かっこの多い文章

 北野坂の『番鳥』でしこたま食べて呑む。先週、友人の誕生日で入った元町のさるおでん屋(お祝いにおでん屋というのも気がきかない話だが、ここは鮮魚も出すというので行ってみたのである)が、すこぶる感じの悪い店で(おでんも魚も神戸牛も揃えてゴザイマスという店はやはり避けたほうがよい、と再認識した)、ゲン直し兼お詫びとして、元々知っていた『番鳥』(本店は兵庫の駅前)に誘ったのである。はつもとや軟骨のエンガワなど、珍しい部位を中心に頼んで、友人は堪能してくれたようであった。

  二軒目は飲み屋。途中から酔いだした友人は気づかぬうちにどこかに消えている。こちらも帰ればいいようなものだが、外は厳寒。客は外に出るのがなんとなく億劫、他に客もおらずママも宙ぶらりん、というわけで何となく朝までちびりちびりと呑む(けちっているわけではない。相手の体調がもひとつだったので、加減したのである)。最近の従業員(ママやこちらにくらべ十五、六年若い)は何を考えてるのかちっとも分からない、という愚痴を聞いたりしているうちに、いつのまにか「哲学とはなんぞや」てな話になっていたので驚愕する(従業員の一人が大学で哲学を専攻していたのだ。相当に変わったホステスではあった)(もう辞めてしまったが)。飲み屋の明け方、こういう話をしてる客とママ、果たして野暮の極みか、粋の極致か。

  近くの飯屋(朝まで開いている)で軽く食事したあとママとは別れ、多少の酔いに乗じて家まで歩いて帰ると(二十分強というとこか)、すっかり醒めてしまっていた。よう風邪ひかへんかったこっちゃ。カントとヘーゲルの功徳なり。

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