シュルシュル、パーンの夏

  連日お腹が痛い。

  食(水)あたりなのか、寝るときに扇風機をかけっぱなしで冷えたのか、ビールの飲み過ぎなのか、はたまたいつかの(と言わなければならないトシだ)ジムの筋肉痛なのかが分からない。

  以前も、数年ぶりかで二日酔いで吐いたなあと思っていたら牡蠣にあたっていた、ということがあった。自分の体とは言い条、意外と把握できていない。

  「夏太り」も多分、自己認識のこのズレからくるものなのだろう。冬好き、雪好き、寒さ好きの質については何度かこのブログでもふれたが(「polarisation」他)、そのせいか「暑さに弱い」と思い込んでいるフシがある。「暑さに弱い」→「夏バテしてしまう」→「スタミナつけなきゃ」と、こう連想がすすんで、結果的につい食べ過ぎてしまうのだ。毎年夏になるとむしろ1〜2キロ体重が増えていた。こういう次第であったか、と自分の体に新しく黒子を発見したような感慨にふける。

  もっとも体重増加も悪いことばかりではないので、たとえば着物を着るときにはむしろ好都合である。帯をしめて、少しキツめの下腹をぱーんとたたく時には、韓流スター乃至ジャニーズ系のスリムな体型では味わえない快感が走る。

  昨日も近所の祇園神社の祭礼に浴衣で出かけた。今年買ったばかりの帯(白の変わり献上)がまことにしめ心地よく、実に気分がいい。佐久間良子の口調で「この帯、キュウキュウ鳴るねんが」と呟きつつしめてゆく(いうまでもなく市川崑の『細雪』である)。正絹なのでしめる(解く)時にシュルシュルと帯が鳴くのである。

  残念ながら足が長いので(少し自慢)、いくら帯を下にしめても若旦那風乃至は子どもの夏祭り風にひょろひょろしてしまうのが悔しいが、でもこの夏はなるべくたくさんシュルシュルするつもり。