徒然にはあらねども

 よしなし事の降り積もるは俗人のさだめ。脈絡なくあれこれと。

○柿の天ぷら・・・テレビで紹介されていたのを真似て、早速作ってみた。悪くない。どうやって甘さを殺すかがミソとなりそう。テレビでは山葵を挟んでいたが、木の実や肉魚の擂ったのでもよいのでは。もちろんすぐ食べないといけないので、おもてなし料理として「登録」。

○枝雀落語・・・これもテレビ。枝雀落語は体質に合わない。その判断、というか反応はこの特集を見ても変わらなかったけれど、弟子や二人のご子息が師匠・父を語る口調がおっとりしていたのが好もしい。ざこばさんの顔にいい味が出ていた。小料理屋なんぞで、横で呑んでいたいような表情である。

○からすみ・・・『播州地酒ひの』さんお手製。今年は原料が高騰しているからやめ、なのだそうな。今年の正月は彼女と二人、炙ってはむさぼりくって堪能し、期待していたので残念。ボラの卵巣などは素人の手に入るべくもないが、鱈の子を塩漬けして燻製ということならなんとかなりそうである。「自分へのご褒美」(というほどの成果もあげてない)として家庭用燻製機を購入すべいか。

○騒がしい保守・・・山内昌之『歴史という武器』を読む。意見内容は妥当としても、なんだか騒々しい印象の本。「稀有の思想家」とか言われているらしい佐伯啓思氏の本にも同様の感あり。しかし保守思想家こそ「パルラ・パッソ(声低く語れ)」を身上とするべき人々ではないのか。それにしても山内氏、以前はメガネをかけていたように記憶しているが、裏見返しの著者写真はまるで信託投資の売れっ子アドバイザーみたいですな。

○最近読んだその他の本・・・
・山田篤美『真珠の世界史』=かつてダイヤモンドが低く評価され、真珠が宝石の王様だった時代もあったらしい。
・藤原聖子『教科書の中の宗教』=何カ所か論理的におかしなところもあったが、空理空論に終わらず、地道な修正を実践しようとする姿勢に共感した。
アレクサンドル・デュマ『ボルジア家風雲録』=この作者でこの題材である。極彩色の(悪趣味すれすれの)絵巻かなと思っていたら、意外と淡彩。当時の検閲に憚ったのかな。
・ジョシュ・シェーンヴァルド『未来の食卓 2035年グルメの旅』=とりたてて言うこともなし。
・藤本晃『浄土真宗仏教なのか?』=鎌倉新仏教(とくに浄土系)をプロテスタントと見立てるのは安易な発想と承知しているつもりながら、「解釈」でこうも対立・分裂ができるところ、やっぱり新教に似ている。こちらは仏教民俗学的に見るほうに興味があるから、その対立の論点にはさほど興味を持てないのだが。
・ピーター・ディキンスン『生ける屍』(ちくま文庫)=あのディキンスン(『キングとジョーカー』)の、あの「幻の名作」(「あの」サンリオ文庫に入っていた)だったが・・・。ただこちらは独裁者モノの小説が大好物なので、そこは愉しめました。
・テリー・イーグルトン『人生の意味とは何か』・・・「あの」(もういいですかね)イーグルトンもこういう本を書くのか、と思いきや内容はあいかわらずべらんめえ口調(といいたくなる)で威勢の良いこと。しかし翻訳は無神経だなあ。アーサー・ショーペンハウアーって言われても、ねえ。ならなぜフランシス・カフカと書かないのだ(こちらはちゃんとフランツとしている)。
高橋睦郎『和音羅読 詩人が読むラテン文学』=こういう本ができたのも、京都大学出版会はじめとする先生方の翻訳のおかげ、とすべきであろう。どっかの閑人、いや趣味人が中世ラテン文学の選集を出してくれたらいいのだが(例のクルティウスの本は大きすぎて寝転がって読めない)。
・ヒラリー・マンテル『罪人を召し出せ』=アン・ブーリンの斬首が終わりに来る。歴史小説なのだからそれは分かっているのだが、ヘンリ8世の怪物ぶり(を描きぬくマンテルの筆力)に鼻面ひきまわされてあっという間に一巻を読み上げた。三部作の次(最終巻)では主人公クロムウェルが失寵して処刑されるのだ。どれほど面白い読み物になるか。待ち遠しい。まだお読みでない方は、ぜひ『ウルフ・ホール』を。
・木村俊道『文明と教養の「政治」 近代デモクラシー以前の政治思想』=同じ著者の『文明の作法』のいわばダイジェスト版か。名著『古典外交の成熟と崩壊』(高坂正堯)以降の研究の蓄積をうかがうには絶好の本か。
石井洋二郎『異郷の誘惑 旅するフランス作家たち』=一度書いた、工藤庸子さんの本で紹介されていたので読んだ。なるほど端正な本である。ネルヴァルの章がとくに面白かった。

 もうすぐ十二月。年末・正月に備えて、極上の本を備蓄しておかねば。
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