たまには短く

  週末は出張で、福島県郡山市に行っていた。関西とはまず植生がちがう。楡や欅や樺の木が多く、こんもりもっさりした楠が中心の神戸と比べると、町の感じがずいぶんすっきりしている。
  駅前の繁華街を抜けたところに安積国造神社がある。幕末の儒者安積艮斎はこの神社の神官の子として生まれた。弟子は、さあ多すぎて誰からあげればいいのか迷うほどだが、最近の話題に結びつけるなら、「龍馬伝」にも出てくる、岩崎弥太郎もその一人である。
  いわゆる「郷土の偉人」というたぐいで、通常ならば敬して遠ざけるところだが、ここはお参りしておく。艮斎は、こちらが大学院時代に専門研究対象としていた、これも儒者の林述斎(幕府の学問所の総帥だった)の弟子に当たる人物だからである。儒者に敬意を表するのに神社に参拝というのも妙なはなしだが。
  参拝後、神社の側の古本屋で3冊ほど購い、夜はクラブでおねえさんがたと馬鹿話をして騒ぐ。
  どの街にいっても同じことをしてるんだな、私は。
  福島の思い出は、したがって、以上に尽きるのであります。