2011-01-01から1年間の記事一覧

冬眠準備その一

先日の『はんなり祇園』も久々だったが、ここも同じくご無沙汰、阪急六甲の『彦六鮓』へ。 店主の中村靖子さん、お元気そうで・・・と挨拶すると一昨日まで入院していたとのこと。客全員が驚愕する。「ま、年齢相応にメンテナンスはまめにしといてもらわな困…

ある裏切り

寒波襲来のなか、久々に平野交差点『はんなり祇園』へ。ポートピアホテルの「大人の宴日」以来か。 この日は造り盛り合わせがことに上出来。四キロもある鯛を一日寝かしたのと、昆布締めと、八戸の鯖きずしと、鮪三種(赤身、中トロ、大トロ)。きずしは酢に…

たびら雪とはだれ雪

年少の友人の誕生日祝いに神戸・大丸の天ぷら屋『与太呂』に行く。車海老と貝柱、それにずわい蟹がおいしかった。名物の鯛飯もまたよろし。飲み物の種類とサービスはもっと研究されたし。 前日までリンパ腺を腫らして寝込んでいたはずの友人が元気に飲み食い…

食べ物を語る難しさについて

看板には「鯨飲」と謳っている。歳を考え合わせれば、まあまあ狗肉をひさいでいるわけでもないように思うが、毎度飲んだくれて二日酔い(正確には酔いの持ち越し)という記事ばかりでは殺風景に過ぎるので、食べた(作った)もの、行った料理屋等の内容も織…

近くて遠い町

先週末の宴会では車海老を出したので、その殻(および頭)が大量に出た。参加者の一人(主婦)から「モノを捨てませんねえ」と感に堪えた表情で(というよりあきれていたのか)言われたが、活けの海老の殻(および頭)とあればこれは捨てる方がどうかしてい…

ふるさとへ回る六部は・・・

気のよわりの兆したわけではないけれど、一年ぶりかで大阪の実家に行く。ふだんは極めてさらさらした付き合いながら、この日は法事にてやむなし。実家は長居にあり、阪急・地下鉄御堂筋線を乗り継ぐと車中けっこうな時間を過ごすことになる。で、携えていっ…

鳥一羽を食す

「職場アラフォーの会」という名目でお客をした。自分を入れて都合七名。折良く前日くらいから急激に冷え込んできていたから、鍋にはぴったり。とはいえシーズンには入った所だろうし、そんな変わった鍋でもなくてもいいか。と鳥鍋に決める。鳥はスーパーの…

連句百鬼夜行

正岡子規が俳諧の荒療治をやってのけた結果、明治以降はすっかりはやらなくなってしまったが、歌仙という形式がある。今風の言い方になおせば連句。つまり複数の参加者(連衆)で他人の詠んだ句に付けていくやり方である。五七五と七七を交互に付けていく。…

宴の余韻

奈良に遊んだ翌日は同僚との飲み会。一応焼き肉屋での開催ではあったのだが、いやあよく呑んだ。ビールから始まり、赤ワインが四本?五本?店の在庫が切れるまで呑んで肝腎の肉が添え物のようになってしまった。一人で平らげたわけでは無論ないけれど、こち…

せんとくんを避けて〜奈良の旅〜

偏窟なので、紅葉シーズンはどうせ京都は大賑わいだろう、と奈良に出かけた。遷都ブームももうさすがに落ち着いているだろうと期待したのである。 思えばもう十年近く来ていない。神戸に住む人間として、乗り継ぎがいかにも面倒そうなのが原因だった。いまは…

出でよ粋判官

神戸マラソンで思ったこと。この街は東西の幹線を断たれるとホントになんにも機能しなくなる。これは阪神大震災以来の感想である。 と、ジムで朝から泳いだあと、プールから上がってジャグジーで体を温めているときに考えた。 最近平泳ぎの型が「見えて」き…

あなたの蕎麦 わたしの蕎麦

毎年この時期は三宮そごうの「藪蕎麦」で「新蕎麦を囲む会」(「鍋を囲む」という言い回しはあるといえ、この名称なんとかならんものか)がある。友人・湘泉子を誘って出かけた。蕎麦がきと天ぷら、薬味に酒一本がついて新蕎麦は食べ放題。湘泉子(こちらと…

『皇帝フリードリヒ二世』(E.H.カントーロヴィチ)〜双魚書房通信⑧〜

ヘリオガバルスの出藍の弟子?マキャベリの師匠?ゲーテの双生児? オビにはこうある。「「世界の驚異」か?「反キリスト」か?」。 だが「か」でつなぐ必要はないだろう、世界の驚異であり反キリストであった。そのうえ、皇帝でもあった。すでにして世界の…

前夜祭

京都に紅葉を見に行った同僚によれば「まだ全然」とのこと。夜はさすがに冷えるとはいえ、まだ気温高いものなあ。来週末あたりから見られるようになるか。奈良にでも行くべいか。でも人多そうだからな。 その同僚曰く、「朝見た時よりは夕方の帰りがけに見た…

しば漬けを漬けましょう

十一月に夏日なんて嫌だなあ、と思っていればいきなり冷寂の気天下に満つ。結構なものである。茄子の値段も少し落ち着いてきたことであるし、しば漬けを作ってみましょう。 茄子は縦四つに割ってから六等分したあと、水にさらしてアクを抜いておく。でないと…

トアロード縦走

トアロードの下の方にあるもつ鍋屋で飲み会があった。最近いいお店をいくつかトアロード沿いに見つけている。なんとか雨も止んだようなので、家から散歩がてら歩いていくことにした。 まずはフロレスタでドーナツを買う。これは明日の朝ご飯用。1000円以…

君知るや レモンの花咲く国

ご存じゲーテのミニョンの歌。元来《北方志向》を自認していたけれど最近はそれもすこぶる怪しくなってきた。というのはこの数ヶ月というものイタリアにぞっこん夢中という感じなのである。 きっかけといえば・・・実人生の恋愛と同様、複合的なものでこれと…

秋の献立

素人料理(自炊のこと)ばかりでは舌がなまる。いい季節なので『紀茂登』に行く。料理は以下の如し。先付 天然舞茸、大黒しめじ、神戸牛、フォワグラのあんかけ、菊花山葵(志野の坪) 飯蒸 穴子、栗、銀杏(染付) 椀 車海老真蒸、松茸(菊花椀) 造り 鯛、…

秋の弁当

どの季節もとりどりに食材はあるけれど、日本料理を主に考えるなら、やはりなんといっても秋が一番。酒もうまくなるし。花粉症はないし(和食とは関係ないが)。 今年も、職場の掃除の方が(職場の)空き地を使って丹精して下さった野菜の収穫がいっぱい。カ…

ユルスナールの自伝

明日は大雨らしい。連休初日は存分に満喫しなきゃ、と朝のうちに用事を済ませて、久々に東山市場へ。売り手に若い世代が多いのは頼もしいが、客は老人が目立つ。 二往復ほど品定めして、鯖と渡り蟹と鯛の子、あと三つ葉等を買う。ざっくりした客あしらいが気…

元町の甘美な悪夢

こちらのシュヴァンクマイエル好きを知っている友人が、元町映画館で特集をやっていると教えてくれたのでさっそく見に行った。この日は短篇七本。ヴァイオリンに這う虫や鉛筆に塗りたくられるバターや、そして色んな作品に何度も登場する舌などのマティエー…

神戸で平家物語を読むということ

この夏土佐に旅行にいったとき、駅前広場の前に、ばかばかしいほど巨大な坂本龍馬の像が建てられていたのを見て、「郷土の偉人」ともなれば死んでからも地元奉公を続けねばいけないのだなあ、と少なからず龍馬に同情したおぼえがある。 まあ龍馬ほどの人気を…

大著二つ

三宮での待ち合わせまで少し時間があったので、ジュンク堂で新刊をチェック。来てよかった。まさか出ないだろうと思っていた本があった、それも二冊。 ロザリー・コリーの『パラドクシア・エピデミカ』(高山宏訳、白水社)はルネサンス期を主として、書名通…

無可有郷への船

体育の日の連休だけど、ジムと食材の買い出し以外はずっと家にこもって読書三昧。 まずは井上ひさしの、没後刊行の二冊『グロウブ号の冒険 附ユートピア諸島航海記』『黄金の騎士団』。いずれも未完だが、完成していればひょっとしてあの『吉里吉里人』を超…

大人の宴日

というイベントに参加してきました。てっとりばやく言えば、うまい酒とうまい肴を存分に味わおうという会。 今ではワインの会や日本酒の会に類するイベントはいくらでも開催されているだろうが、酒蔵・料理屋それぞれ二十ほど出店するというのはなかなかない…

アームチェアの旅行者

居間からは南西の方に窓が開いていて、読書用の椅子に座るとそこからは向かいにある寺の松の木が左の境界線を成すかたちで空が見える。 ジムから帰り、コーヒーを淹れて傍らに本を積み上げる。空には鰯雲が広がっている。先週はなんだかばたばたしてゆっくり…

『昔も今も』(サマセット・モーム)〜双魚書房通信⑦〜

書評は鮮度が命。六月に刊行されたこの本を「新刊書評」としてはいささか気がさすものの、今時モームの新刊が出て売れるんだろうかという思いもあり、ここに紹介する次第。 フィレンツェの若者ビアジオ・ボナコルシは旅の支度をしている。叔父の友人がイーモ…

江戸ロココ

休みの日だったが、朝から新快速に乗って姫路へ。市立美術館で開催中の『生誕250年記念 酒井抱一と江戸琳派の全貌』展を見に行った。酒井抱一は江戸中期の、さあどう言えばいいか。画家でもあり、俳諧師でもあり、吉原に通い詰めた粋人でもあり・・・姫路…

いわしづくし

中羽の鰯で、見るからにあぶらののったのが二十尾以上はいって158円。秋ですねえ。鰯なんて魚はあんまり新奇な料理にしても旨いはずがないので、次の通り、定番につくって堪能した。 ①三枚に下ろし、たて塩をした後、酢で〆たもの(身が白くなるほどでは…

親水基

最近「鯨飲馬読」に「汗牛」を足したほうがいいのではないかと思ってしまうくらいジム関連の記事が多い。今回もプールの話。 何も自慢しようというわけではない。こちらは500メーターほどをゆっくり泳いで上がるのがせいぜい。周囲のオジ(イ)サマオバ(…