雨にうたるるめだか鉢

 気象庁の「梅雨入り宣言」とは、例年の梅雨の時期・一週間程度雨が降る・当日も雨という基準で出されるのだそうな。そんなふわっとした「基準」ならいっそ出さなくても誰も困らないと思うのだが。宣言あろうがなかろうが、週間天気予報見れば雨かどうか分かるわけだし。

○戸川隆介編纂『中国料理食語大辞典』(如月出版)
○ロジェ・グルニエ『パリはわが町』(宮下志朗訳、みすず書房)……断章による自叙伝(作家と街との)。杉本秀太郎『洛中生息』と並ぶべし。
筒井ともみ『舌の記憶』(新潮文庫)……文体が合わなかった。
○谷田博幸『図説ヴィクトリア朝百貨事典』(ふくろうの本、河出書房新社)……ディケンズなど読む時に重宝する一冊。鹿島茂『馬車が買いたい!』と並ぶべし。
○エイドリアン・トミネ『長距離漫画家の孤独』(長澤あかね訳、国書刊行会)……えらくnaiveやなあ。嘉村磯多か。
○ウォルター・バジョット『イギリス国制論』(上)(遠山隆淑訳、岩波文庫)……イギリス人らしく、大統領制をクサし王制を持ち上げるのだが、結局のところはそれが役立つからという臆面もないイギリス的プラグマティズム。欣快の至り。
小野紀明『政治思想史と理論のあいだ』(岩波現代文庫
○持田叙子編『安岡章太郎短篇集』(岩波文庫)……学生の時以来の再読となる「蛾」、やはり素晴らしい。
ヘーゲル宗教哲学講義』(山﨑純訳、講談社学術文庫
レアード・ハントインディアナインディアナ』(柴田元幸訳、東京 twililight)
石井恭二編『武田泰淳エッセンス』(河出書房新社
佐藤友哉『子供たち怒る怒る怒る』(新潮社)
フレデリック・C.バイザー『啓蒙・革命・ロマン主義 近代ドイツ政治思想の起源1790-1800年』(叢書ウニベルシタス、杉田孝夫訳、法政大学出版局
○M.H.エイブラムズ『鏡とランプ ロマン主義理論と批評の伝統』(水之江有一訳、研究社出版
橋爪節也監修『はたらく浮世絵 大日本物産図会』(青幻舎)
○ニーナ・バートン『森の来訪者たち』(羽根由訳、草思社)……えらくnaïveやなあ。いかがわしく感じるのはこちらがすれっからしに堕落してるせいなのか。多分違う。
馳星周『煉獄の使徒』上下(角川文庫)
○槇佐知子『くすり歳時記』(ちくま文庫
○槇佐知子『古代の健康法をたずねて 医心方の世界』(人文書院
○槇佐知子『病から古代を解く改訂版』(新泉社)
○ウラジーミル・ジャンケレヴィッチ『泉々』(合田正人訳、みすず書房)……変わらずエレガント。究極的に規定し得ない(しかしそれこそがアイデンティティーとなる)ユダヤ性を、にも関わらず、執拗に規定しては崩し規定しては崩しするエッセイ数編からなる第二部が圧巻。第一部はトルストイラフマニノフを扱う。ラフマニノフヴィルトゥオーゾの陶酔/臭みを避けてはならぬ断言する。反田恭平が協奏曲第三番を弾くのを聴いて(指揮は佐渡裕)、半音階的進行の鋭さ・不気味さに感心したが、それはコインの両面ということになるのだろう。余談ですが、反田さんにはリストでも晩年の無調的作品やバルトークシェーンベルクなどを手がけて頂きたい。
○菅原真弓『明治浮世絵師列伝』(中央公論美術出版
○塚原成夫『数学的思考の構造 発見的問題解決ストラテジー新版』(現代数学社
○マアザ・メンギステ『影の王』(粟飯原文子訳、早川書房
岡本綺堂『お住の霊 岡本綺堂怪異小品集』(東雅夫編、平凡社ライブラリー
○齋藤康彦『益田鈍翁 近代数寄者の大巨頭』(茶人叢書、宮帯出版社)……なんや茶の湯のことしか書いてへんやんけ!と思ったら、これは「茶人叢書」の一冊なのであった(ミネルヴァ書房の評伝シリーズと思い込んでいた)。経済史の専門家らしく量的手法を貫徹してるところがユニーク(誰と誰がどれくらい茶会に同席したか、等)。
○『和食店の鮮魚つまみ』(柴田書店
○有泉『中国陶磁の世界』(松田徹訳、科学出版社東京)
○岡嶌偉久子・山根陸宏校訂『花月日記』1(史料纂集古記録編、八木書店出版部)……寛政の改革を主導した老中松平定信の日記(ただし引退後)。雑誌『ビブリア』超長期連載の翻刻が刊行されはじめた。こちらが昔学問のまねごとに手を出していたころ、定信には少なからず縁があった。これを機縁にぽつぽつ読んでいこうと思う。言うまでもなく単なる趣味としてです。

今回はともかくこの2点。
○ジョン・W.ダワー『戦争の文化』上下(三浦陽一監訳、田代泰子他訳、岩波書店
○ローマン・マーズ『街角さりげないもの事典 隠れたデザインの世界を探索する』(光文社)

 

 

 

 

 

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