探究』(築地書館)
◎ジェフリー・スタインガーテン『すべてを食べつくした男』『やっぱり美味しいものが好き』(文春文庫)
◎伝田光洋『驚きの皮膚』(講談社)
◎稲田和浩『怪談論』(フィギュール彩34、彩流館)
◎ソースティン・ヴェブレン『有閑階級の理論 附論経済学はなぜ進化論的科学でないのか』(講談社学術文庫)
◎魚川祐司『仏教思想のゼロポイント 「悟り」とは何か』(新潮社)
◎フランソワ・フュレ『歴史家の仕事場』(藤原書店)
◎オタ・フィリップ『お爺ちゃんと大砲』(春風社)
◎五味文彦『文学で読む日本の歴史 古典文学篇』(山川出版社)
◎アロイス・イラーセク『チェコの伝説と歴史』(北海道大学出版会)
◎クルツィオ・マラパルテ『クーデターの技術』(中央公論新社)
◎浜野周泰監修『世界の巨樹と絶景の森』(学研マーケティング発売)
◎マルチェッロ・マッスィミーニ、ジュリオ・トノーニ『意識はいつ生まれるのか 脳の謎に挑む統合情報理論』(亜紀書房)
◎ペネロピ・ホブハウス『世界の庭園歴史図鑑』(原書房)
◎兼平賢治『馬と人の江戸時代』(歴史文化ライブラリー、吉川弘文館)
◎島内景二『大和魂の精神史 本居宣長から三島由紀夫へ』(ウェッジ)
◎W.B.イェイツ『赤毛のハンランと葦間の風』(平凡社)
◎高田里惠子『文学部をめぐる病い 教養主義・ナチス・旧制高校』(松籟社)
◎苗村忠男・高見浩『本格派の鱧料理127品 京都が育んだ味と技術』(旭屋出版)
◎柴田日本料理研鑽会『料理のアイデアと考え方 9人の日本料理人、12の野菜の使い方を議論する』(柴田書店)
◎アミーア・アレクサンダー『無限小 世界を変えた数学の危険思想』(岩波書店)・・・ガリレオが地動説をめぐって異端審問にかけられたことは誰でも知っている。別にカトリック教会の肩をもつ義理はないけれど、まあ聖書の記述と明白に矛盾するのだから躍起になるのも分かるわな、という気になる。ところがこの本では、「無限小」なる概念がカトリックの中で異端・危険視され、一部の国では弾圧を喰らい、反対にこの概念が勝利を収めた国があった、その攻防の歴史が語られる。なぜに数学がキリスト教神学の忌憚にふれるのか、と思うが、これは要するにカトリック、というよりその最右翼たるイエズス会が奉じるところの絶対・不変・普遍的な秩序を根柢から揺るがしかねないものなのだそうである。ユークリッドの幾何学が純粋理性に基づく、切れ目無く完璧な演繹から不動の体系を編み出していくのに対して、「不可分実体」とも言われる「無限小」は実在の世界からの類推に頼った曖昧な概念であり、これを認めることはいわば世界秩序のボトム・アップ的改変につながりかねないのだ。驚くのは、この一点に関してローマ・カトリックを「闇の王国」と悪罵して毛嫌いしていた、あのトマス・ホッブズもイエズス会と期せずしてまったく同じ立場になってしまうこと。あっ、と言わせる思想史の書き換えである。《悪の枢軸》イエズス会対、自由と民主主義の騎手たるアングロサクソンという図式があまりにも安手に見えるところもあるし、訳者も認めるとおり、著者の論証はかなり荒っぽくてホンマかいなと思う箇所も少なからず。でも面白いことは請け合います。こういう問題が政治社会的な論争になるヨーロッパって、つくづく興味深い文明だと思う。一言多いのかもしれないけれど、進化論も地動説もすらりと受け容れてしまう日本の精神史とは果たして遠藤周作のいう「沼」なのか、底知れぬ叡智の宝庫なのであるか。
- 作者: アミーア・アレクサンダー,足立恒雄
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2015/08/29
- メディア: 単行本
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