さんまは目黒で・・・

 空男がヴェネツィアから戻ってきた。歓迎かつ慰労の会を拙宅にて、といっても二人きりながら行う。会の名称前半は言うまでもなく当方にとっては水汲み・修繕その他の小用に好都合だからであり、名称後半は大学や塾の仕事を振り捨ててという背水の(行き先がヴェネツィアなれば向水でもあるのだが)留学であったという事情に係る。


 ともあれ宴前は一年ぶりの水汲み。「こうなると思ってました」とはさすが名執事の弁である。帰りに買い物も済ませ、いったん水・食材を家に運んだあとは、車を北区の空男自宅に置きに戻り、当方はそのあいだに準備をするという段取り。

 当日の献立は以下の如し。


○鴨すき=客が向こうであまり食べなかっただろう食材、というよりも時分を迎えて出盛りの春野菜をもりもり食べたいという当方の欲求によって決定。独活・芹・三ツ葉・黄ニラ・菜の花・新牛蒡、と取りそろえております。


酒のアテとして
○造り=墨烏賊の綺麗なのがあったのでそれを造りに。つまは新若布。
○漬け物=菜の花漬と沢庵、赤蕪漬(これは先週滋賀で買ったやつ)
穴子山葵和え・カラスミ


 予想通り芹・独活・三つ葉が一等旨い。すき焼きは春に限る、と言いたくなるほどである。どれも香りの輪郭がしゃんとしてるから、、鴨ロースでなくとも、鳥モツなんかでもよさそう。無論神戸牛でも全然構わない。それにしても前回のKG会に続いて、一週の内に二回すき焼きをすることになるとは思わなんだ。



鳥と野菜


烏賊


いや、ちがった。


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 最近の本。

坪内祐三『まぼろしの大阪』(ぴあ)・・・筆者と題材の組合せに期待したがなんともなし。
ジュリアン・バーンズ『アーサーとジョージ』(真野泰・山崎暁子訳、中央公論新社)・・・バーンズもこんな成熟した「物語」書くようになったんだなあ、と感嘆久しうした。コナン・ドイルが冤罪事件の弁護に立ったという実話に基づいているのだが、正義漢で騒々しくて行動的なドイルと、被害者の逸脱した静穏さとが小説的に実にいい絵をつくっている。
○楠家重敏『「歴史とは何か」の歴史』(晃洋書房
ジョルジョ・アガンベン『?神』(上村忠男・堤康徳訳、月曜社
○佐川和茂『ユダヤ人の歴史と職業 文学で読む』(彩流社
○辻芳樹『和食の知られざる世界』(新潮新書
○C.F.v.ルーモール『料理術の清新 ある美術史家の食卓』(中山典夫訳、中央公論美術出版)
○アーサー・クレイバラー『グロテスクの系譜 英文学的考察』(河野徹他訳、法政大学出版局
○冨谷至『中華帝国のジレンマ 礼的思想と法的秩序』(筑摩選書)・・・最近出た、そして関係者ではかなり話題らしい高山大毅さんの新刊もこういう構想なのかな?はやく読みたいっ。
ウンベルト・エーコ編著『異世界の書 幻想領国地誌集成』(三谷武司訳、東洋書林)・・・『美の歴史』『醜の歴史』(これが圧巻)『芸術の蒐集』に続くエーコ博物誌の第四弾。追悼エーコ。『薔薇の名前』に熱狂した高校の時からのアイドルでした。我がベストスリーは『中世美学史』『バウドリーノ』(長い書評を書いた)『醜の歴史』か。いや、話題の『プラハの墓地』はまだ未読だからこの選択も流動的か。


アーサーとジョージ

アーサーとジョージ

異世界の書―幻想領国地誌集成

異世界の書―幻想領国地誌集成



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