大楠公と大阿利襪

 「第四三回東西落語名人選」(神戸文化ホール)。


柳家三三「もと犬」
○笑福亭仁智「老女A」
柳家さん喬「棒鱈」
桂福團治悋気の独楽
 中入り
月亭八方「高津の富」
柳家小三治粗忽長屋
という番組。


 さん喬師=歌がうまい。福團治師=御(ご)寮(りよ)人(ん)さんが丁稚を問い詰めるところ、「嘘ついたら、血ィ吐いて死ぬし」のせりふ。「死ぬし」が可笑しい。落語はやっぱり、ことばだなあ。八方師=鳥取在の親爺の小ずるいところが良く出ている。噺家の像と重なってるんだろう。小三治師=志ん生ならシュールな味わいになるところ、江戸ことばのやり取りが妙にリアルで可笑しい。ともあれ小三治さんがお元気そうで何より。


 小三治さんが、噺の前に「もう四三回ですか・・・」と、阪神大震災直後の手弁当での公演(文化ホールは壁に損傷があって公演不可だった由)や、春團治の生前の思い出をしっとりと語っていた。


 こちらも、志ん朝の「へっつい幽霊」が素敵に面白かったなあ、と思い出す。


 公演の後はすぐ南の湊川神社で開催中の「KOBE OLIVE NEXT150」なるイベントをのぞいてみる。明治の初め頃、北野にオリーヴ園があったのは知っていたが、園中の一本とおぼしき樹が楠公さんの境内に移植されていたとは初耳。あまり詣でることが無いお宮だからなあ。


 さて、何よりもまずオリーヴを見る。ビルの二階を越しそうな高さに驚く。オリーヴの老樹は佶屈として横に匍うように伸びるものとばかり思い込んでいた。実もびっしり生っていたけれど、現在ゾウムシの被害にあって治療中とのこと。樹勢が戻ったらまた見に行きたい。いいものを教えてくれた。


 主役たる橄欖翁の周囲にはしかし、ほとんど見物客はいない。みな白やら赤やらワインの入ったグラスを手に、屋台を回っている。こちらも昼酒すべいか、と歩いていくと、「海月」の岩元夫妻に声を掛けられた。ランチ営業の後来たのだそうな。二、三時間後には店を開けるというのに元気ですなあ。


 スブラキとギリシャの白、鶏肝のコンフィとスペインの白などでちびちびやりながら、敬士郎さん夫妻としばし談笑。木曜日には夫妻と遊ぶ予定なので、その打ち合わせもする。


 夕景、「海月食堂」でマッタケと鱧の春巻やら秋刀魚燻製と茄子の和えそばを堪能したことは申すまでもございません。

小野佐和子六義園の庭暮らし  柳沢信鴻『宴遊日記』の世界』(平凡社
○高津孝『江戸の博物学 島津重豪と南西諸島の本草学』(ブックレット「書物をひらく」、平凡社
○平野惠『園芸の達人 本草学者・岩崎灌園』(ブックレット「書物をひらく」、平凡社
○近藤三雄・平野正裕『絵図と写真でたどる明治の園芸と緑化 : 秘蔵資料で明かされる、現代園芸・緑化のルーツ』(誠文堂新光社
○菅野博貢著・写真『世界の庭園墓地図鑑 歴史と景観』・・・何かというと「世界一○○」という形容が出てくるのが耳障りという欠点はあるにしても、常に現代日本での葬儀・埋葬事情に還元して現実的な提案をしているのは、良い。鯨馬はオークか胡桃か(オリーヴ)の下に埋めてほしいなあ。
○山田雅重編『日英ことわざ文化事典』(丸善出版
ジェシーベーリング『なぜペニスはそんな形なのか ヒトについての不謹慎で真面目な科学』(鈴木光太郎訳、化学同人)・・・訳者が言うとおり、「生煮え」の論考多し。自分がゲイ、という言及も多過ぎ。ゲイだろうがヘテロだろうyが、自分の性的嗜好をしつこく言いつのるのは如何なものか。
○ジョン・コーンウェル『ヒトラーの科学者たち』(松宮克昌訳、作品社
★保苅瑞穂『モンテーニュの書斎 『エセー』を読む』(講談社
○桃井治郎『海賊の世界史 古代ギリシアから大航海時代、現代ソマリアまで』(中公新書
宮田昇『昭和の翻訳出版事件簿』(創元社
ジーン・ウルフ『書架の探偵』(酒井昭伸訳、早川書房

★・・・今回のイチ押し。

 

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