御位争い

 

 盆の時期は出勤にしてもらって、業者も来客もないしづかな職場で溜まった仕事を片付ける。その分は秋頃に旅行の為に使うことが多い。先週末の三連休はだから、当分は無い連休だったのだけれど、旅行はおろか一歩も家を出ずじまいだった。『ゲーム・オブ・スロウンズ』を立て続けに見ていたせいである。

 

 三日間で第五シーズンの途中まで、つまり四五時間は画面に食いついていたわけ。こんな経験は『ヱヴァンゲリヲン』か『ツイン・ピークス』くらいでしかしたことがなかった。

 

 今頃見始めたんかい、と莫迦にされても仕方がない。三年ほど前に某店のネエちゃんに熱烈に勧められていたにも関わらず、なんとなく気ぶっせいで放っておいたのだった。

 

 それにしてもまあ、これでもかというくらい執念く権力闘争と虐殺と陰謀が続いていく辺り、ヨーロッパの連中はさすがにタフだなあと思いました。我が『グイン・サーガ』ですら後半はあてどない感懐のたゆたいが主になってたしねえ。映像の美しさもさることながら、思わず笑い出してしまうほど、筋立てがコテコテしてるところを存分に愉しみました。そういう点では山田風太郎のある種の作に近いのかもしれない。

 

 一等気に入ったのは《小鬼》ティリオンの筋。悪辣にして陽気、野卑にして善良、おまけにシャイロックめいた長大な名演説もあって、泣かせるではありませんか。

 

 王冠をめぐる果てしない争いが、題名通りに主筋ではあるのだろうけれど、一体にこのドラマ・シリーズ、脇のエピソードに味があるのがいいね。ジェイミーとブライエニーの道中とか、ジョン・スノウとサムウェルの友情とか。そうそう、ジョン・スノウみたいな(キット・ハリントンみたいなと、言うべきか?)超絶オトコマエが、恋人に大剣で頭をポンポンはたかれる場面なんぞ、呑んでたワインを噴いてしまったほどである。あ、この三日は買い物にも行かず、ひたすらビールとワインとバーボンを飲んでました。人間、意外に食べなくてもやっていけるものである。

 

 閑話休題。いや、本題も充分閑話でありますが。ファンタジーのいいのは、人間どもの地獄絵図をさらに《外》から撃つ視点が持ち込めるというところにあって、とはつまり、北の《壁》の向こうのバケモノどもがいつ越えてくるのか、というサスペンスが物語の枠を引き締めているのは間違いない。果たしてどう収束させるのであろうか。

 

 最終シーズンの公開はまだ当分先のようだから、残した第五の後半から第七までをいつ見たものか。まことに悩ましい。それよりもまず、この悩ましさと、架空世界にずっぽり浸り込む快感とを語り合える友人、いないかなあ。

 

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