コルヴォーの魅惑

 こちらの近況を知ったさる先輩からもらったメイルに、「もう不惑近いんだから」とあるのを見て愕然とした。そっかもう四十近いのか。惑わずに暴飲暴食暴泳(ドルフィンキックを練習しすぎてこのところずっと腰が痛い)暴読の道を、駆け通そうと決意する。

 さて、先週の毎日新聞「今週の本棚」は嬉しかった。富山太佳夫さんの河村錠一郎『コルヴォーを探して』書評。

 通称コルヴォー男爵ことフレデリック・ロルフは同性愛者で、地中海の島で美少年のヌード写真を撮りまくっていた・・・のはこちらにとってはどうでもいいのだが(もっとも澁澤龍彦によればその写真集『タオルミナ』にはホモでない人も魅惑されるだろう、とのこと)、このひと、一風変わった小説家なんですな。たまたま紀伊国屋ブックウェブで見つけた『ハドリアヌス7世』という洋書の著者がかねて名前のみ知っていたロルフであると分かって注文し、読んでみたところ、バーレスク的な味わいがなかなかのもの。その他の本もケッタイなものが多そうである(詳しくは富山さんの書評に就かれたし)。

 ともかく自分がなんとなく贔屓にしていた作家がこのような形で取り上げられるのはまことに嬉しい。丸谷才一さんもコルヴォー=ロルフを鍾愛していたそうな。こうなったら冨山さん、翻訳してしまいませんか?

 この一週間くらいで気に入った(成功した)献立いくつか。


・鶏モツ煮込み・・・レバーとハツを甘辛く煮付けたのは、ま、弁当用の常備菜といっていいが、今回は背肝を使用。焼き鳥屋で時折見かけるやつである。正体は腎臓(と白子?)。なのでハツに比べるといささか臭みが強い。一度茹でこぼしたあと、酒だけでまず二十分ほど煮る。拍子木に切った大根を加え、砂糖・中国醤油・花椒・鷹の爪で更に煮込む。煮汁がなくなりかけるまで煮込む。仕上げに胡椒をふり、火を止めてから絹さやの細打ち(なければ白髪葱)をざっくり混ぜ合わす。飯のおかずか、ビールのあてですかな。背肝独特の下品だが後を引くうまさがたまらない。

・腐乳炒め・・・これは新案でもなんでもなく、単に腐乳を使った青菜炒め(菠薐草がいちばんだけど、間引菜や高菜でもよし)。弱火にかけた胡麻油でニンニクの香りを引き出すのと、青菜は下ゆでしておくくらい、これもコツというほどのものではございません。腐乳は神戸そごう地下のグロッサリーコーナーで買った、香港製のもの。胡麻油の風味がして、これはこれで旨いのだが、昔どこかで買った、もっとちっちゃな瓶の、そしてもっともっとクサイ腐乳がすてきに旨かったのを思い出す。ああいうのは今どこで手に入るんだろう。

・さつまいものサラダ・・・角切りにしたものを、歯ごたえを残して茹で、マスタードと粒胡椒を効かせ、少しのクミンで風味をつけた生クリーム(固くホイップしておきます)で和える。パセリのみじん切りを混ぜてもよろしい。なんだかわけのわからない味で、旨い(ように思う)。

 今週は山形から無農薬・有機農法の新米が届いたので、どちらかといえば飯のおかず系を作ることが多かった。鱈の子も出盛りだからせっせこ買っては明太子をつくる(塩漬けしたあと、昆布と酒で味を付け、七味をまぶすだけ)。ぬか漬けは名残の茄子と出だしの蕪で。

 自分の家で精米したての米を炊くと、ほんとにぴっかぴかになる。これに熱々の味噌汁(最近は茗荷だけをたくさん具にするのが好み)と飯向けのおかずで、いうことなし。

 ・・・・・いやこれでは堕落というものである。来週はも少し頑張って呑んでその報告をします!


 読んだ本。感想は省略させていただきます。書いてるうちにまた腰が痛くなってきたので・・・


・フレデリック・ルノワール『人類の宗教の歴史』
トルストイ『ハジ・ムラート
・矢代梓『年表で読む二十世紀思想史』
・武田暁『脳はいかにして言語を生みだすか』

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