秋の身じろぎ

  久々のお客は五名。いずれも三宮呑み友達。同年代の人が多いので(一人は一回り下だが、オッサンぽいから同じことである)話題にも話ぶりにも気が置けなくて楽。

  献立は、
・冬瓜の海老あんかけ(冷蔵庫でちべたーくして出す)
・茹でタン(赤ワインに一週間漬け込んでおいた)
・蛸、胡瓜、茗荷、オクラの梅風味サラダ(自家製梅干しをたたき、アーモンド油でのばしたものに胡麻・醤油などで風味をつけてゆく)
・カジョス(牛ハチノスのトマト煮込み)
・豚しゃぶのサラダ(付けだれにニンニクを効かせて)
・いさきのカルパッチョ
・茄子の忘れ煮
・ぬか漬け

  などなど。好評だったのは、こちらとしては意外にも冬瓜、それにぬか漬け。たしかに鰹出汁をふんだんにつかって、贅沢にこしらえたものの・・・みんなトシとったな。

  と思っていたのだが、「パチンコで連チャンが止まらぬ」と遅刻したメンバーがお詫びに買ってきてくれた黒毛和牛のステーキ(一人一枚!)が焼きあがると、先ほどまでの血糖値がどうやら、ジムがどうやらという話は一瞬でふっとび、全員ローヌの赤をぐいぐいやりながら肉をほおばる。

  ・・・みんな変わってないな。

このところ、日中は暑いが夜はおやと思わせる風がよく吹く。これも友人の店でパーティーがあったので、これを最後の機会として家にもきた呑み友達と示し合わせて浴衣で出かける。浴衣といっても藍の盲縞のいたって実体ななり。それに以前も書いたシュルシュルパーンの帯をしめてダンディなおっさん二人で呑む。結構酔っぱらってしまう。勢いに任せて恋愛談義などいつぶりだろうか。久々にアツくなる。

  翌日はそのまま昼過ぎまでぐうたら、というのは少し前のパターンで、最近はそれでも朝からジムに行く。プールでは親子プール教室が開催中。あんぱんまんの歌が水面にがんがん響いていた。

  「けっこう様になってるやん」(コーチに)
  「こんど一緒におどりますか?」
  「・・・通報されるわ」
  「・・・・」

  その沈黙は同意の証か・・・。通報される前に買い物して帰ろうっと。この日は、

・剣先烏賊の造り
・カツオの塩たたき(高知で食べたものを見よう見まねで再現。思い切って塩をまぶしたほうが旨い、と分かる)
・蛸酢
・子芋塩蒸し
・ズッキーニのホイル焼き

で呑み、剣先のゲソとマッシュルームでリゾットを作った。酒の相手は、ポール・バロルスキーの新刊A brief history of the artist from God to Picasso (新刊といっても出たのは去年だが)。この美術史家は、Walter Pater's Renaissance に瞠目させられていらいの贔屓である。

  面白いのでベッドで遅くまで読みふける。この日は涼風さやさやと、クーラーも扇風機もいらないくらいに快適な夜だった。