羽化登僊

 給料日の金曜日、東淀川の「とりや 圓」で飲む。

 もともと焼き鳥は大の好物だが、ここの焼き鳥はどれを頼んでも本当に旨い。脇のメニューの野菜もよい。酒も吟味している。

 いつもは日本酒をえんえんと呑む。この日は違った。店主のすすめで前衛的な(?)あわせかたをした。シェリー(アモンティリャード)をボトルで頼み、それで焼き鳥を食ったのである。日本酒のあとまだ酒を飲みたければシェリーがいい、酔い心地が同じだから、とはたしか酒仙・吉田健一の評言。さすがはヨシケンさん、瀟洒な取り合わせになりました。とくにソリレス(内股)や比内のももなど、すこし脂っこい部位とはよく合う。シェリーをがぶがぶ飲むのはあまり趣味がよくないかもしれないが。
 
 というわけで、毎日でも行きたい店なのだが、いかんせん遠すぎる。この日も終電を気にしつつの焼き鳥であった。それにしてもあのうずら、うまかったよなあと反芻しつつ、土曜日は近所の「鯛屋」(という名前の魚屋なのである)でもとめた鯛をうしおにして、ぬる燗。

 合いの手は郡司正勝「童子考」。今まで何度読んだかわからないが、何度読んでもそのたびに新しい発見のある本である。今回も星と叛逆者の結びつきについてあれこれ空想を繰り広げることとなった。