日没閉門

 ある会合でご一緒した方が陽性と判明。ブログ子も二週間の自宅待機を余儀なくされた。さすがに夕景になっても呑みに出る訳にもゆかず、気分としては蟄居謹慎仰せ付けられた感じ。

 テレワークをしていると、職場ではなんだかんだと体を動かしていたことに気づく。運動不足およびストレス解消のために、昼の休憩時には近所を散策。ま、客観的には徘徊というべきでしょうが。爛漫の花の下に人がいないのはやっぱり異様な光景で、もし世界破滅モノの小説書くならこの光景から始めるのもいいな、と考える。

 夜の時間は読書して過ごす。ゲームしたり、映画を見たりする気がほとんど起きなかったのは我ながら意外。

○桐山昇・栗原浩英『新版東南アジアの歴史』(有斐閣
○澤井義次『ルードルフ・オットー 宗教学の原点』(慶応義塾大学出版会)
吉中孝志『花を見つめる詩人たち マーヴェルの庭とワーズワスの庭』(研究社)……当然ながら川崎寿彦『マーヴェルの庭』(初読の際、卒倒しそうなくらい熱中した)を意識しているが、川崎先生の本がバロックとしたら吉中氏はいわばロココ、彼がシュトルム・ウント・ドランクとすればこれはビーダーマイヤーという研究スタイルの違いがまた面白い(スタイルの差であって、価値評価ではありません)。
○ジュリア・ショウ『悪について誰もが知るべき10の事実』(服部由美訳、講談社
○ジャン・アメリー『新版 罪と罰の彼岸』(池内紀訳、みすず書房
伊藤薫『修辞と文脈 レトリック理解のメカニズム』(プリミエ・コレクション、京都大学学術出版会)
藤田達生『藩とは何か 「江戸の泰平」はいかに誕生したか』(中公新書
宮脇淳子『皇帝たちの中国史』(徳間書店)……夫君(岡田英弘)同様、文章のガラが悪いのがかえってなんだか可笑しい。
○クリフォード・ピックオーバー『ビジュアル医学全史』(板谷史訳、岩波書店
○久保田淳『藤原俊成 中世和歌の先導者』(吉川弘文館
亀山郁夫野谷文昭『悪魔にもらった眼鏡』(名古屋外国語大学出版会)
○長尾健二『歴史をつくった洋菓子たち』(築地書館
○黒田俊雄『王法と仏法』(法蔵館
アーシュラ・K・ル=グウィン『暇なんかないわ 大切なことを考えるのに忙しくて』(谷垣暁美訳、河出書房新社)……エッセイ集です。
井上達夫『リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください』(毎日新聞出版
○長谷部恭男『憲法のimagination』(羽鳥書店)……時々吹き出す。巧いなあ。
鹿島茂『本当は偉大だった 嫌われ者リーダー論』(集英社)……最近の鹿島さんは、徒手空拳・孤軍奮闘でがんばってる。
○雲英末雄・佐藤勝明校注『花見車・元禄百人一句』(岩波文庫
○『週刊読書人 追悼文選』(読書人)
森まゆみ谷根千のイロハ』(亜紀書房
カズオ・イシグロ忘れられた巨人』(土屋政雄訳、早川書房)……初読では途中でやめた。今はファンタジーの設定も気にならない。なんでだろうか。
○『わたしのベスト3』(毎日新聞出版)……選ばれた本よりも、選者と対象との組み合わせの方が興味深い。
○広瀬和生『なぜ「小三治」の落語は面白いのか?』(講談社)……すべての演目で、それぞれの高座/CD/DVDでの演出・空気の違いを解説している!
丸山健二『新・作庭記』(文藝春秋
エリック・マコーマック『雲』(柴田元幸訳、東京創元社)……『ミステリウム』など、マコーマックの他の作の世界が自在に混じり込んできているのが嬉しい。黒曜石雲のエピソードはもっと丁寧に処理してほしかったけど。
牧村健一郎『評伝獅子文六』(ちくま文庫
○小坂井敏晶『増補責任という虚構』(ちくま学芸文庫)……この著者の、容赦なく論理をつきつめていく姿勢が好き。
○佐藤康宏『絵は語り始めるだろうか 日本美術史を創る』(羽鳥書店