(お)こぼれ話

 『播州地酒ひの』七周年の御祝い・・・だったらこちらがする方になるが、ひの御大が常連客を東加古川の焼肉『京城苑』に招待してくださった。すさまじい太っ腹である(体型のことを言うに非ず)。ここは佐賀の黒毛和牛の雌、しかも赤身を専門とする店。同じ卓のO先生が「ほんとに綺麗に掃除してるね」とコメントしたとおり、スジやアブラは丁寧に除かれている。学生ならともかく、四十路の人間にはこの方がうれしい。でなきゃ、煩をいとわず並べていくが、

○前菜二種(ローストビーフのサラダと肉のにぎり)
○ウワミスジ
○クリ
○トウガラシ
○タン
○ハラミ
○サガリ
○ラムシン
○ラム
○センボン
○カメ
○マルシン
ミスジ
○イチボ
○焼きしゃぶ
○テッチャン
○レバー
○ミノ

なんて品揃え、最後まで美味しく平らげることなんて到底出来なかったはず。足のどこやらの部位の味の深さも愉しんだが、尤物はやはりタン。B5用紙をタテ半分に裁った大きさ、つまりタンをタテに切っており、紙のような薄さながら(だから焼くのは一瞬)、白髪ねぎを中にくるくると巻いて食べると、面妖なことに噛んでも噛んでも肉汁がわいてくるのだった。最後に出た冷麺のスープも贅沢に牛骨牛肉を使ってるのがはっきりわかる味でした。

 もっともフリの客が行ってもここまで出るかどうか。『ひの』の常連さんだったという店長夫婦のあふれんばかりのサーヴィスであったことは想像に難くない。酒は飲み放題だったが、みな肉に集中してたようで、酒はさほど進まず。その余禄で『ひの』名物の剣菱樽酒を一升せしめることが出来た。

 剣菱の白樫常務ともお話出来たし、あまっさえエムケイの送り迎えが付き(電車で行くと結構手間な場所にある)、なんとも贅沢な時間を過ごすことが出来た。親分、改めて御礼申し上げます。

 ひのさんの衝撃宣言についてはここには書かない。

 本来なら翌日は、家で牡蠣鍋かなんぞをつつきつつ樽酒を愉しむところだが、たまたま『海月食堂』で食事をする予定だった。献立は以下の如し。

○前菜盛り合わせ(よだれ鶏、落花生、人参と柿のラペ、茹で落花生、木の子のマリネ、焼き豚、秋刀魚の燻製とザーサイ)
○スッポンと手羽先の薬膳スープ
○揚げ物(松茸と鱧の春巻き、海老のアーモンドトースト)
○ソフトシェルクラブの炒め物
○鯛ときのこのフィルム蒸し山椒風味
○鹿肉のソーセージ、押し麦を添えて
○点心(合鴨とぶどうの揚げ餅 烏賊とセロリの水餃子)
○フカヒレの姿煮 おこげ仕立て
○デザート(キンモクセイの塩アイス タピオカ入りカスタードタルト )

 皮のカリカリした焼き豚と優雅な風味の春巻きもさることながら、鹿肉のソーセージがじつにいい。鹿独特の鉄っぽい味に、熟成による酸味が加わり、香辛料とからまりあって旨い。紹興酒をいつまでも呑み続けたくなる味。キンモクセイのジャムを入れたアイスも洒落たものでした。岩元敬士郎シェフの料理はいつもどこかではっ。とさせるひと味を持っている。癖になるんだよな。

 「これでこの値段で、いいんですか」と店員さんに訊くと「一四周年のスペシャルコースですから。ただ、いつまでも続けてると赤字になっちゃうのでほほほほほ」との返答であった。つまりはここでも店側のサーヴィスにあずかったことになる。

 最後顔を出した岩元さんに(滅多に表に出てこないからコロポックルさんと勝手に命名している)「鹿ソーセージはどうか通常のメニューに入れて下され」と頼んでおいた。
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