神戸お上りさんの記

 前、というのは学生時分とはつまり二十年も(!)昔のこと、その時は原チャリで山を登ってからたしか職員の通用口をこっそり乗り越えて入ったんだよなあ。

 だからロープウェイに乗って布引のハーブ園に行くのは今回が初めてということになる。天気は上々だけど、さすがに山の上に登ってみると風は冷たく、お目当ての「ドイツフェア」なる催しの会場も人はまばら、それでも来た以上はビールを呑まねばと見栄を張って頼む。連れはほとんどいけないクチなので、グレープフルーツビールとかいう子どもだましの飲み物を喜んで飲んでおる。ビールはまずまずながら、なんといっても寒い。ソーセージがホカホカなので助かりました。もう少し早い時季にすればいいのに。

 とはいっても秋の澄んだ空気に包まれながら、殷賑極める(てほど景気良くもないか)神戸の街を見下ろしながらぶらぶら歩くのは、もちろん悪い気分ではないので、まして周囲がハーブ、とはつまり有用植物ばかりの上、、気兼ねなく触ったり嗅いだりしてもいいらしいのだから(案内書にそう書いてある)、じつに気分がいい。たとえばどんなに高価で珍奇な蘭でも、見るだけの花にはほとんど興味がない人間(巨樹は別。樹木は眺めるのではなく交感の相手ではないか)には、薬用であれ食用であれ染料であれ(藍や綿もあった)、これこそ愛すべき対象であって、啄木の例の「花を買ひ来て妻としたしむ」にしたって、二人で薬草茶をことこと煎じてる場面のほうだったらいっそう趣が増すのに、と思うほどである。

 ともあれ二人で「このハーブなら料理にどう使えばええやろか」とぐだぐだしゃべりながら坂道をゆっくり下りた。今時、たいがいのハーブなら少し気の利いたスーパーで手に入るけど、せっかく来たことではあるし、エルダーフラワー(早速家で淹れてみたところ、カモミールのような甘い香りだった)というのとレモングラスとを買って帰る。

 三宮に下る途中は北野坂から脇にそれて『アクアレール』へ。不定休、というより不定期にしか開けない店なのだが、この日はたまたま営業中。和三盆苺、チョコレートラム、焦がしバナナ、メロンと薔薇のコンフィチュールを買う。あれ、左党なんちゃうの?ま、に休みの朝食やらなんやらで結構使いでがあるのですね。

……鯨飲にも馬読にもなってへんがな! 
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