平野ぐらし

 三連休も基本的に家居。来週と再来週はお出かけ・旅行と続くので出控える。

 何度か書いたが、出勤の都合で最近はきっちり時間を取って料理することがむつかしい。初日はこの欲求不満を晴らすために、朝から元町・湊川へ買い出しに行き、小半日かけて自分一人だけのために台所でせっせここしらえる。地味な品が多かったので、お客をするのもためらわれたのなり。

 この日の素人包丁は秋懐石(風)の趣向。献立は以下の如し。

○菊と小松菜の和え混ぜ、胡麻酢(酢はほんのり)
○栗、木耳、黒枝豆の白和え(栗は甘味、木耳淡口醤油、豆は塩と下味をつけて、和え衣はごく薄味)
○鯛の子含め煮、叩きオクラ、青柚
○小芋の辛子和え(白味噌と辛子と卵黄と酒を練る)
○柿膾(大根・人参・摺り胡麻、少し酢をきかせた味付け)
○にしんと茄子の炊き合わせ、酸橘
○椀盛(舞茸、鳥酒煮、茗荷、柚大へぎ)
○子持ち鮎山椒煮(番茶で下煮し、濃いめの酒と淡口、実山椒で煮る)
○沢庵二種(早めに出し、冷蔵庫で保管したおいたのと、桶から出したて、つまりほぼ一年寝かしていたのと。後者はかなりアレな見た目だが、塩が熟れてじつに旨い!)

 生魚でこれぞというのがなかったので、むやみに煮物和え物の多い膳組となった。


 二日目は昼過ぎまで読書、雨が小やみになった頃、散歩がてら東山の『しまだ酒店』へ。三杯ほどやってから、『てらむら』でもとめたワインをぶら下げて花隈『鷹楽園』。一周年のお祝いである。前の『アラスカ』も他にはない雰囲気の店だったが、こちらに移ってから、シェフはいっそうのびのびと“自分のしたかった料理”を展開されているようで、慶賀に堪えず。このままおとなしくご帰館あったのち、丹波の農家から届いた枝豆を真剣に湯がいてひたすらむさぼる。マメもここまでくるとビールなんぞでは太刀打ち出来ない気がして、冷や酒(常温ちうやつですな)をあおりながら豆三昧。

 最終日。すっきり晴れたので、シーツ類を洗濯したあと、平野交差点近くの小さな中華やへ初見参。八宝菜の定食に春巻を頼み、生中を飲んでいると、急に満腹になってしまう。

 まだまだ日も高いので、そのまま久々に湊山温泉へ。浴槽のタコもアヒルも健在であった。一時間ほど体をほどいて外に出ると漉されたような淡い陽差しと乾いた風が快く、もいちど交差点に戻って、これも久々に山田古書店で百円均一の本をあさるに、三冊見つかる。

 八十になってかような日々をこの土地で過ごせたらいいな、と思う。