2012-01-01から1年間の記事一覧

正月準備着々

十代二十代のころは雨が気ぶっせいで仕方ないように感じていたけれど、最近はだいぶん雨音も空気の湿った感じも愉しめるようになってきた。ひとつには、ふだん通勤で使用している原付が雨の時は乗れないので、歩いて職場に向かう(徒歩十五分)ことになり、…

今年の三冊

忘年会続きのせいか、もひとつ胃腸の調子がぱっとしない。もっとも何年かまえ、同僚たちと中華鍋を食べた時に(生の海老や牡蠣などが入る)、みんなばたばたと倒れたなかで、オレだけぴんぴんしてたからなあ、とも思い出す。ふつうなら寝込んで動けないとこ…

豊饒の予感

友人Mに相方ともどもタイ料理をご馳走になる。油断していたパパイヤのサラダが結局いちばん辛く、三人ともしばらくひーひー言っていたが、ビールで鎮火しているうちに俄然食欲がわき起こってきたので、生春巻きや海老のハーブ和えや牡蠣の炒め物や豚肉の野…

噴き上がる聖らかな泉

前回噴き上がったのは呑みすぎた後輩の反吐であって、バッチイことこの上ないが、今回は嬉しい吹き上げ。『逃げ水の記』の項目では、十年来飲水を汲んできた六甲は長峰の湧水が完全に涸れてしまい、大騒ぎしたという話を書いた。 やはり日常の使う水、とくに…

噴き上がる葡萄酒いろの泉

久々にお客をした昨晩の料理が、自分で言うのは変だけど大成功だったので、今回は酒と料理の話。 ワインを呑みまくろうという、いかにも乱暴な趣向の会で、お客は同僚・部下とその彼女。こちらの相方は、というとサークルの合宿があったために不参加。おかげ…

国宝で懐石!

休みだというのに、朝から大阪に来ていた。祖母の十三回忌なので、仕方ない。お供えに、丹波のお茶・和菓子所『諏訪園』の栗菓子の詰め合わせを持っていく。ここの「栗蒸しこがし」や「栗衣」、ちょっといけますよ。 法事はつつがなく終了(当たり前だ)。久…

ワタリガニ四杯を食す

トシのせいか、給料日明けだってえのに紅灯の巷に繰り出すのもなんだか億劫で、代わりにスーパーに繰り出す。 ワタリガニの、やや小ぶりとはいえ、メス二杯で500円は安い。ついふらふらとこれを2パック買ってしまう。あとはマナガツオ。それにミミイカ。…

コルヴォーの魅惑

こちらの近況を知ったさる先輩からもらったメイルに、「もう不惑近いんだから」とあるのを見て愕然とした。そっかもう四十近いのか。惑わずに暴飲暴食暴泳(ドルフィンキックを練習しすぎてこのところずっと腰が痛い)暴読の道を、駆け通そうと決意する。 さ…

文楽の日

水曜日 明け方近くまで呑む。 木曜日 友人と待ち合わせてそごう『やぶそば』の「新蕎麦を囲む会」に行く。昨年の連れが大食漢・湘泉子だったためか、なんだか今年は全然量がいかなかったような気がする。友人と別れてからはLのパーティーに少しだけ顔を出す…

スーパーマーケット評判記

職場近くに、元小学校らしき跡地がある。ひび割れたプールの底が荒廃した詩情を漂わせていて行き帰りにちらちら眺めていたのだが、最近遮音シートを張り巡らせて工事を始めた。 同僚(主婦でもある)情報によると某スーパーが出来るのだそうな。 昼の弁当や…

逃げ水の記

後輩空男氏に本を返すつもりで連絡してみると、幸い用事で元町にいるという。まだ午後もはやい時間だったので、ついでにいつもの水汲みもお願いする。 新神戸を過ぎて、長峰の霊園下の橋のたもとにある湧き水の出どころまで車を走らせるのはいつもに同じ。同…

窓の雨音

この一週間、二回ほどハゲシク呑んだので文字通り酔生夢死の状態。記憶もとりとめがないので、印象にのこっていることを「吹き寄せ」風にぽつぽつと。料理。あおりいか一杯を買って堪能。何年か前に明石の魚の棚で百科事典ほどもあるばかでかいあおりいかを…

まぼろしの紅葉

久々の三連休ながら、給料前のこととて旅行にも出ず家でおとなしく過ごした。以下は三日分の日記。 土曜日の朝、いい気分でめざめる。みなさんがどうか知りませんが、当方は夢で色彩をみたことがほとんどない。見てないのかどうかは定かではないけど、少なく…

精励恪勤

同僚・湘泉子のお誘いを受けて久々に大阪に出向く。一軒目は福島の聖天通商店街に中にある蕎麦屋『からに』。福島の駅で降りるのは初めて。この辺り空襲で焼けなかったのかなあ。古い長屋や路地が残っている。典型的な大阪の下町という感じ。田辺聖子『私の…

雄弁なる沈黙―『最後のイエス』〜双魚書房通信(12)〜 

ふつうには十字架という。著者は初めのほうでこの刑罰の実体を明らかにする。 一般に「十字架刑」と訳されるが、原語のstaurosは単に「杭」の意味。縦杭の上部に両手を固定する形で人をつるしておくと、数十分で窒息死するらしい。それをすぐ死なないように…

江戸料理の粋

江戸由来の東京の食べ物といえば、鮨・天ぷら・うなぎ・蕎麦・おでんといったところか。当方すべて大好きだが、懐石(乃至会席)を本式とする日本料理の中では、(少なくとも本来は)食事として下手な部類に属するわけである。 だから江戸文化の精粋は「庶民…

日記から

朝 無花果、梨、キウイ、バナナ、栗の含ませ、ココア。朝から果物を食べるのは気分がいいが、皮を剥いたり切ったりするのに時間がかかるのが玉にキズ。昼 家に帰ってパスタ(ツナと山菜)。研究社のポープの評伝を読みながら食べる。天気がいいので急いで洗…

かえるとうさぎ

うかうかしていたら旧暦八月十五日、つまり中秋の名月をだいぶ過ごしてしまった。あわてて月見をする。ふだん風流とは縁の無い生活を送っているから、せめてただで(ここらへんが我ながら浅ましい)愉しめる月くらいは玩賞しておきたい。 湊川の市場まで行く…

てふてふが一匹・・・・

韃靼海峡をわたっていくのは絵になるが、こちらはせいぜい八月の石にすがって気息エンエン、悪くすれば「いぢらしい蝶類の騒擾」ともとられかねない。 「もちろん」バタフライのはなし。曲がりなりにもクロール、平泳ぎ、背泳ぎは完成(というのは、一人で練…

ひやおろし試飲会

大学で一時間目から授業という彼女を七時半に送り出すと、二度寝もせずに、掃除洗濯を済ませてこちらも出かける支度にかかる。 兵庫区上沢にある贔屓の酒屋「てらむら」さんから、ひやおろし試飲会の案内を頂いたので、今日は昼から酒にひたっちまおうという…

沈黙の絵

たとえば「彼の寓意画の最高傑作」(とキャプションにはある)《運命の車輪》を取り上げてもいい。 人の背丈ほどの高さの縦長のキャンバスいっぱいに描かれた運命の輪の左にたたずむ運命の女神は左手を軽く車輪の輻に添えたまま、左に向けた顔も軽く俯けて、…

撮り鉄のはなし

王子公園は水道筋の、本通りから入った狭い路地にある小体な店は、たしか、別の食べ物屋が教えてくれて行ったのだと思う。それくらいわかりづらい場所で、また知らなければ入ってみようとは思えない店の外観だった。 大分で丁寧に飼育された地鶏を、串にはさ…

梅村と軸村

ピンチョン『メイスン&ディクスン』、とうとう読み終えましたよ。まだ全作は踏破してないけど、今まで読んだなか(『V.』『競売ナンバー49の叫び』『ヴァインランド』)ではいちばんでした。 他の諸作と違って、曲がりなりにも(この「曲がりなり」のな…

読書ノオト

坦々と、この10日ほどで読んだ本の感想をメモしていきます。最近こういうパターンが多いな。 仕事→ジム・スイミング(体重=筋肉が増え方がじれったくなるほど遅いのですが、何を食べればよいものか)→料理→読書→睡眠の日々が続いており、過ごしている当人…

鸚鵡の叫び

大好物である割には、蝦蛄の旬がいつなのかはっきり意識したことがない。春のような気もするし、秋のようでもあるし。 スーパーでそれほど大きくはないが、パック一杯に入ったのが298円。旬かどうかはわからないが、ま、安いには違いない。今夜はこれで一…

魔女の厨に煮えたぎるもの―『古代オリエントの宗教』〜双魚書房通信⑪〜

終章ではスンナ派イスラームにおけるイスラーム神学・法学の体系化が述べられる。評者のように、世界史に関して高校の授業程度の知識の持ち合わせしかない人間にとっても、「古代オリエント」とイスラームとの結びつきは異なものに映る。 しかし本書の構想に…

知らぬ仏と暴れ猿にはさまれて

ほんとに俳諧の記事が増えた。この年になってから覚えた趣味は深間にはまるというところか。うーん夜遊びは二十代で覚えておいてよかった。 今回の歌仙は何度か本ブログでも登場した、わたくしの大学の恩師・・・と書いたのでは感じが出ないな。大師匠のお誘…

白うさぎと赤ワイン

王子公園に出る用事があったので、ついでに王子プールで泳いできた。多分、学生時分以来だから十数年ぶりになる。売店などの設備がほとんどなく、ひたすら「プールです。泳ぎなさい」といわんばかりの無愛想さがいっそすがすがしい。 こちらが通っているジム…

男蝶 女蝶

昨日は友人りょうの誕生日祝い。最近ドラゴンクエストⅩにハマっているというので、りょうが使っている魔法使いの画像を職場近くの洋菓子屋に持っていって、バースデイケーキの上に描いてもらうように交渉してきた。 「難しそうですねえ」といわれていたから…

真昼の楽園

午前のうちにジム・水泳を終えたので、休みの今日はゆっくり昼酒を愉しもう、と固く決意して市場に向かう。 最近はもりもりと肉ばかり頬張っていたから、魚だな。大ぶりの鱧とピカピカの鰺二尾、それに活け蛸。鱧は骨切りしてあるやつを買う。自分でさばけな…