ビフォー・アフター

 ここ一月ほど、我が家でいちばん大きい水槽(百二十センチ)が気になっていた。掃除はしているのだが、なんとなく水がくたびれている。濁っているわけではないが、水草や魚の色つやがよろしくないのだ(まあ、濁っていたら魚は全部死んでしまうはずなのだが)。
大改造をせねば、と思い立つ。

 思い立ったがしかし、土曜日は休みだったけど役員会で半日つぶれ(もっともその後、同僚芒男と飲みつづけたせいもある)、日曜日は出勤。月曜日は休日にも関わらず、というかそのゆえにふだん出勤するときよりも速いくらいの時間に起床し、アタマにタオルを巻いて臨戦態勢に入る。

 魚を別水槽に移した後、水草から取りかかる。茶ゴケがつき、ぼろぼろになったものはゴメンナサイをしたあと、思い切って廃棄処分する。次に水。濾過バクテリアを残す必要上、完全に入れ替えることは出来ないので、バケツ一杯分だけ古い飼育水を取りのけたあとはこれも思い切って全部捨ててしまう。砂利を掻き回すと熱帯魚のフンやら流木の木くずやら水草の切れ端やらがもわぁーっという感じで湧いてくる。水が透き通るまで何度もバケツで水を汲み入れ、汲み出していく(掃除用のホースでは間に合わぬ)。

 一度この作業中にぎっくり腰になってタイヘンな目にあったので、姿勢を正して、しかも無理な重さにならないように注意しながらひたすら水仕事。もちろん汗だくであるが、これくらい暑いと水遊びのようで正直楽しい。思えば子どもの時から、川やら海やらで遊び出すといつまでも帰らない奴ではあった。

 以前から大水槽の《主》的な存在となっていたシノドンティスが二尾いて、こいつらが(顔つきはマヌケで愛嬌があるのだが)、積んだ流木を崩したり、プレコのエサを横取りしたりと暴れ回っていたので、この際別水槽に「隔離」することにした。

 水を八分目まで入れたところで小休止。といっても休憩するわけではなく、水草と魚を仕入れにいくのである。行き先は長田のホームセンター『アグロガーデン』。

 張り切って原付を出したのはいいのだけれど、走り出してから正確な場所を覚えていないことに気付く。なんとなく駒ヶ林のあたりだった記憶がある・・・なんでオレはこうも計画性がないのかと事故を起こさない程度に自己批判しながら、そろりそろりと行く。

 意外にスムーズに辿り着いたので、ほっとしながら水草を6種類、魚はグッピーを買う。大きな魚がいなくなったから、グッピーを繁殖させてみるつもりである。

 ついでにレイアウト用の石と流木も買い足す。こういうところにいると、いくらでも欲しい物が出て来て困る。本当に困る。

 帰宅してレイアウトと水草の植え込みに取りかかる。といっても、こちらはアクアショップにあるような、前景中景後景をきれいに使い分けたデザインはあまり好まないので(家でする分には、ということ。見るのは好きです)、やたらに植え込んでいく。人工の環境か?と思えるほど、あたかも夏野のように無秩序に繁茂させるのが目標である。

 さてその後の細かい作業は省いて、結果(?)を報告すれば、この日のビールは最高に旨かった。※肴は魚(これは熱帯魚のほう)と、ババカレイの煮付、蚕豆塩茹で、メカブと叩き長芋。それに冷麺。