四十而書

 三が日は出勤だったけれど、諸色高直の時節にも関わらずわざわざ御節ならぬ年末料理を作ったのは、アテとして好きなものが多いから。だから、海老の煮たのや伊達巻やらはむろん入れない。

○お煮染め(むしりこんにゃく、海老芋、蓮根、干し椎茸、牛蒡、慈姑)・・・冷めてもいける。というより、冷めたほうがダシの味がよく分かる。
○お煮染め「ず」(鯛の子、百合根、高野豆腐、昆布)・・・たっぷりのダシで炊き、醤油はほんの香り付けにとどめる。上に柚子の皮をおろしてかける。これも冷えた鯛の子をかみしめると、酒がすすみます。
○生ずし・・・たまたま極上の鯖を見つけた。片身は浅めに、片身はしっかり〆る。柚子もたっぷりしぼりこむ。
○なまこ酢・・・これもたっぷりの柚子をしぼって〆る。柚子ばっかり使ってるが、どうせ年が明けるとすぐ旬が終わってしまうから、使えるうちに使っておく。
○ごまめ・・・鷹の爪と一緒にしっかり炒り上げて、酒・酢、ちょっぴりの蜂蜜でさっと煮る。一尾一尾がぱらりと離れるように仕上げる。
○漬け物(酢茎・日野菜・赤蕪・白菜)・・・日野菜は塩と糠で、赤蕪は塩と酢と淡口醤油で、白菜漬は例の通り。酢茎も自分で漬けてみたいなあ。どなたかレシピをご教示してくださいませんか。
○唐墨・・・『播州地酒ひの』製。かるくあぶって、薄切りの大蒜とともに。
○焼き穴子・・・焼き海苔とおろし山葵で。
○生口子・・・おろし芋と合わせて。


 十日戎のころは冬の食物が一等旨い割りに、どこも不景気。もう一度この献立で延々呑みたいものである。


 三日は出勤後に、張龍たちと新年会。翌日は『海月食堂』夫妻を拙宅にお招きして鶏鍋とアテで新年会。こういう時は精励恪勤しております。それにしても敬士郎さん夫妻も鯨馬も、よく食べよくしゃべり呑んだ。誰もお茶もジュースも口にせず。口を動かさない時間はほとんどなかったのではあるまいか。


 さて昨年新しくなったものは二つ。ひとつは原付。どうも調子がよくないなと思ってバイク屋に持って行くと、「よくこんなのに乗ってましたな」と呆れられた。タイヤを交換し、空気をいれ、何を何してほにゃららら(よく憶えておりません)。同じヤツかとびっくりするくらいの乗り心地である。ま、四十三の我が体も「よくこんなのに乗ってましたな」と言われるんだろうなあ。年末の飲みっぷりを思い出してリツゼンとする。


 もうひとつは手習い。文人画がらみの展覧会に行くことが多かった昨秋、画賛や書簡の読解能力が著しく低下しているのにこれまたリツゼンとする。学生の頃は一応読めていたはずなのに・・・こういうものはやはり日頃からの経験が重要なのだが、どうせなら書くほうも修業してみようと思い立った。


 といって別段お習字教室に通うわけではない。ひと通り道具を揃えて、お手本をせっせと臨書するだけのこと。ただし手本はうんと格式あるものを、と池大雅千字文と、王羲之の聖教序、それに青蓮院流=御家流の習字手本。これで鯨馬の人格も大雅なみに寛闊文雅になるはずである。どうぞご期待下さい。


 年末年始の本は次回で。今年も御贔屓の程をお願い申し上げます。


 つちのえいぬ初めの日に詠める
相づちのえゝ加減なる酒(さゝ)機嫌 鬼のいぬ間にこれ呑め椀碗 碧村

 

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