2019-01-01から1年間の記事一覧

幻梅

呉春(別号松村月渓)は江戸時代の絵師。平安の産ながら、しばらく摂州池田に住んでいた。代表作のひとつ『白梅図屏風』は今までかけちがって見ることがかなわなかった。某日、出勤前の時間を使って逸翁美術館に足を向ける。 なんとなく銀泥地の紙に描かれて…

極寒の祭り

今、大きな「宿題」を抱えているので、旅行記をまとめる余裕はなし。今回も八戸・青森を堪能できたんだけどね。いい店を一軒ずつ発見。次はなんとか八戸えんぶり(寒のさなかに行う豊作祈願の祭り)の時に行きたい。 読書録もメモ書きだけ。○大石和欣『家の…

神無月の本

眼精疲労なのか視力の減退なのか、ともかく本当に冊数がいけなくなった。 ○谷川健一『選民の異神と芸能』(河出書房新社)○川村湊『闇の摩多羅神』(河出書房新社)・・・このところマタラ神なる異様な神が気になって仕方ない。①外来の神である、②念仏修行の…

平野ぐらし

三連休も基本的に家居。来週と再来週はお出かけ・旅行と続くので出控える。 何度か書いたが、出勤の都合で最近はきっちり時間を取って料理することがむつかしい。初日はこの欲求不満を晴らすために、朝から元町・湊川へ買い出しに行き、小半日かけて自分一人…

漬け物をかめばしづまる秋の水

不思議に思うのは、夢がなぜあんなに劇的物語的な内容展開を持つんだろうかということ。日常の風景・人間関係とまったく関係ない話だもんなあ。しかも目覚めてから我と我が構想力に感心したりもするし。根元的な物語乃至虚構欲求があるということか。こうい…

パンチ&ジュディ

ここに来てややバテ気味・・・夏痩せではなく、8月29日(ヤキニクの日)から三連チャンの焼肉パーチーによる肉食傷というのでもない。 六月からずっと遅番のシフトが続いており、家事全般・買い出しには精励恪勤なる主夫(兼勤め人)としてはかなりストレス…

北へ南へ

【北篇】 草津のビストロ『ロンロヌマン』さん、と書いたのではいかにも他人行儀の感じがする。前田卓也シェフのファンとしては「前ちゃんの店」という認識。今回も堪能しました。 ○前菜1:野菜三種。①マッシュルームのサラダ・・・キノコは生。チーズとヴィ…

忍び寄るもの

呑んで帰った時、マンションの階段で転倒、二週間ほど矢吹ジョーないしお岩様のように左目周りが腫れていた。それから一月ほど、激しい雨音に目を覚まし、居間の窓を閉めに行く途中、突然気を失って倒れた(数分意識がなかったようだ)。このときは膝をうっ…

本当にメモ

梅雨入り前の風は本当に気持ちがいい。昼酒呑んで川ばたを歩いて帰る時などは特に。 最近読んだ本。このところ色々弱り気味なので、いつも以上に無愛想なメモとなる。 ○柄谷行人『世界史の実験』(岩波新書) ○山泰幸『江戸の思想闘争』(角川選書) ○村上春…

市中の大人(たいじん)~追悼 田辺聖子

たとえば『道頓堀の雨に別れて以来なり』でもいい。ひとまずは川柳作家・岸本水府の評伝である。「ひとまず」というのは、水府個人の人生の足跡を辿るにとどまらず、大阪そして日本全体の同時代の川柳界の動きをあやまたずとらえ、そこから近代川柳史のみあ…

緑陰読書

即位改元のめでたさはそれとして、なんだあの上皇后という称号は。「言うに事欠いて」という表現はあるけれど、皇太后なり大后なり由緒正しいことばがある以上、「事欠いて」ですらない。鰻丼や鮨食ってんじゃああるまいし、全く何たる呼びざまか。「(「皇…

酒と桜

二日連続の花見。どちらも当たり前ながら昼ひなかで、恰度気温が高く、うらうら照る日の下でぼけーっと花を見るような見ないような顔つきで酒を呑むのは格別の味わいでした。 職場からの帰りに通る宇治川沿いは神戸でも割合有名な花どころで、この二日とも人…

ハイジン同盟

酒の席でのふとした一言から拙宅で連句を興行することになった。さるにても酒席から始まる物事の多い人生であることよ。 連衆は当然ながら呑み友だちばかり。芭蕉翁の戒め(「俳諧では酒三盃を過ぐすべからず」)に背いて、酒宴の設けも怠らない。というか、…

女中的視点

大阪市立美術館のフェルメール展、早めに御覧になるほうがいいですよ。これからどんどん混んでくること間違いなし。それくらい充実した出品でした。ま、フェルメールの名前が付いてるならどのみち人気が出るんだろうけど。 お目当ては『手紙を書く女と侍女』…

金沢

白山比咩神社の境内にもほとんど雪は無かった。義理堅く立春に春一番が吹いて気温が異様に上がったせいらしい。一年前は三十数年ぶりとかの大雪で営業を休んで雪かきに追われたのを思うとまるで嘘のよう。 とは『料理旅館和田屋』の仲居さんの話。今回当方が…

鳥獣大会

一月はよう食べに出た。勤務先の事情で、連休が少ない月だったから、溜まったストレスを外食で発散する形となった。と言っても炭水化物に興味はないので、カツ丼大盛り!とか新規ラーメン店発見!なんてことにはならない。熱燗大盛り!とか新規漬け物開発!…

雪の城~弘前初見参(2)~

『たむら』の御主人には岩木山へバスが出ているとも聞いていた。雪の岩木神社も魅力的だったけど、まあいっぺんに見尽くすことはないわな。また来ることは間違いないし。と考えて二日目は朝から市内の散策。 最初はやっぱりお城かな。せっかくだから観光客の…

雪明かり~弘前初見参(1)~

遅くなりましたが、新年のご挨拶を申し上げます。 己亥(つちのとゐ) ぼたん雪ふるあめつちのおともせでふすゐの床にむすぶはつ夢 まつすぐに駆けくる気負いの武者武者といさましく喰うぼたん鍋かな 蝶は舞ひもみぢかつ散る花の宴小萩も咲いて福よコイコイ …