2013-01-01から1年間の記事一覧

浪華掃苔

「全大阪」という謳い文句にひかれて、谷町四丁目の大阪古書会館で催された古本市にいそいそと出かける。 阪急で梅田に出たあと、阪神百貨店に寄り道し、「吉野寿司」で弁当を誂える。ここはまずまず良心的な商売をしているので、大阪で少し歩く時にはよく使…

オシャカになりました。

日曜日は拙宅にて忘年会。客は孫悟空・猪八戒・沙悟浄、そして三蔵法師のみなさま。 わたくしは金角?牛魔王?イエイエ、衆生済度、つまり料理酒の世話に走り回っていたから、もちろんのこと大恩教主お釈迦様という役回りであります。 メインの鍋はハタ。こ…

ひとりしづかにのむべかりけり

宣伝で見たジェフリー・ラッシュの顔に実に味があって、『鑑定士と顔のない依頼人』を観にいった。なので今回は映画を観てないとおそらく何がなにやら分からぬ体の文章になっているかと。あしからず。 朝日ビルのシネ・リーブルはいい映画館で、それは良いの…

野獣降臨

といっても、野田秀樹さんの舞台を見に行ったわけではなくて。 同僚・湘泉子と東淀川『とりや圓』にて二人忘年会。名前の通りの焼き鳥屋なのだが、この日はついに普通のトリの串は三本しか食べず。 体調が悪かったわけではなく(ただし前日(?)は朝十一時…

再び「食」を語るむずかしさについて

和食がとうとう世界遺産(無形文化遺産)に登録された。 ここでいう「とうとう」とは、「女につぎこんだあげくとうとう会社の金に手を付けた」「とうとう北朝鮮がホントにテポドンを東京めがけて発射した」というほどのニュアンス。トキでも喫煙者でも(筒井…

昼下がりに琵琶湖一周。(承前)

実は三宮『いたぎ家』にて「滋賀酒を楽しむ会」というイベントに参加する予定があったのである。スタートは午後一時。たしか前日家にたどりついたのが午前五時半。どうなりますやら。 どうなるって、二日酔いになるに決まっているんである。午前十時に起きて…

笑ウ寿老人

日々の営みが単調に思われるような時、エネルギーを注ぎ込んでリズムを賦活させるために何をするか。 たとえばグールドのバッハを聞く、時実新子の川柳を読む、ヴェトナム料理を食べに行く、などいくつか手はあるが、少なくともこれまでに効験が一等顕かだっ…

徒然にはあらねども

よしなし事の降り積もるは俗人のさだめ。脈絡なくあれこれと。○柿の天ぷら・・・テレビで紹介されていたのを真似て、早速作ってみた。悪くない。どうやって甘さを殺すかがミソとなりそう。テレビでは山葵を挟んでいたが、木の実や肉魚の擂ったのでもよいので…

瘴気と正気〜双魚書房通信・員外〜

双魚書房通信「員外」とするのは、題材の卑陋なるを以てのことに非ず。一書として見れば筆者の見識、および表現には特に奇なるものを見なかったからである。にも関わらずここに取り上げるのは、ふと文学なるもののありようをこの本のうちに確かめることが出…

妹の力

鯉川筋で買い物をしたついでに、久々(二年ぶり!)で『杏杏』で夕食をとった。零細ブログで喧伝するまでもなく、神戸中華の名店の一つ。料理が旨くないといけないのは当然として、名店と呼ばれるにはやはり雰囲気も重要なのだな、と実感した。 ここで調理を…

上出来のコンソメのような・・・

イザベラ・バードの名前はどれくらい知られているだろう。渡辺京二さんの『逝きし世の面影』はよく売れたから、『日本奥地紀行』の明敏な観察者として覚えている人は多そうだ。多和田葉子さんの『球形時間』にも登場していたけど、あれは幽霊(?)だったか…

翼をください〜湖北旅行(2)〜

余呉から長浜までは二十分。これだけの時間で「神秘の湖」(と看板に書いておった)から観光客の押し寄せる湖北の一大名所に着いてしまうのだから、この国は広いというのか、狭いというべきか。 後日たまたまテレビ(『百年名家』)で長浜の町を特集していた…

聖地巡礼〜湖北旅行(1)〜

近江は坂本に行って蕎麦を食った話は以前書いた。湖西の、都雅と鄙びが一体となっている風情をいいなと思っているところに、『播州地酒ひの』さんのブログに、「琵琶湖の北、余呉湖のほとりに発酵の聖地あり」とあったのを見て、矢も盾もたまらず、その《聖…

簡潔について

今朝の「紙兎ロペ」は久々に笑った。『清洲会議』の宣伝で豪華声優陣が清洲会議ならぬ「気楽会議」で大もめする、という趣向。明日が続編とのこと。 同じ『清洲会議』宣伝キャンペーンだろう、週末は『素敵な金縛り』をテレビで見た。それで思うのだが、最近…

贔屓の引き倒し

高遠弘美『七世竹本住大夫 限りなき藝の道』(講談社)を読んだ。著者はロミの翻訳などで知られる仏文学者。今はプルーストの個人全訳にも取り組んでいる人。 書きにくいことだが、書く。 とても文学者の著述とは思えない本だった。ことばが上滑りしている。…

菊黄蟹肥

『雨月』の上田秋成は多くの別号がある(江戸の作者はみなそうなのだけど)。余斎・鶉居・無腸・和訳太郎・剪枝畸人など。このうち無腸という号は特に愛着が深かったと見えて、追謚(おくり名)は「三余斎無腸居士」。 「無腸(無腸公子)」とは蟹のこと。晩…

京都愛憎

百万遍知恩寺の古本市に行った。最近後輩の車で行くことが多いから、京阪出町柳駅から京都大学まで歩くのは二年ぶり。今出川通りに食べ物屋が増えた気がする。とくにラーメン屋。学生の街だからか。 開場してすぐくらいの時間に着いたが、すでに境内は盛況。…

カウンターの中に小山が二つ。

月初めの記事で、新しいいいお店を紹介できるのは、鯨馬子の欣快とするところであります。 場所はもと『播州地酒ひの』があったところ。『いたぎ家』という。ものすごーく、えーと大柄な兄弟とキュートな奥さんの三人でやっている。 野菜が旨かったな。兄弟…

秋の弁当

昨晩漬けたきずしが上手に仕上がったので、明日はこれを鯖寿司にしようと思い立つ。翌朝(今日のことじゃ)はいつもより半時間はやめの六時に起きて弁当作り。◎鯖鮨・・・きずしと飯の間には、「もってのほか」をさっと湯がいたものを挟む。 ◎白和え・・・具…

松江の朝は新蕎麦で明ける

ホテルの窓の向こうには、全面に宍道湖が広がっている。六時半に起床し、朝日を受けて輝く湖面と可憐な嫁が島を眺めるのは気分がよろしい。 じつは前夜、『井津茂』から帰館のあと、少し呑み足りないなあ、としんじ湖温泉駅前の宿から茶町末次本町をとおり、…

松江の夜は落語で更ける

はじめて行ったのは六年ほど前か。今回松江再訪の運びとなったのは、大学の大先輩である綺翁さん(「無頼侍」で書きました)のお誘いによる。綺翁さんは松江の出身なのである。同級生が酒蔵『李白』の先代社長夫人という縁で、『李白』が毎年開く「新酒と落…

晩秋(?)の宴

今回のお客は同僚三名。ひやおろし三種類を楽しもうという趣向。久々におもてなし料理に腕をふるいました。 献立は以下のとおり。 《酒肴》 ◎鯖きずし ◎菊花と渡り蟹の酢の物・・・蒸した蟹の身をほぐして、菊花と三杯酢にする。菊は山形「もってのほか」を…

贔屓筋

週末、昔なじみの店で気分良く飯を食べ、そのまま三宮に出て呑んだ・・・まではいいが、席を立とうとした途端に倚子の足につまづいてぶったおれた。あはは酔ったかもねー珍しくとかいいながら立ち上がろうとすると、ママが仰天顔で「動いちゃだめ!」とのた…

本の始まりと終わり〜双魚書房通信・番外〜

スティーヴン・キングの『書くことについて』(田村儀進訳、小学館文庫)は、以前にも『スティーヴン・キング小説作法』という題名で出版されていたが(こちらは池央耿訳、二〇〇一年アーティストハウス刊)、そして書店で見かけたときには、キングがこんな…

大名旅行

お互いに仲がいいのか悪いのか、ともかくこの時期、毎年同じような(しかし微妙にズレた)日取りで、大阪の南と北で古書市が開催される。ながらくこうした催しに参加していなかったので、無性に行きたい。で、例の大学の後輩兼運転手役の空男氏に車を出して…

イカ崇拝VSあんこう信心

このところずっと背中に鈍痛があるし、のぼせたような感覚もいつまでも尾をひいている。膵炎なのか、はたまた男性にもあるてふ更年期か。 とうっすら怖じつつも、食べることに妥協はしない。この日の夕餉は魚づくし。○さより三種=さよりをさばくのは初めて…

近江坂本水のまち

月曜日の休日というのは、ミュゼの類の休館に重なってしまってあまり使い勝手がよくない。だからといって家にこもりきりも、せっかくの好天ではあることだし、もったいないので近江坂本に来た。 何か目当てがあったわけではない。とりあえず三宮に出て、何と…

闘争する神々

『アメリカン・ゴッズ』上下、面白かったなあ。なに、今頃ニール・ゲイマンにハマってんの、と莫迦にされても仕方がないか。まあ、他ならぬ金原瑞人さんが手がけた翻訳ならば、と手に取ったところ、結局一日で上下巻を読み上げてしまった。アメリカに巣食う…

月見料理

今年は久々に仲秋の名月と満月とが重なったんだそうで。満月は多少欠けていても、このところの爽やかな大気を通してなら綺麗な月が見られるだろう、月見には酒じゃ酒、という論理でいそいそと買い出しに走った。 といっても昔から月見のお供えは決まり切った…

山の秋・海の秋

前日は初見参のイタリアンが低廉かつ美味かったので、スペインのこってりした白を呑みすぎてしまった。ここは知り合いの店から紹介してもらったところ。やはり食事する所は口コミに限る。ヒントを申し上げておきますと、県庁近くの数字が入るお店です。 で、…