贔屓誕生

ジャコモ・レオパルディ『断想集』(國司航佑訳、ルリユール叢書、幻戯書房)・・・イタリアの国民的詩人(『カントー』は脇功訳あり、名古屋大学出版会)の断章風エッセー。厭世観と同時に「本当の詐欺師は決してだまされる相手をみくびらない」など妙に老成した箴言が混じるところが面白い。愉しんだのですが、この叢書が凄い!ウージェーヌ・シューの『パリの秘密』(五巻!)、ユゴーの『笑う男』他、スタール夫人とか(シブイ!)、ネルシアのポルノグラフィとか、そして何よりかねて贔屓のシリル・コナリーの『不安な墓場』など、なんとも野心的なラインナップである。うーん、これは光文社古典新訳文庫以来の快挙ではないか。応援しますよ、幻戯書房さん。
○ケイト・アトキンソン『ライフ・アフター・ライフ』(青木純子訳、東京創元社)・・・今回小説ではこれかな。死んでは生き返り、を繰り返す女性の生涯を経糸緯糸?)にした二十世紀ヨーロッパ史。初めはちと読みにくいが、トーマス・マンのごとく駆使されるライト・モティーフがぐんぐん迫るようになってきて、後半は一気に読めます。父親・女料理人・女中など脇役もまたよし。
○エミール・ガボリオ『バスティーユの悪魔』(佐藤絵里訳、論創社
ミラン・クンデラ『邂逅』(西永良成訳、河出文庫
○ジャン・ジオノ『二番草』(山本省訳、彩流社
西郷信綱『古代人と死』(平凡社ライブラリー
○ニック・ランド『暗黒の啓蒙書』(五井健太郎訳、講談社
○『旧国名で見る日本地図帳』(平凡社
竹田青嗣『哲学とは何か』(NHK出版)
○菊地大樹『日本人と山の宗教』(講談社現代新書
バリー・ユアグロー『たちの悪い話』(柴田元幸訳、新潮社)
竹下節子無神論』(中央公論新社)・・・無神論キリスト教というシステムの中でしか生まれ得なかったことがよく分かる。鯨馬なんぞのようなキリスト教嫌いから見れば、あんな宗教、莫迦莫迦しくてとてもまともに相手に出来ない、よって無神論が栄えるのは当然のように思える。ただ、ここがヨーロッパ文化の端倪すべからざるところだが、その無神論と必死に格闘し、ねじ伏せ、食い破ろうとする営みの連続が自ずから強靱な思想史となっていくのである。すごい。
○衣川仁『神仏と中世人』(吉川弘文館歴史文化ライブラリー)
ジェフリー・フォード『ガラスのなかの少女』(ハヤカワ文庫)
仲正昌樹『いまこそハイエクに学べ』(春秋社)
○芦津かおり『股倉からみる『ハムレット』』(京都大学学術出版会)
高橋英夫『五月の読書』(岩波書店


料理の本としては、
アンドレ・パッション『フランスの郷土料理』(河出書房新社)・・・いい本。
○『シグネチャー・ディッシュ 食を変えた240皿』(KADOKAWA)・・・日本料理版をぜひ出して欲しい!※日本料理も含まれてはいるが、いかんせん「小野二郎 鮨」という程度の扱いなのだ。
○うすいはなこ『干物料理帖』(日東書院本社)・・・勉強なりましたー。

 

 

 

フランス郷土料理

フランス郷土料理

 

 

 

断想集 (ルリユール叢書)

断想集 (ルリユール叢書)