百舌鳥の早贄

  もうすぐ夏期休暇。どこにも行かず何にもせず、節電の折しもクーラーのよく効いた部屋で昼間っから酒をあびるように呑みながらごろごろする。それが当節いちばん贅沢な「ヴァカンス」(語源は“空白”)だと思うが、貧乏性で四国へ旅する計画を入れてしまった。

  それでも時間が余ることには違いない。何日かは部屋に閉じこもって、ビール片手に読書三昧、という無上の快楽にふけることにする。さて獲物は何と参ろうか。やはりこういう時でないと読めない本、とはつまり長い長い小説や史書、こむつかしい哲学書などがいい。実はそう考えて、梅雨前くらいから少しずつ「夏休みの本」を溜めていたのだ。ゾラ『パリ』上下(白水社)、バルガス=リョサ『世界終末戦争』(新潮社)、ヘーゲル『美学講義』(河出書房新社)、それにサン=テヴルモンのエッセイ集とサン・シモン侯爵のメモワール。我ながら欲張りすぎだとは思うが。 

  酒と肴も仕入れとかなきゃ。