2016-01-01から1年間の記事一覧

かっちょいいのか。

神戸市立博物館「我が名は鶴亭 若冲、大雅も憧れた花鳥画(かっちょいいが)!? 」展。企画に携わった知人によると県立美術館の「鉄斎」展はあまり人が入らなかったとのことだが、市立博物館の方は土曜日の午後らしい混み具合だった。現在不可解なほどのブ…

膝を抱えて

久々の国内の旅だったせいか、岡山から戻ってきてもまだなんだか体がフワフワして落ち着かない。その上に『いたぎ家』では、これまた二泊三日の沖縄から帰ってきたばかりのアニー(弟タクと、お客さんの計三人。話を聞くだに身の毛もよだつような、凄絶な食…

今日も明日も晴れだった

田車子はもう十年越しの呑み友達。互いに家に遊びに行ったことは何度かあるけど、会わない時は半年近くも連絡もせず、顔を合わせれば昨晩の続きのように話が始まるという水の如き交わり。だから「いちど旅行に行きたいね」という話を、七年ほど前から会うた…

漫遊記

某日 兵庫県立美術館の鉄斎展二回目。かなり入れ替わっていた。週末とあって小学生の団体などで大賑わい。耳栓をつめてゆっくり見て回る。感想はまた別の時にまとめて書く。阪神岩屋駅から新在家駅までぶらぶら歩いたが、サングラスを持ってくれば良かったと…

Q.E.D.

月末まであと少しあるけど。○田中マリコ『文楽に連れてって!』(青弓社) ○中本千晶『熱烈文楽』(三一書房) 文楽の啓蒙書はまだまだ必要である。二書を読んで改めてそう感じた。この種の中では、三浦しをん『あやつられ文楽観賞』が、いい。さすがに文章…

タケノコ生活

文楽四月公演(『妹背山婦女庭訓』)は色んな意味でキツかった。 まず、これは行く前から予想がついていたことだけど、通しで見物したために最近悪化しつつある腰にえらく負担がかかる。第二部が終了して立ち上がったときは背中と腰に一万本ガラスの破片が刺…

恋は恋でも

三連休初日は兵庫県立美術館の鉄斎展へ。行きはともあれ、帰り途は暴風雨をただなかを阪神岩屋駅までよろよろと。傘をさしていても全身ぐっしょり濡れつつも、豪快な降りかた吹きぶり、鉄斎に似つかわしくないこともないと考える。それくらいこの展覧を堪能…

さんまは目黒で・・・

空男がヴェネツィアから戻ってきた。歓迎かつ慰労の会を拙宅にて、といっても二人きりながら行う。会の名称前半は言うまでもなく当方にとっては水汲み・修繕その他の小用に好都合だからであり、名称後半は大学や塾の仕事を振り捨ててという背水の(行き先が…

KG制覇計畫・其ノ壱

酒の勢いでつい要らぬ約束をしてしまうという話、ありますね。某某飲み屋のネエちゃんにごはん奢る約束、いつしたんかなあ、なんて。鯨馬もちょっと慌てることが時折あります。裏を返せば、ほっとくとなかなか進まない話も弾みがつく、とも言える訳で、今回…

酢を吸う三人

三月生まれの三人が集まってささやかな誕生会をした。うち一人は呑み屋をやっているので、そこに各々料理酒を持ち込んで気張らずに呑もうという集まり。年齢も職業もばらばらながら、なんとなく呑み友だちというだけで、なんとなく集まって、騒ぐでもなく愚…

「名誉」の男〜双魚書房通信(16)〜

『世界収集家』の書評なのだが、たしかボルヘスのエッセーに本書の主人公リチャード・フランシス・バートンを扱ったものがあったぞ・・・と思い出して『永遠の歴史』を取り出す(ちくま学芸文庫)。 件の一篇は「『千夜一夜』の翻訳者たち」という。久々に読…

ほしざかな

水ぬるむ頃や女のわたし守 蕪村 という時季なので、三連休の初日、四つある水槽すべての大掃除に取りかかる。 という予定だったが、当日起きてみるに寒の戻りのような冷え加減。しかし今月はここより他にまとまった休みもないので、水の冷たさを覚悟して決行…

四日の桃

十日の菊なら三島由紀夫の作品名にもなってるし、六日のあやめでもまだ様になるけど、桃だとなんだか熟れすぎも越えて饐えた匂いを漂わせつつ、汁がじゅくじゅくと垂れてきそうな感じ。でも、まあ、それに近い状態。一日遅れの雛料理となったのは、前日まで…

閏二月決算

予告しておいた双魚書房通信はもう少しお待ち下さい。一年間発行していなかったのでちとリハビリに時間を要しております。 読書にニッパチはない。 ○マット・リドレー『繁栄 明日を切り拓くための人類10万年史』(大田直子訳、ハヤカワ文庫) ○渡辺憲司『…

天の川でささの舟

同僚湘泉子が新しい鮨やを見つけた、と案内してくれる。場所は環状線の福島から南へ五分ほど歩いたところ。『あま野』というお店。久々に会う湘泉子の相方さんと三人、ゆっくり呑んで食べる。【肴】 ○もずく酢 ○煮あわび ○飯蛸煮もの ○鯛松皮造り※紙塩? ○鮪…

世にも奇妙な物語

料理屋の腕前は、主菜よりもむしろ突き出しなどのちょっとした一皿にあらわれる、とはよく言われること。作者の場合もそれに結構近いのかもしれない。過日つれづれなるままに上田秋成の『諸道聴耳世間猿』を読み返していて、ふとそんなことを思った。 研究の…

文豪の重石

新しい「一太郎」を家のパソコンに導入しようとしたら、ダウンロードとインストールに結局8時間近くかかってしまう。これならAmazonで注文した方が結局楽だったかもしれない(夜の十二時にインストールが完了したところで何が出来るというのだ)。 そ…

灯台の下

喫餐於『テラサナ』。菜の花・蛍烏賊のソテー。鴨コンフィ。鮪ツノの藁焼き。牡蠣と青海苔パスタ。新海苔をふんだんに使ったパスタ絶品。 友人に頼まれて若い子を連れて行ったのだが、これが物凄い虚言癖の持ち主(「ウィーン少年合唱団に入っていた」そうだ…

糸屋の娘は目で殺す お上の文楽は規則で殺す

忠臣蔵は「独参湯」、つまりどんな時でも必ず効く=当たる狂言とはよく言われること。今ふうの表現ならさしづめドル箱というところ。それがまんざら嘘でもなかったらしいことは、忠臣蔵をネタに取り入れた落語が数多いことからも分かる。 なにせそれだけでま…

聞くちから

「南奔北走」の翌々日、『いたぎ家』アニー夫妻と遊び回った。いや呑み回ったというべきか。加納町の中華から始まり、神戸サウナ裏の立ち飲み、元町の鉄板焼き(でなぜか赤ワイン)、最後は三宮に戻って駅前の二四時間営業の居酒屋で三時半?まで。南北づい…

南奔北走

「団菊じじい」なる悪口があるのだそうな。何かにつけて九代目団十郎と五代目菊五郎を引き合いに出して、「それに比べて今の芝居は」とくさしまくる人間のことをいう。この伝でいずれ「歌勘ばばあ」とか出現してくるんだろうな。あ、いうまでもなく「歌」は…

鉄斎と蓮月

清荒神清澄寺鉄斎美術館にて『鉄斎と蓮月 歌をよみ、土をひねる』展開催中。親子ほども年の離れた二人の交遊を教えられたのは、杉本秀太郎さんの本による(中公文庫『大田垣蓮月』)。その「夢のような」―という惹句が文庫には刷ってあったと思う―雰囲気を追…

一月度決算。

年末年始の連勤に続き、旅行もはさまったものの、結構読めた。やっぱり活字に飢えてたのかな。○松尾光『思い込みの日本史に挑む』(笠間書院)・・・ゴキゲンな本。「口碑などいかがわしい史料からあやうげな推測をすることが歴史学にとっては危険なのである…

一徹の味

大阪住まいの同僚の誘いで、天満にある貝屋にて呑む。 もっともせっかく大阪くんだりまで出るのに、一軒だけという手はないから、昼過ぎから天神橋筋の古本やを周り、駅ビル地下で十分に下地を入れてからのこと。 天牛書店は代々我が後輩が店長またはバイト…

Ritornare a Venezia(6) (devo)partire per Giappone

熱い風呂に長めに浸かって、炭酸水を飲んで寝たら翌朝はすっきり快復。教会の鐘が鳴る頃には散歩に出ていた。 現金なことに我が胃袋は調子を戻したと思ったらぐうぐう鳴っておる。あちこち折れ曲がって歩き回りたかったが、コンビニがあるわけではなし、まず…

Ritornare a Venezia(5)硝子の中年

三度目の正直でようやくアカデミア美術館を見物できた。入場はたぶん一番のり。のんびりと見て回る。 ビザンチン様式の絵を集めた部屋からスタートしているのはこの街の歴史的由来をそのままに反映している。しかしやはり、冷たく輝くマティエールと厳しく引…

Ritornare a Venezia(4)包丁いっぽん。

この日もスーパーのお惣菜で朝食を済ませた。鯖のポルトガル風(とは酢漬けのこと)、ポルペッタとかいう肉団子のフライ、海老のすり身を揚げたもの、それにこれを忘れてはならぬバッカラ、オレンジ。中瓶の大きめで2ユーロもしないビールを飲みながらこれ…

Ritornare a Venezia(3)水は石を愛撫する

朝まで酒→そのまま仕事、という日程も少なくないせいか朝はきっちり目覚める(トシのせいだ、という説もある)。テレビをぼんやり眺めながら、パン・生ハム・チーズ・オレンジジュース・炭酸水という朝食をとったのが六時半くらい。これはホテルお仕着せのメ…

Intermezzo 〜龍神屋第一回古典芸能鑑賞会

大阪出身ながらミナミの空恐ろしい雑踏は大の苦手。それなのに、たださえ日曜の昼過ぎとあってお隣とそのまたお隣の国の方々が犇めくなか、道頓堀は『今井』のまえで待ち合わせというユーウツな状況にも関わらず、心うきうきなのは如何なる故ぞ。 「いたぎ家…

Ritornare a Venezia(2)老いも若きも霧のなか

空港まで空男氏が迎えに来てくれていた。バスでローマ広場まで行き、そこからサンタ・ルチア駅近くのホテル「ベッリーニ」でチェックイン。街の賑わっているところ(中心部という言い方はどこか違和感をおぼえる)からは離れるのだが、たださえスーツケース…