秋の弁当

  どの季節もとりどりに食材はあるけれど、日本料理を主に考えるなら、やはりなんといっても秋が一番。酒もうまくなるし。花粉症はないし(和食とは関係ないが)。

  今年も、職場の掃除の方が(職場の)空き地を使って丹精して下さった野菜の収穫がいっぱい。カネをかけずに秋めいた弁当(昼食はほとんど自作)を作ることが出来た。山本さん、いつもありがとうございます。

  まずは零余子。片手の掌にかるく一盛りほどの分量なのでこれは零余子飯に炊く。

  次はさつま芋の茎。きちんと調理するなら皮をいちいちむくのだが、それほど口に残るわけでもないし、貴重な食物繊維源ではあるし、そのまま使うことにしている。これは胡麻和えに。茎は柔らかくなるまで塩ゆでしておく。胡麻を油が出るまでよく擂った中へ、田舎味噌を煮きり酒とわずかの砂糖でのばしたものを混ぜて和え衣とする。

  オクラはゆがいて小口に切り、酒蒸しした鳥の笹身とマヨネーズで和える。梅干しをたたいてマヨネーズに少し入れると味が引き締まります。獅子唐と茄子はたっぷりのごま油で炒めたあと、出汁で炊く。これはこっくりした味つけにして仕上げに針生姜を混ぜる。ご飯が進むおかずである。

  この他にかますの干物をあぶって身をむしり、酢橘をしぼったものと銀杏を混ぜた玉子焼きでカンペキ。

  山本さんは上記の野菜の他にお手製の紫蘇の実の佃煮も下さった。これは明日、鯖寿司の薬味として寿司飯にしのばせようっと。

合いの手は珍しくマンガで、『純潔のマリア』と『進撃の巨人』。前者は、連載時は想像していたのとまったく違う話だった(連載時は読んでない)が、石川氏のおっとりしたギャグがやはり『もやしもん』らしくて面白い。そして、どこか骨っぽい姿勢(野暮ったくいえば「思想」)もまた。『巨人』は今話題のマンガだそうで、後輩空男氏の貸与になるもの。巨人が《敵》というアイデアが素晴らしい。やはり怖いのは人型の怪物だもんな。想像力の手綱をひきしぼって、大きく構えた世界観を最後まで破綻無く語り尽くしてほしい、と思う。