2015-01-01から1年間の記事一覧

ひつじの歩み

やたらと忘年会の多い年だった(それで二週間も更新してなかった)。とりどりに楽しかったが(職場全体の「公式忘年会」は除く)部下二人と行った、元町は鯉川筋『シェルハラ』の牡蠣まつりが良かったな。体調によってアレルギー反応を起こすから、生の貝は…

みなそこに故郷あり

恒例の湘泉子との忘年会は、(1)二人でする(2)焼き鳥屋でする(3)しかしトリは食べない、という規約を厳密に守って行われる。(1)(2)はともかく、(3)に関しては意味不明な書き方であるが、これは店が我々の我が儘を容れて、トリ以外の食材を…

追悼ふたつ。

野坂昭如氏逝去の日、友人から教えられて中国文学者の一海知義先生が十一月に亡くなられていたことを知る。 もちろん単なる偶然に過ぎない。にも関わらずお二人を並べて見てみたくなったのは、第一にどちらも当方がお目に掛かったことがあり、かつその文業に…

遠くにありて思ふもの

今年度初の年忘れ会は、拙宅に張龍はじめ気の置けない友人を招いた。さすがにこの時期だとまだ食べ飽きてないはずなので、料理は鍋。客をする以上、なるべく時間をかけてきっちり仕込みをしたかったのだが、あいにくこの週は仕事がつまっていたため、前日の…

寄り添う人

「ChezChilo」というそのお店は、長く付き合いのある「Izarra」のYシェフに教えてもらった。「間違いなく気に入ると思いますよ」と折り紙を付けてくれたのだが、まさにその通り。初めて行った翌々日にまた予約を入れて再訪したくらい(本当は翌日にでも行き…

ついでに生きる

日曜日はささやマルシェの打ち上げ。「肉ビストロ」とうたう店で、各種の肉がコースで出される。ステーキ屋ほどどーんと出るわけではないが、そろそろこれくらいのポーションで丁度良い年格好になってきた。ワインはグラス10杯くらいではとてもとても満足…

編み目としての世界

小雨そぼふる中を阪急六甲『フクギドウ』へ。昨晩『いたぎ家』で、このギャラリーのミカミさんオモテさんと遭遇。いま開催中の「世界のかご展」のために来神中の伊藤征一郎さんを接待中の由。伊藤さんのおだやかな語り口と、「かごばっかし」という企画に魅…

百日の説法、屁ひとつ

長生きをするつもりはないから健康にはほとんど気を配らないけれど、無様な体型をさらすのは何かと不都合が多い。まだまだモテたいのじゃ、わしは。 それで、このひと月は減量月間と決めて食事制限をし、運動量を増やしていた。職場の健康診断がちょうど十一…

篠山狂想曲

「おしゃれなカフェでオーガニックのお茶と全粒粉のパン」より「拭き込んだカウンターで気の利いたアテとぬる燗」の人間がなんでだか『ささやマルシェ』に、しかも店員として参加してるのだから人生は面白い。このフレーズ、どこで用いてもなんか格好がつき…

枯葉よ・・・

安部礼司的に四海波静かなる日々を送っているので、あっという間に二週間も更新せずに過ぎてしまう。計画減量中だから、あんまし食べ物屋の話で語るようなこともないしなあ。あ、一軒炭焼き料理とイタリアワインの店でちょいといけるところを発見したが(鳩…

数は世界を変える?

職場菜園のバジルが子どもほどの背丈に生い茂ってしまった。花が咲いて枯らしてしまうのは勿体ないので、急遽刈り取り。本日はバジルの料理を一皿増やすことにする。○秋刀魚と万願寺唐辛子のオリーヴオイルパスタ…のパスタ抜き。この万願寺も菜園からの収穫…

新地でかくれんぼ

一度も朝まで呑んでないというのに、先週はよく遊んだような気がしていたが、考えてみると、珍しく週に二回も大阪に出ていたのだった。某日 平日、偶々休みが同じだった同僚と天満で昼酒。一軒目はテラスを出している居酒屋。さんさんと陽を浴びながらよく冷…

月見ごはん!

仲秋の名月当日はだらだら本を読みながら月も見ずに過ごしてしまった。こちらの事情を考慮してくれたかのように、次の日が「スーパームーン」(も少し雅な呼び方はないものか)というので、月見の料を仕入れて帰る。○甘鯛の一夜干し ○燻し鰹と胡瓜の辛子味噌…

天使的? 悪魔的?

『播州地酒ひの』で、ある方が「ブログ読んでるよ」と声をかけてくださる。「それっぽい顔をしてた」とのこと。当方、鯨にも馬にも似てはないのですが(猛禽とか恐竜のほうが近い)・・・ともあれ、役立つ情報も目新しい画像もない(=一文の得にもならぬ)…

犀のいない動物園

久々の青天。こういう日は家でごろごろしてもつまらない、映画や美術館でももったいないよな、と彼女と相談して動物園に出かけることにする。 一時期王子公園に住んでいたから、そしてその頃はまあカネが無かったから、本を読むにも飽いた午後などよく出かけ…

インヒューマン・ファクター

三連休はなんの予定も入れずに、クーラーを効かせた居間でひたすら読書。時々腹が減ったらチーズを齧り、ビールを飲む。疲れたら熱いシャワーを浴びて浴衣でごろ寝。こういう生活だったから、いやよく読めました。○ベン・マッキンタイアー『キム・フィルビー…

一週間のヨーロッパ(7) 籠の鳥

翌朝は六時前に目覚めた。前夜「南のほうだから、どんな虫が入り込んでくるかもしれません。くれぐれも窓は開けっ放しにしないように」と芒男に脅されていたので、震えながらろくに眠りもしないままに朝を迎えたのである。 というわけではもちろんなくて、蠍…

一週間のヨーロッパ(6) Et in Arcadia ego

八月十三日 ミラノの朝。心地よく冷えた空気の中を、でっかいカバンをかついだ男がひたすら歩く、歩く、歩く。 「ホテルからすぐ」のところにイタリア一というサッカー競技場があり、その建物がものすごいので見に行きましょう、とのこと。高校から社会人ま…

一週間のヨーロッパ(5)Leonardus,magus magnus

八月十二日 ヴィチェンツァの街はstaticだ、とフランチェは昨夜絞り出すようにことばを選んで批評していた。京都や金沢に住むひとが感じるのと同じことを彼もまた感じ取っているのだろう。しかし息苦しいほどに街・生活・精神のスタイルが馴致されきった土地…

Intermezzo

ミホミュージアムで開催中の『若冲と蕪村』展、なかなかの充実ぶり。来週の日曜日までなので、ヨーロッパ日記は一時中断して見物報告しておきます。 JR石山駅からバスで50分。対向車とすれ違うのもやっとという山道をくぐり抜けて行く。到着すると、広大…

一週間のヨーロッパ(4) Antonio was here

寝しなに『強力わかもと』をがりがり齧って炭酸水をがぶがぶ呑んだおかげか、胸焼けもせず二日酔いも無し。昨日のビールとチーズで朝食としたが、パンと果物も買っておけばよかったと思うくらい快調な目覚めだった。 午前十一時の飛行機でデュからヴェネツィ…

一週間のヨーロッパ(3) オランダ遠近法

八月十日 この日はアムステルダムへ絵を見に行く。といっても、前項で書いたとおり、芒男は絵に興味を持たない人間なので、これは純然たるこちらのわがまま。しかもススムさんが仕事を休んでドライバーをしてくださった。有り難い限り。 結構早めに出発した…

一週間のヨーロッパ(2) 聖なる森

八月九日 鉄道でケルンに向かう。朝食は駅前のパン屋で買ったサンドイッチとコーヒー。パン、ハムともによし。『わかもと』のおかげか、特に二日酔いも無し。 こちらとしては「大聖堂の町」というほどのイメージしか持っていなかったが、芒男によるとデュよ…

一週間のヨーロッパ(1) ラインに日は暮れて

八月八日 地下鉄大倉山の出口で同僚でもある芒男を拾って、ポーアイのベイシャトル乗り場まで行く。六時台からすでに湿熱耐え難し。 芒男は元々ドイツの某日本企業で働いていたから、ヨーロッパの旅には慣れている。眷恋の地ながらいまだ訪れたことのないこ…

ミントのお茶を

某ハンバーガー屋に見られるとおり(今は某牛丼屋も含むべきか)、料理はグローバル化の波に乗りやすい一面もあるけれど、それは普遍化できる部分だけがそうなっているのであって、生まれた土地に根ざした本質はそうそう変わらないとも言える。鶴來の町で呑…

書物月旦

◎倉橋由美子『最後の祝宴』(幻戯書房)は題名通りの単行本未収録エッセイを編んだ本。と書いたがこの頃はいくらでも「次」が出てくるからなあ。倉橋さんが吉田健一を高く評価していた、というより鍾愛していたことは読者なら誰でも知っているが、ここまで文…

あとの祭り

これだけ温暖化、というより熱帯化が進んだら日本国中どこに行っても暑さは同じようなものと思ってしまうが、盆地特有の煎られるような熱気はやはり格別。京都で一日遊んでいやというほどそのことを思い知らされた。 鯨馬の別名は素骨散人。この日も阪急河原…

水茶屋

久々に「K」に呑む。店主が幾分愛想良くなっているように感じられたのは、まあ、こちらが鈍磨しただけなのかもしれないが、あこうの骨蒸しや(これだけでも満腹してしまう)アスパラの天ぷらを美味しく頂いた。 「K」より一週間ほど前、これまた久々の「Y…

あの青々と匂ふもの

「田植えを終えて一休み」が半夏生、ということであれば、逆に見ればこれから盛りが来る夏の準備とも言えるわけである。 それに合わせてということではなかったが、我が家では最近、畳を買った。 畳を「買った」というのは不自然な語法で、本来なら「換えた…

ちゅうちゅうたこである

半夏生なので蛸を買う。 農山漁村文化協会の一大叢書『日本の食生活全集』を読んでいると、「半夏生」なる歳時が何度も何度も出てきた。田植えが終わって一休み、という区切れ目らしい。その時に蛸を食べる風習が日本のあちこちに残っているのは、「植えた麦…