たまには日記風に。

某日

 仕事帰り、湘泉子を誘って某所に呑む。特に名を秘す有名ワインバーが最近買収したのだそうで、偵察がてら入ってみた。じつは今の店の前の店・そのまた前の店とも、人的つながりがあって知っていたのだが、両方とも、まあヒドイ店ではあった。案の定今の店もよくなかったので、変に安心。某ワインバーさんは、いちから手を入れ直す心組みで買ったのであろうか。もちろん当方たちはそこそこに逃げ出した。

 不躾とさえ形容したくなる湘泉子の胃袋がこれで収束するはずもなく、次は某店でウズラや子羊、貝柱を食う。閉店間際にふらっと入ってきたオッサン二人が怒濤の勢いでヘヴィな料理を平らげ(むろん酒はばんばん呑み)、とぐろもまかずにさっさと出ていったのであるからして、店の人も、なんというか、口を開けて見送るという体であった。ふだんは瀟洒に和え物とかナシモノとかで御酒参るこちらも湘泉子の毒気に当てられたらしい。中年暴走族ならぬ暴食族のお通り。相棒をタクシーに乗せてから、こちらは朝まで爆走。


某日

 宿酔たること論無し。
 朝昼兼用で、若布雑炊を作って食べる。若布は鳴門の灰干しのもの。酒と水とちょっぴりの酢でとろとろになるまで炊いたものを、別に鰹だしで作った雑炊に混ぜる。薬味はすり生姜。ぬか漬けの胡瓜がちょっぴり酸っぱくなってるが、くたびれ加減の胃を活性化させるのにはちょうど良い。それにしても、外で食べるぬか漬け、なんであんなに不味いんだろうな。
 午後はずっと本を読む。この日は正岡子規俳人蕪村』(講談社文芸文庫)、スティーヴン・ミズン『氷河期以降 紀元前二万年からはじまる人類史』(青土社)、立川武蔵『弥勒の来た道』(NHK出版)。
 夕暮れ時分にはだいぶん元気も出てきたので、市場に行く。珍しくシャコがあったので、山ほど買って帰り、ひたすら湯がいてはむさぼり食う。カニやシャコは酒のアテにぴったしの食材のはずだが、いつも食べるほうに熱中してしまう。缶ビール一本ですっかり腹がくちくなってしまった。

某日

 吸湿剤やらエアコンの洗浄剤やらカビ取り剤など、梅雨対策のもろもろを買って帰り、昼までしこしこ掃除。
 シャワーを浴びてから元町に出かけた。朝日ビル(シネ・リーブルがあるところ)のピロティで古本市をしているらしい。最近の古本の店、素人か何だかわからない連中が汚らしい(本が古いということではない)棚をさらしていることが多く、敬遠気味だったが、この日は行ってよかった。澁澤龍彦監修の『動物の謝肉祭』(「イメージの文学誌」)なるアンソロジーや陣内秀信『光と陰の迷宮案内―ヴェネツィア』も収穫だったけど、なんといっても『京都画壇の周辺―加藤一雄著作集』五千円也は文字通りの掘り出し物である。以前から探していた本が、予想もしなかった廉価で、しかもネットではなく現物で見つかるというのは大げさに言えば僥倖のようなものである。ほくほく顔でレジに持って行くと、古本屋のおっちゃんが「ははあ、これ、見つけましたな」とニヤニヤしていた。「今日はこの一冊で充分お釣りが来るほど愉しめた」と言い残して去る。
 一刻も早く読みたかったが、朝から何にも食べていない状態では落ち着いて読書に耽るべくもなし。元町商店街で見かけた昼=めし屋・夜=居酒屋という店に飛び込んで天ぷら定食を頼む。もちろん生ビールも。
 肝心の天ぷらはといえば、まあ、唐揚げの天ぷら風味といったところですが、イカ・キス・エビ・鶏もも(うーむ)・さつまいも・茄子・舞茸・かき揚げと出してくれて千円ちょっとなのですから、文句を言うほうがおかしい。大体、神戸という街は天ぷらの不作地帯だからね。
 帰宅途中、近くの「ヒト・コーヒー」でいつもの深煎りマンデリンを買う。最近、円安以外にも大手の豆買い占めがハゲシクて、値上げせざるを得ないそうな。なにせ掘り出しの後ですこぶるの上機嫌であるから、「それは仕方ない」と鷹揚に受け入れる。
 あとは夜までひたすら『京都画壇の周辺』を読み続ける。小説も書いているらしいから、必ず手に入れよう、と思う。
 日付が変わるころ、ようやく空腹を覚えたので、茄子汁を作って食べる。煮麺のそうめん抜きと思って頂ければよろしい。出汁に醤油で味付けし、具は細切りにしたなすびだけ。昼間の定食屋でもらった天かすを振って食べた。

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