大勢の場合

 鍋の具材は一、二種類にかぎるとは書いたものの、やっぱりひとり酒の場合に限るようである。あ、ふたりでつつく時もこちらのほうが風情がある。「そして櫓のさしむかひ」・・・惚れた同士が炬燵の上いっぱいにすき焼きの具材を広げたのでは様にならない。と反対にそこそこ頭数があって鍋の中は一、二種類というのも具合がわるい。全員が土鍋の湯豆腐をじっとにらんでいる絵面を想像されたし。

 と考えて、『いたぎ家』ご一家(父上母上、アニー、アニーヨメー、タク)をお招きしての鍋の趣向はうどんすき、と決めていた。少なくするときはうんと削りつめるが、多くするならとことん多く、でメリハリをつけたい。よって具材の一覧以下の如し。

○三ツ葉(天然ものだそうな)
○芹(同じく)
○白菜(芯の黄色い種類)
○葱
○菊菜
○菠薐草(湯がいて水にさらす)

○絹さや 

○牛蒡(ささがき)
○海老芋

○百合根
○大黒しめじ
丹波しめじ
○柿の木茸
○平茸
○椎茸
○豆腐
○揚げ
○ひろうす
○生湯葉
○粟麩
○紅葉麩
丹波地鶏(ももとむね)
○蛤
○牡蠣(蛤に牡蠣を重ねるという所に「うんと」の面目躍如)
○車海老(活け)
○焼き穴子

○鱧(穴子に鱧も重ねてしまう)

 薬味はお決まりの七味、山椒に加えて針柚子とすだち。個人的にはこのすだちがないとうどんすきらしい気分が出ない。そう言えば、実家でする時は出し巻きも入っていたような。

 結局うどんは最後に投入、ということはこれはうどんすきではなくちゃんこなのだった(お客の顔ぶれが顔ぶれだけに)。

 肴としては、
○鯖きずし(対馬から送ってもらったもの。さすがに身の締まりかたが違う。魚を釣って送る会社はフラットアワーと言う。代表の銭本さんは日本の漁業資源保護のために精力的に活動なさっている。彼の考えにすこぶる共感したので、ふだん宣伝の類いをしないブログではあるが、あえてここに名をあげる)
○柿膾
○茗荷、生姜、胡瓜の即席しば漬け(各々繊に切り、塩もみしたあとで、梅酢と淡口、それに味醂を一たらしづつ)
○千枚漬け風(あ、昆布入れるの忘れてた!)

 当然酒は清酒が主となる。こちらは出たばっかしの「瑞祥黒松剣菱」と「萬歳楽 劒」を用意、アニーのおもたせは「大治郎よび酒(みず)」。いずれも燗向けの品(「劒」は金沢のおでん屋で鯨馬が必ず頼む)。剣菱の熟成酒らしい香り、大治郎の腰の強さ、萬歳楽の切れ、等の違いをがやがや論評しながら鍋をつつく。本当に充実した休日の夜となった。いたぎ家の皆様、ありがとうございました。

 さて今日は、茸の残りを鍋にして独酌。これはこれで悪くないのである。

 

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