水無月盡

 六月も終わりと気付いて慌てる。こうやって人は死に近づいてゆく。明日からは青森。

○竹村牧男『唯識・華厳・空海・西田』(青土社
ジーナ・レイ・ラ・サーヴァ『野生のごちそう』(棚橋志行訳、亜紀書房
○ジョージ・サルマナザール『フォルモサ 台湾と日本の地理歴史』(原田範行訳、平凡社ライブラリー)・・・男の読み物は旅行記と博物図鑑に極まると喝破したのは種村季弘大人。双方兼ねた本書なぞはさしずめ最強の一冊というところか。思えば『ガリヴァー』は言うに及ばず、マンデヴィル『東方旅行記』などこういう〈綺想〉の旅行記は昔から好物だった。エーコの小説では『バウドリーノ』を最も好むのもそのせいか。
金井美恵子『〈3.11〉はどう語られたか』(平凡社ライブラリー)・・・相変わらず執拗極まる語り口がすばらしい。いささか自家中毒気味ではという箇所もあるが、ここまで表現に徹底して目を凝らす姿勢を見ると、何も言うことは無くなってしまうのである。
○樋口健太郎摂関家の中世』(歴史文化ライブラリー、吉川弘文館)・・・外戚という根拠による摂関⇒家の職としての摂関という流れが分かった。
ハルオ・シラネ鈴木登美『〈作者〉とは何か』(岩波書店
玉川奈々福『語り芸パースペクティブ』(晶文社)・・・充実の一冊。ちゃんと基本的な参考文献もあるので、日本の語り物についてまさしく展望が得られる。
○佐藤岳詩『「倫理の問題」とは何か』(光文社新書
○キャサリン・ダン『異形の愛』(柳下毅一郎訳、河出書房新社
○國方英二訳『エピクテトス 人生談義』上下(岩波文庫)・・・快挙。
増田義郎『アステカとインカ 黄金帝国の滅亡』(講談社学術文庫
○マイケル・フリーデン『リベラリズムとは何か』(山岡龍一他訳、ちくま学芸文庫
伊藤亜紗ヴァレリー 芸術と身体の哲学』(講談社学術文庫
○繁延あづさ『山と獣と肉と皮』(亜紀書房
○情景師アラーキー『凄い!ジオラマ』(アスペクト
井上ひさし『小説をめぐって』(発掘エッセイコレクション、岩波書店
○図師宣忠『エーコ薔薇の名前』 迷宮をめぐる〈はてしない物語〉』(世界を読み解く一冊の本、慶應義塾大学出版会)
古井由吉『書く、読む、生きる』(草思社
○楠家重敏『変革の目撃者 アーネスト・サトウの幕末明治体験』上下(晃洋書房
○新谷尚紀『不安と祈願』(講座日本民俗学、朝倉書店)
鈴木健一佐佐木信綱 本文の構築』(近代「国文学」の肖像、岩波書店
○齊藤寛海『イタリア史2 中世・近世』(世界歴史大系、山川出版社
○藤井建三『格と季節がひと目でわかるきものの文様』(世界文化社
○良原リエ『食べられる庭図鑑』(KTC中央出版
徳川林政史研究所『森林の江戸学』(東京堂出版
安田喜憲『森の日本文明史』(古今書院
○ジョン・パーリン『森と文明』(安田喜憲訳、晶文社
○姉崎一馬『日本の森大百科』(CCCメディアハウス)
○伊藤進『森と悪魔』(岩波書店
池内紀『森の紳士録』(岩波新書
○ロバート・P・ハリソン『森の記憶』(金利光訳、工作舎