仙薬

 薬は滅多にのむことがない。高熱が出ても(これも滅多に出ないけど)じっとこらえるだけである。例外は花粉が飛ぶ時期の抗アレルギー薬くらいか。

 それくらい縁遠い人間だったので、五苓散なる漢方を服用したときはほんとにびっくりした。友人が二日酔いの防止には抜群の効果がある、とすすめてくれたのである。あいにくと四十路に入ってもまったく酒量は落ちないが、明くる日長々とだるさを引きずることが増えつつある。漢方だから強烈な副作用もなさそうだし、ま、ダメもとくらいの気持ちで使ってみたのですな。

 なにせ二日続けて朝五時半まで呑み(二日目は仕事)、三日目は午前中からさんちかの古本市に出かけてたのだから、これは完全に酔っ払ったままか、薬が効いたのかどちらかである。途中でエラくなることもなかったから後者だと思う。なんでも五苓散は水分の代謝を整える作用をするらしい。別に肝臓が強くなるわけではないのである。つまり逆から見たら、いつも二日酔いするときはそれだけ水分を取らずに寝てしまっている、ということになる(呑んだ分は大小合わせ、下から出てしまう)。それにしても、この効果の覿面なこと、ちょっとおそろしくなるくらいであった。

 最近は古本市でもそう買わないのに、この日珍しくカゴが一杯になったのは漢方の効き目のあざやかさにいささか舞い上がっていたためかもしれない。これは酔っているのと大差ないということなのだが。ついでに会場を出た後、元町界隈のいぶせき居酒屋で昼間っからたらふく呑んでもぴりっとも酔わなかったこともご報告しておきます。

 ともあれなんだか中国四千年の大魔術にかけられたような一日だった。探せばアタマがよくなる漢方だとか女にもてるようになる漢方だとかも出てくるのではないか。

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