マニエリスムの快楽

 このところ、朝はトースト一枚(バターをこてこて盛って蜂蜜をかける)、ベーコンエッグ、ヨーグルト、果物という献立が続いている。和食にするとあれこれ手を加えたくなるので、パンのほうが時間が短くて済むのだ。

 飲み物は大抵紅茶。しかし、昨日スーパーで安売りしてた各種果物缶詰をあれこれ買っていたので、この日は久々にミックス・ジュース。定番のバナナ、みかんに加えて黄桃、パイナップル、マンゴー、キウイ(これは生)も入れる。

 結論。ミックス・ジュースはシンプルなのがよろしい。

 ともあれ朝から鱈腹食べてエネルギーが充溢している。適当な時間になるのをじりじりと待って湊川の市場に原付を走らせた。

 珍しく生のしらす(淡路産)が入っていたので、それと子持ちの烏賊、トマト、もがにを買う。しらすはオリーヴ油・にんにくと一緒にパスタにする。少しのお湯をかけてほとびた焼き海苔も混ぜる。パスタとしらすの塩気だけで味付けは充分。海の香りを胸一杯に吸い込みながら食べた。

 夜は烏賊をバターで焼いて木の芽で香りをつけたのと、蒸し蟹、トマトサラダでまず白ワイン(スペイン)を呑み、後半は昨日から赤ワインでマリネしていた牛肉の煮込みで赤ワインを呑む。赤はアブルッツォの「カサーレ・ヴェッキオ」という銘柄。葡萄一本あたりの房の数を極端に減らすことで驚くほど濃縮された味わい云々という惹句が気になって買ったのだけど、果実味がはじけんばかりのワインだった。決して不味くはないが、これは煮込みには向かない・・・と後悔しながらも仕方ないのでがぶがぶと呑み続ける。なお週末にもかかわらず三宮に出なかったのは、来週旅行があるため。またご報告します。

 そのせいで荒れてた、というわけではないが、対手に読んでた中村安希の紀行エッセイ『愛と憎しみの豚』、正直イマイチだったなあ。所々で筆者の眼の働かせ方におやと思わせる部分はあったが、全体に表現が、というより構成が甘い。体当たりレポートなのか、食文化の現代的考察なのか、どっちつかずで損している。(ぶつぶつ言いながら結局読み上げた)

 二冊目は岩波文庫の『荷風俳句集』。これは安心して読めた。荷風の、随筆における冴えとは違って、俳句の月並みさが快い。これは決して拙劣というのではなく、詠み手がすっぽりとある文明の爛熟(頽廃?)にはまり込んでいる、その安逸さ(重ねて言うがこれも批判の言に非ず)がこちらの精神にも作用して、麻酔的な効果を及ぼす、ということである。

 誰かが「二流の詩人に読みふけるほどこたえられない快楽はない」と言っていたのを思い出す。



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