2023-01-01から1年間の記事一覧

軽薄さについて

コロ助の騒動も傍目に見て過ごしたような感じだったが、やっぱり三年近く足枷つけられてたら習い性になるもんですな。最近すっかり家居が日常に(日本語おかしいか)なってしまった。 無論この間に引越で眺望絶佳・交通絶望の地に移ってきた、ということはあ…

Via Dolorosa

いくら温暖化で遅くなってるとはいえ師走の紅葉狩りはぞっとしないから、今にも降り出しそうな曇天ながら家を出る。 まずはご近所の禅昌寺。特に紅葉で名高いという訳ではないけど、ともかく人が少ない(というかいつ来ても誰もおらん)のが有難い。少し外れ…

中年という愉しみ

酒後の事故や、体調崩すのが増えたこともさりながら、何の気なしに久々に読み返した本に感銘を受け、以て我が身の秋を知る。いやまあ、「ついにアラフォー」「四捨五入すれば五十路だわい」と騒いではいたけれど、秋のあはれ同様、身に染み出すところが肝腎。…

秋の蟷螂

山近いのでいろんな虫がやってくる。最近はむやみにカマキリの姿をよく見る。一度に三四匹見つかることもある。交尾中のところも目撃した。雄はなるほど聞く所に違わず、事後ぼりぼりむさぼり喰われてるのであった。喰われてること自体より、人間の目にはひ…

マスゴミを論じて牢獄におよぶ

強きを扶け弱きを痛めつけるのがマスコミの本分ではあるけれど、先の霊感商法といい、ま近くは芸能界の性加害といい、じつにひどい。鉄面皮ぶりやらしたり顔のご託宣やら下劣な攻撃口調など、まるでヤフコメ程度ではないか。まあ、益体もないことは天下周知…

夏涸れ

楽しい会はあったけれど、一体に九月は食べものの端境期という感じ。なにかネタを待ってるうちに月が終わってしまいそうなので、取りあえず読んだ本だけあげておきます。 ○ジャネット・ウィンターソン『フランキスシュタイン』(木原善彦訳、河出書房新社)○…

ジャレド・ダイアモンドに逆らって~双魚書房通信(24) ローラン・ビネ『文明交錯』

以前ビネの作風を冗談まじりに「伝奇小説」と形容したことがある(当ブログ「鳥獣の王」2020.12.14)。新作を読んで、もう少しこれに注が必要と思った。 前言撤回というのではない。どころか、今回も話の結構は奔放を極め、というか荒唐無稽の域に達している…

悪の文楽

改めて人間国宝認定おめでとうございます、吉田玉男さま。 夏の文楽公演は二度に分けて見物。十年前と違い、二部続けてはとても無理。腰が痛くなって見物どころではない(もっとも十年前だって楽ではなかった)。そのぶん前後の時間に多少余裕はあるのだけど…

この豊饒なる小世界

バルコニーがたいへんなことになっている。90平米の部屋に対してその半分ほどもあって、ルーフバルコニーの方はピクニック(?)したり、プールを出したり、こたつに火鉢を出したり(気違い沙汰)して堪能しているが、今回はそちらではない。生き物係からの…

酔仙歌仙

小説家丸谷才一は玩亭という俳号を持つ。句集もたしかふたつ出しているが、それよりも連句の方で名高い。ふるくは夷齋石川淳・流火安東次男、晩年は大岡信・乙三岡野弘彦といった人たちと一座している。鯨馬が宗匠役で巻いた歌仙記録を差し上げたところ、礼…

雨にうたるるめだか鉢

気象庁の「梅雨入り宣言」とは、例年の梅雨の時期・一週間程度雨が降る・当日も雨という基準で出されるのだそうな。そんなふわっとした「基準」ならいっそ出さなくても誰も困らないと思うのだが。宣言あろうがなかろうが、週間天気予報見れば雨かどうか分か…

断食気分

週に一、二度断食をしている。といっても短くて十六時間、長くても丸一日程度だから正確にはプチ断食。健康を気遣ってではなく、偶々食事を抜いたあと体が軽く感じたので続けているだけのこと。ネットで方法は調べた。一日くらいならそこまで危険も無いみた…

花づかれ

桜より断然梅派だったのだけれど、この三年の騒動を経て花のうつくしさがしみいるように思えてきた。無論こちらが断固たる中年になったせいもある。ともあれ、加賀金沢は別格としても、花隈城・須磨浦公園、そして妙法寺川と今季はかなりまめに出かけた。近…

加賀花尽くし

閲してみると、最後の金沢は騒動が始まるまえなのだった。つまりはそこから青森県にぞっこん惚れ込んで通い詰めだったわけですな。無論金沢に飽きるなどあり得るはずもなく、ただただ北陸新幹線開通で東京方面および外国の観光客で雑踏するのが煩わしかった…

昼と夜との花相撲

誕生祝いのメッセージを寄せて下さった皆様に、この場を借りて心から御礼申し上げます。 ○アンドレイ・プラトーノフ『チェヴェングール』(工藤順他訳、作品社)……小説(長篇)、今回はこいつが尤物。ロシア革命後の、にもかかわらず帝政ロシアの風格たっぷ…

松坂のダンナ~双魚書房通信(23) 菱岡憲司『大才子 小津久足』

戯作者山東京伝が京屋傳蔵としてたばこを商い、国学者本居宣長は内科・小児科の医師を以て日常の業としたことはよく知られている。生活の資を得るためであることは言うまでもない。ただその場合、あきんど・職業人としての顔はいわば身過ぎ世過ぎの表看板で…

岡目の一目~えんぶり復活(3)

土曜は朝から陸奥湊へ。東十日市組の門付けがある、えびす舞は就いて見るべし。と教えてくださったのは言うまでもなく二ツ森さん。中心街から小一時間ほど歩き陸奥湊駅前には六時半頃到着。普段から早起きなのでちっとも苦にならない。 まずは腹ごしらえ。今…

神の庭~えんぶり復活(2)

ホテルの朝食時間を待ってると間に合わないから、コンビニおむすびとカップ味噌汁、それに『達』の唐揚げでそそくさと済ませ、長者山へ急ぐ。三回すっころびかける。浮き足だっている。 参道脇でじっと待つ。三年前に比べいかにも南部らしい寒さが清々しく快…

イヴは静かに更けて~えんぶり復活(1)

一介の観光客ですらこんなに舞い上がってるのだから、地元の方々の喜びはどれほどか。えんぶり自体を見たかったのは言うまでもないとして、 愛する八戸の元気な様子に接することこそが結局今回最大の目的だったかもしれない。 八戸駅前、オンコ(イチイ)の…

時次郎気分

なんで更新しなくなったのか考えてみた。(1)中年の鬱(2)同じような内容が増えてきた(行事食とかね)(3)FB、Instagramなどで既に記事をあげている しかしよく考えれば、(1')中年のあとは初老・老年と鬱期が続くのだから(痴呆になったら天国やもしれ…

卯年は卯酒で

皆様に謹んで新年のお慶びを申し上げます。本年も、兎のように飛んで跳ねて・・・とは参りませんが、亀とすら競争する気のてんでない暢気者とのお付き合いを願わしう存じます。 では吉例腰折れ三首。 癸卯福来ねとかへす手みずの音うかれ耳に長くもひゞくも…