2012-09-01から1ヶ月間の記事一覧

沈黙の絵

たとえば「彼の寓意画の最高傑作」(とキャプションにはある)《運命の車輪》を取り上げてもいい。 人の背丈ほどの高さの縦長のキャンバスいっぱいに描かれた運命の輪の左にたたずむ運命の女神は左手を軽く車輪の輻に添えたまま、左に向けた顔も軽く俯けて、…

撮り鉄のはなし

王子公園は水道筋の、本通りから入った狭い路地にある小体な店は、たしか、別の食べ物屋が教えてくれて行ったのだと思う。それくらいわかりづらい場所で、また知らなければ入ってみようとは思えない店の外観だった。 大分で丁寧に飼育された地鶏を、串にはさ…

梅村と軸村

ピンチョン『メイスン&ディクスン』、とうとう読み終えましたよ。まだ全作は踏破してないけど、今まで読んだなか(『V.』『競売ナンバー49の叫び』『ヴァインランド』)ではいちばんでした。 他の諸作と違って、曲がりなりにも(この「曲がりなり」のな…

読書ノオト

坦々と、この10日ほどで読んだ本の感想をメモしていきます。最近こういうパターンが多いな。 仕事→ジム・スイミング(体重=筋肉が増え方がじれったくなるほど遅いのですが、何を食べればよいものか)→料理→読書→睡眠の日々が続いており、過ごしている当人…

鸚鵡の叫び

大好物である割には、蝦蛄の旬がいつなのかはっきり意識したことがない。春のような気もするし、秋のようでもあるし。 スーパーでそれほど大きくはないが、パック一杯に入ったのが298円。旬かどうかはわからないが、ま、安いには違いない。今夜はこれで一…

魔女の厨に煮えたぎるもの―『古代オリエントの宗教』〜双魚書房通信⑪〜

終章ではスンナ派イスラームにおけるイスラーム神学・法学の体系化が述べられる。評者のように、世界史に関して高校の授業程度の知識の持ち合わせしかない人間にとっても、「古代オリエント」とイスラームとの結びつきは異なものに映る。 しかし本書の構想に…

知らぬ仏と暴れ猿にはさまれて

ほんとに俳諧の記事が増えた。この年になってから覚えた趣味は深間にはまるというところか。うーん夜遊びは二十代で覚えておいてよかった。 今回の歌仙は何度か本ブログでも登場した、わたくしの大学の恩師・・・と書いたのでは感じが出ないな。大師匠のお誘…