行く夏とは言わない


 夏井いつき先生の『俳句ポスト』がリニューアルしてからもひとつ戦果がふるわない・・・・・・。

林家染丸『上方らくご歳時記』(燃焼社)
澤田瑞穂『中国史談集』(早稲田大学出版部)
○ジェス・ウォルター『美しき廃墟』(児玉晃二訳、岩波書店
野口冨士男『巷の空』(田畑書店)
○ガーズィー・ビン・ムハンマド王子『現代人のためのイスラーム入門』(小杉泰訳、中央公論新社
○バーバラ・H・ローゼンワイン『怒りの人類史』(高里ひろ訳、青土社
○チゴズィエ・オビオマ『小さきものたちのオーケストラ』(粟飯原文子訳、早川書房
○ローズ・マコーリー『その他もろもろ』(赤尾秀子訳、作品社)
シュテファン・ツヴァイク『聖伝』(宇和川雄訳、ルリユール叢書、幻戯書房)……林達夫の対話(『思想のドラマトゥルギー』)で触れられていて、ずっと(三〇年近く(笑))読みたかった本。ルリユール叢書もっと出してくれ。
中条省平『人間とは何か 偏愛的フランス文学作家論』(講談社)……読書の記憶をたどり返しながら語られるフランス文学史
山崎正和『哲学漫想』(中央公論新社)……表題の連載エッセイ(未完)と時評・書評・追悼文。「哲学漫想」がすごい。前著『リズムの哲学ノート』の足らざるところを自ら省察し、訂正・補筆・展開する。その際にショーペンハウアーの『意志と表象としての世界』全巻を読み直し、註する!専門家は知らず、この本をここまで丁寧に読み解き、評価・批判した文章はほとんど無いのではないか。あ、思い出した。吉田秀和がつとに「天才的に曖昧な哲学」と評していたが、おそらく山崎正和の犀利な批判と同じスジだと思う。他にも新型コロナ騒動をいつもどおり冷徹かつ現実的に考察した文章にも圧倒される。充実した晩年としか言いようがない。これだけ見事に「思想と人生」とを生ききった人だからこそ、「人間がなぜ孤独死していけないのか」ということばは(最近出た山崎正和の評伝に収められている)限りなく重い。
○尾脇秀和『氏名の誕生』(ちくま新書)……なぜかあげるのを忘れていた。特殊な(ここが重要)近代化の中で夫婦同姓がデフォルトとされていく骨太な論の運びも読ませるが、ともかく細部が面白くて面白くて。江戸研究には必携の一冊。
日下三蔵編『皆川博子随筆精華2 書物の森への招待』(河出書房新社
○笹本正治『歴史のなかの音』(三弥井書店
○ノーマン・ロック『雪男たちの国』(柴田元幸訳、河出書房新社)……読み終わって「雪男出てこえへんやん」と呟き、一瞬後に「いや、これでええのや」と思い返す。しみ通るような細部で読ませる。スコットが歴史事実としては前年に死んでいたということを知るとなおさら味わい深い。
○渡邉 義浩『『論語』 孔子の言葉はいかにつくられたか』(講談社選書メチエ
○北川扶生子『結核がつくる物語』(岩波書店
○フョードル・ソログープ『小悪魔』(青山太郎訳、白水社uブックス)
○岡本亮輔『宗教と日本人』(中公新書
ジュール・ヴェルヌ『ジャンガダ』(安東次男訳、文遊社)